13節 マッチ&会見リポート(神戸製鋼 28-26 日本IBM)

プレイオフ進出の可能性が無くなった神戸製鋼と、入替戦出場回避を狙う日本IBMの、モチベーションが微妙に違うゲームであったが、パントキックをチェイスする神戸製鋼HO村上、NO.8伊藤の動きにはモチベーションがうかがえる滑り出し。5分、セットプレーの精度が低い日本IBMのこぼれ球を神戸製鋼CTB高倉が拾い縦突破、パスを受けたCTB今村が右中間にトライし、あっさり先制(G成功7-0)。対する日本IBMも10分、神戸製鋼陣22mラインアウトからモールで押し込みBK展開、WTB道廣が右隅に飛び込みT(7-5)。
17分にもPGを決められ逆転された(7-8)神戸製鋼は20分、日本IBMのキックをPR清水がチャージ、こぼれ球をFLブラッキーがドリブルし、そのままインゴールで押さえT(G成功14-8)。
その後、日本IBMが1PGを返すも、連続ラックでリズムが出始めた神戸製鋼は32分、ラインアウトを起点としたモールを押し込み、最後はHO村上が押さえT(ゴール成功21-11)、前半を折り返す。

後半序盤、リズム良く攻撃を繰り返す神戸製鋼だが、アクシデンタルオフサイドでチャンスを潰した辺りから、日本IBMに流れが傾く。6分日本IBMがPGを決める(21-14)と、神戸製鋼はクリブを投入しボールキープ力を上げようとするが、安定したモールが形成できず、逆に12分、日本IBMが神戸製鋼DFの裏をキックで突き、WTB勝俣が押さえT。Gも成功し、同点となる(21-21)。
クリブを軸に、日本IBMゴール前に迫る神戸製鋼だが、ケアレスミスでチャンスを潰してしまう。それでも、連続ラックでなんとかボールキープする神戸製鋼は22分、日本IBMゴール正面のラックから左展開、日本IBM、DFのギャップをCTB高倉が突きT(G成功28-21)。FWの出足が鈍くなった日本IBMに対し、残り10分を切ってペースに乗った神戸製鋼、勝負ありかと思われたが、前がかりになったところを、ターンオーバー・逆襲され、再三ピンチを招いてしまう。37分、神戸製鋼FWの核であるクリブがシンビンになり、FW戦で俄然有利になった日本IBMは、モールで押し込み、最後はNO.8フィリピーネが右隅にT(28-26)。前年も自動降格のピンチを救ったゴールデンブーツFB高に、入替戦回避の夢を託したが、引っかけてしまいノーゴール。結果、勝ち点1の上積みしかできなかった日本IBMはリーグ11位となり、入替戦の出場が確定した。
クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力

C:2008, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

日本IBMビッグブルー

安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン
安藤ヘッドコーチ(右)、高キャプテン

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 28-26 日本IBMビッグブルー(2月3日)

◎日本IBMビッグブルー
○安藤裕樹ヘッドコーチ

「冷たい雨のなか来ていただいたファンの皆様にお礼を申し上げたい。天候に加えてリーグ最終戦、勝点や入替戦など不安要素のあるなか、モチベーションの維持が難しいゲームだった。しかし、選手はベストを尽くしたと思っている。結果として、最終戦を勝利できなかったことについては、コーチ陣として責任を感じている。次の試合、80分間全力を出し切るだけだ」

○高忠伸キャプテン
「大事な試合で、最終的に同点に追いつけなかった。一つ一つプレーの精度の上積みをするようにしてきたが、結果として十分にできなかった。次の入替戦に向けて頑張りたい」

──最後のGKを外したのは?
○高キャプテン
「このGKが入れば、入替戦を避けられるというのは分かっていた。努めて平常心を維持するようにしたのだが…結果として力が入ったのか、大きくダフってしまった」

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力

クボタ 27-20 九州電力   クボタ 27-20 九州電力
神戸製鋼コベルコスティーラーズ

平尾総監督(左)、後藤キャプテン
平尾総監督(左)、後藤キャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○平尾誠二GM兼総監督

「昨日のヤマハと東芝の試合結果で、マイクロソフトカップの可能性がなくなったため、モチベーションが不足していたのか、試合内容は良くなかった。それに比べるとIBMは順位争いのなかで"勝つ"ことにこだわった違ったモチベーションがあったと思う。暫定5位、9勝4敗の結果、上位4チームに勝つことができなかったし、チームに何が足りないかも分かった。個々の選手が基本的な動作や判断で速さと強さを備えなければ上位に勝てない、それが課題だ」

○後藤翔太キャプテン
「13試合勉強になった一年だったが、勉強だけではいけないので勝利に結び付けたかった。キャプテンになって、プレーへの視点が変わった。自分のプレーを高めることとチームが勝つことの2つを満足させるために来季頑張りたい」

──今シーズンを振り返って。
○平尾総監督
「久しぶりに現場の指揮をとって、まずは勉強だった。ラグビーは進化し続けるスポーツだ。今シーズンの9勝4敗という結果を最低のラインにおいて新しいスタートを切る。これからどこまでできるかを見てもらいたい」

(記事:廣島治、長澤孝哉 写真:長谷川昭男)

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