13節 マッチ&会見リポート(クボタ 27-20 九州電力)

低温かつ雨中のゲームは、序盤10分間キック中心の淡々とした展開となる。11分クボタゴール20m付近で、クボタWTB大津留が狙ったタッチキックをチャージした九州電力LO吉上が、こぼれ球をインゴールで押さえ先制T(0-5)。クボタもSO伊藤のショートパント等で九州電力DFラインをこじ開けようとするが、ハンドリングミスで崩せない。それでも18分、NO.8ホラニ、FL鈴木の連続アタックからチャンスをつかみ、SO伊藤のパント処理をもたついた九州電力の隙を突き、WTB根岸が右隅にトライし、同点に追いつく(5-5)。ここからボールが急に動き出し、モールで執拗に攻める九州電力であったが、クボタのDFが厚く、ゴールラインを割れる雰囲気がない。ようやく29分、クボタゴール前20m付近スクラムからパスアウトしたボール、SO斎藤が巧くずらしたところに、CTBグレイが縦に入りDFラインを突破、フォローしたFB今村が左中間にT(G成功5-12)。クボタはCTBオツコロの突破を起点に九州電力ゴールに迫るが、BKラインが流れ気味なこともあり、九州電力のDF網を崩せない。

後半もCTBグレイのアタックに翻弄、1T、1PGを加点され苦しくなったクボタだが、15分マクイナリを投入したことで、流れが一転する。再三巧みなランでビッグゲインを繰り返す動きは、クボタに勢いを与える。18分、21分と連続Tを挙げ点差を詰めると(15-20)、32分、連続ラッシュで九州電力DFの綻びを突き、最後はSO伊藤がゴールポスト下へT。コンバージョンも決め22-20と逆転する。ゲームを完全に支配したクボタは、34分再びマクイナリの突破からFWが良く繋ぎ、途中出場のFL岩上がトライ(27-20)し、トップリーグ残留を決めた。

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力

C:2008, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

九州電力キューデンヴォルテクス

クボタスピアーズ 27-20 九州電力キューデンヴォルテクス(2月3日)

◎九州電力キューデンヴォルテクス
○神田識二朗監督

「九州電力にとっては初めてのトップリーグ、その最終戦を迎えた。選手には、「九電らしい、あきらめない、しぶといプレーをするように」と指示して送り出した。今日は逆転を喫する結果となったが、一年間を通して見ると選手は良く頑張ってくれた。入替戦になるかもしれないが、結果は真摯に受け止めたい」

○吉上耕平ゲームキャプテン
「残留をかけての試合、厳しい80分だった。最後まで集中力を切らさないように努力したが、最後の20分でクボタの気迫に負けた。初めてのトップリーグを最後まで戦ってよい勉強になった。FWのセットプレーが強化されBKに活きたボールを供給するという点で成長した。来季に向けて明確な目標が見出せたように思う」

──後半に勝負がついたがフィットネスが課題か。
○神田監督
「詳しくは分析したいが、フィットネスではなく、集中力が持続できなかった点にあるのではないか。初めてのTL、5勝、20ポイントを目標にした。20ポイントは達成したが、5勝はできなかった。来シーズンに向けて強化していきたい」

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力
クボタスピアーズ

◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督

「九電は、かつて予選プールで対戦をした相手で今日も残留をかけた試合となり、何かの縁があるように思う。今日の試合は、ケフがイエローカードを3回受けて出場できなったことなど不利な面があったが、もっと失点を抑えて欲しかった。前半最後に得点を取りきれなかったことや、後半に先制のトライをされたことなどで、その結果ランニングスキルの高いマクイナリを早めに使うことになった。この辺りがゲームの"あや"というか、これをきっかけにして流れが良い方向に向いた。とにかく8位を死守できてよかったというのが実感だ」

──トップ4に向けて何が必要なのか?
「今シーズン、DFを固めるのを第一に考えて来た、DFが崩れると試合にならないからだ。しかし、攻撃力という点では、ケフ、マクイナリへのマークが厳しく一歩及ばなかった。来季に向けては、攻撃に際しての選手の判断のスピード、BKラインのスピードを上げるのが課題と考えている」

(記事:廣島治、長澤孝哉 写真:長谷川昭男)

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