11節 マッチ&会見リポート(ヤマハ発動機 17-15 セコム)

ヤマハ発動機ジュビロ対セコムラガッツのゲームは、3年連続でヤマハスタジアムでの開催となった。セコムラガッツはアウェーでの試合ということになるが、このヤマハスタジアムの設備や芝のすばらしさ、そして相手チームへも降りそそがれる観客の暖かい声援は、きっとホームゲームのような居心地のよさではないだろうか。スタジアムに詰め掛けてくれたファンも、3年連続での対戦カードということもあり、定期戦のような、どことなく安心感のある気持ちで観戦しているようであった。
前々節のNEC戦で終了間際の逆転負けを喫し、前節のリコー戦での完勝で再スタートを切ったヤマハ発動機ジュビロと、前節福岡サニックスブルースに惜敗したセコムラガッツのゲームは、開始8分にセコムの鮮やかなオープン攻撃によるWTB鈴木のトライで始まった。その後、両チーム一進一退の攻防が続き、このまま前半終了かと思われた41分に、ヤマハはゴール前直前のラックからジェフリーマカが左中間にトライを決め、ネイサン・ウィリアムスのゴールと合わせて逆転に成功した。セコムはシンビンによる退場者がいる間、我慢強いディフェンスで凌いでいただけに、この終了間際のトライは非常に残念であった。

後半に入り、ヤマハは8分セコムのキック処理のもたつきをついて、大西からWTB永本宗秀へとつないでトライをあげて突き放した。
しかし、セコムも16分セタ・タアラがゴール真下にトライをあげて2点差に追いすがる。その点差のままでの攻防がしばらく続き、35分セコムは左中間22m付近からのPGを長井がきっちり決めて、1点差の逆転に成功した。
その後ヤマハは、37分にブレンダン・レーニーがDGを失敗し、さらに42分右中間22m付近からのPGのチャンスを得るが、ネイサン・ウィリアムスが失敗してしまう。ロスタイムは3分の表示だったため、もうこれで終わりかと誰もが思った。しかし、プレーが切れればノーサイドの中、ここからヤマハの連続攻撃が始まった。3度4度とバックスに展開するがセコムの硬いディフェンスに阻まれ、ゲインできなかった。密集でもセコムの反則によってアドバンテージをもらったヤマハはDGを狙うも失敗し、その後アドバンテージによるPGをネイサン・ウィリアムスがきっちり決めて再逆転に成功し、ドラマチックなシーソーゲームに幕を下ろした。

セコムは、9連敗しているチームとは思えない攻撃力とディフェンスで試合を組み立てていた。WTB鈴木は走力を生かして何度もチャンスを作っていたし、長井の正確なキックも印象深かった。逆にヤマハは今シーズン、下位に低迷するチームに弱い、悪い癖が出てしまったのかもしれない。終了間際の攻撃を早い時間からやってもらいたいと思うファンは多いと思う。
しかし、今日ヤマハスタジアムに来てくれた4,193人のファンはラグビーの面白さを堪能したことだろう。1勝しかしていないチームも上位チームと力の差がないことが分かったし、最後まであきらめない気持ちがどれ程大切かも証明されたいいゲームであったと思う。
今シーズンも正月開けの2節を残すだけとなったが、今日のすばらしいゲームの経験を生かして、両チームとも残り2試合を全力で戦うことを期待したい。(石垣俊幸)

ヤマハ発動機ジュビロ

堀川監督(左)、木曽キャプテン
堀川監督(左)、木曽キャプテン

ヤマハ発動機ジュビロ 17-15 セコムラガッツ(12月23日)

◎ヤマハ発動機ジュビロ
○堀川隆延監督

「セコムさんはトップリーグのチーム。トップリーグのチームが100%の力を発揮すれば、簡単に勝てる試合にはならない。しかしながら、負けない強さをヤマハの選手たちが持ち始めた。いつもなら負けて終わるような試合展開だったが、負けないで勝って終わることができた。我々コーチ陣は反省しないといけない」

○木曽一キャプテン
「セコムさんの前に出るディフェンスに苦しみ、マイボールをキープできなかった。収穫は勝ったことだけ。ホームでの最後の試合だったので、良い試合をしたかったが‥‥。来年の第12節、13節に向けて、修正していきたい」


セコムラガッツ

ラブ ヘッドコーチ(右)、小池キャプテン
ラブ ヘッドコーチ(右)、小池キャプテン


◎セコムラガッツ
○ウェイン・ラブ ヘッドコーチ

「セコムのプライドを見せてくれた素晴らしい試合だった。強いタックルをしっかりと行なえば、どんな相手でも勝つことができると信じて選手たちはプレーしてくれた。強いタックル、それがセコムの強みです。しかし、後半の最初にミスが多すぎた」

○小池善行キャプテン
「結果的に負けたのは残念だが、自分たちのやろうとしていたプレーをハッキリと行なえた。コーチが示してくれたことを選手たちは最後までグラウンドで表現してくれたと思う。80分間、タフなゲームができたことは、次につながる」

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