13節 マッチ&会見リポート(NEC 7-34 三洋電機)

リーグ全勝を目指す三洋と、厳しい条件ながら未だマイクロソフトカップへの可能性を残すNECの対決は、リーグ最終節を飾る好ゲームとなった。試合開始直前には小雪の舞う天候となった。
NECは、キックオフを逆サイドへ蹴り、数分間に渡り攻撃するが実らず。15分三洋は、SOブラウンがPGを狙うが不成功。18分三洋は、NECのノックオンしたボールを拾い、数度のフェイズを重ねNo.8龍コリニアシがT、ブラウンのG成功して、7-0とリードする。NECはラインアウトからワイドに展開し、三洋はブラウンの的確なキックを起点に攻撃するが、両チームのディフェンスが固く、三洋 7-0 NECのまま前半終了。

後半は、雲の切れ間から青空ものぞく天候の下、三洋のキックオフで開始。8分NECは、FLサウカワが自陣から突進、そのボールを展開しFB松尾がT&G。三洋 7-7 NECと追いつく。その直後三洋は、ブラウンがPGを狙うが不成功。前半と合わせ2度目の不成功。今日のブラウンのプレースキックは、いつもの調子ではない。21分三洋は、SH田中が好タックル、そのボールを自ら拾い左隅へT。三洋 12-7 NEC。今シーズン三洋の好成績は、田中の活躍に負う所も大きい。26分三洋は、龍コリニアシがラックサイドをもぐりT、ブラウンのゴール成功、三洋 19-7 NEC。流れをつかんだ三洋は、その後着実に得点を重ね、三洋 34-7 NECで試合終了。最終的に点差はついたが、両チーム力を出し切った試合内容で、最後は地力の差が出たゲームだった。(新井章久)
NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ   NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ   NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ
NECグリーンロケッツ
細谷監督(左)、浅野キャプテン
細谷監督(左)、浅野キャプテン

NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ(2月9日)

◎NECグリーンロケッツ
○細谷直監督

「今日、我々は明確に34点を獲るという目標で臨みました。前半終了間際に相手のシンビンがあり、後半立ち上がりがチャンスと思いましたが、あそこで1本トライを獲りきれなかったのが、後々響きました。今日の試合は我慢比べになると思っていましたが、予想通りの展開でした。ミスしたほうが負けるだろうと踏んでいましたが、トライチャンスでミスが出たり、ゴール前でターンオーバーされたり、精度が悪かったのが敗因です。9勝4敗で終えたシーズンでしたが、来シーズンに向けて立て直したいと思います。1年間、応援してくださって、ありがとうございました」

──ヤコ選手の投入は。
「前半、シンビンを貰って、後半立ち上がり8、9分はFWのパワープレイになる展開で、外国人FWも機能していましたので、入替の時期を遅らせました。彼はブラインドウイングからのエキストラマンとしてスペースに入る力に長けていますので、自由に彼に動いてもらおうという作戦でした。ぶれることなく遅らせました。彼には来年もNECで戦ってもらいます」

○浅野良太キャプテン
「雪の状況で1週間伸びた試合でしたが、寒い中、応援してくださった多くのNECファンの皆様に感謝したいと思います。皆様の声援で、僕らはここまで来られたと思います。少しでもラグビーの面白さや魅力を伝えたいと思ってやってきました。今日の試合はターゲットが明らかで、そうそう的を絞れる試合はないなかで、34点を取るためには攻めようと決めていました。逆に三洋さんのトライパターンはターンオーバーからが多いので、ボールキープをしっかりしようと言ってきました。しかし、そこでミスが起こって、ターンオーバーからトライを獲られてしまいました。接点のところを制圧できなかったのが、今日のゲームのすべてです。1年間、選手は優勝をターゲットにしてきましたが、目標に届かなかった現実を受け止めて、ギャップをつめていきたいと思います。やはりラグビーは勝たないと面白くないです。優勝という最高の目標を勝ち取りたいです。また、プレーオフ、日本選手権に進める魅力のあるチームを作りたいと思います」

──攻撃がもう一つ続かなかったが。
「ボールを保持する時間は長かったと思いますが、最後のプレー選択がキックになってしまって、フィフティ・フィフティですが、崩しかけてからキックを使うなどであればもっと有効だったかと思います。自分たちが三洋さんのディフェンスに我慢しきれず、オプションをキックにしてしまったのがまずかったと思います。三洋さんは特段一人が優れているチームではないが、バック3は決定力があるし、一番はディフェンスが組織として崩れないで、ターンオーバーからのトライが多いところが強みだと思います」

NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ   NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ   NECグリーンロケッツ 7-34 三洋電機ワイルドナイツ
三洋電機ワイルドナイツ

宮本監督(右)、榎本主将
宮本監督(右)、榎本主将


◎三洋電機ワイルドナイツ
○宮本勝文監督

「素直に、本当に嬉しいです。内容も良かったし、トップリーグで全勝した、今日の素晴らしい選手を誇りに思います。嬉しいです」

──NECの攻撃がすごかったが。
「NECさんは集中力が途切れず、ターンオーバーのところで普通は穴が見えるのに、最後の10分まで穴は見えませんでした。こちらももう少し、あそこで獲れれば完璧なのですが。ただ、キックオフして最初の2分間、NECさんの多彩な攻撃を難なくしのいでいたので、今日は問題ないと思いました。13勝したのは、ディフェンスでどこかに穴が開いても、北川や三宅のスピードランナーが戻ってつぶせたからです」
──全勝の気持ちは?
「変な話ですが、優勝というプレッシャーがなかったからできたのかもしれません。例えば、前節あたりでプレッシャーになったかもしれません。もちろん、優勝ではないが、トップリーグであの強い東芝さんでもできなかった全勝は嬉しいです。プレーオフでは、スポーツですから、負けることもあります。しっかり準備したいと思います。トーナメント戦はお互い負けたら終わりですから」
──次の相手はリーグ戦で完封した相手だが。
「あの試合、東芝さんはスタンドオフがいなくて、1年目の選手をトニー・ブラウンの対面に持ってきていました。完封、そんな展開にはならないと思います。廣瀬選手が入って、締まるでしょう」

○榎本淳平主将
「1戦、1戦と言ってきましたが、全勝を意識していなかったと言えばうそになります。すごく嬉しいです。NECさんは34点というターゲットがあり、PからGOは分かっていました。今シーズンの三洋を象徴するようなディフェンスができて、オライリーがシンビンでいない時もしっかり我慢できました。それが、後半NECさんの足を止めることができた原因だと思います。特にヤコ選手が入ってきたのを意識はしませんでした。こちらもSH池田が入ってテンポを上げ、最後のブザーが鳴るまで15人がしっかり体を張ってくれたおかげだと思います」

──ディフェンスが良かった。
「ディフェンスは春から構築してきました。クボタ戦から始まって、毎試合進化してきた結果だと思います」
──雪で1週間伸びた影響は?
「ラグビーも中止になるんだと思いました(笑)。拍子抜けすることなく、良い準備ができました。ここから3戦続きますが、今から勢いに乗っていけると思います」

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