10節 マッチ&会見リポート(クボタ 10-40 東芝)

クボタ 10-40 東芝
マッチリポート
クボタスピアーズ 10-40 東芝ブレイブルーパス
(week10/2008年12月21日 at千葉・フクダ電子アリーナ)

季節はずれの温かい日差しの中、トップリーグ第10節クボタスピアーズ対東芝ブレイブルーパスの試合はキックオフの時を迎えた。
クボタスピアーズはここまで5勝4敗とやや苦しい戦いが続いている。マイクロソフトカップ出場権と日本選手権出場権の確保に向けて負けられない試合がこれから続いていく。一方の東芝ブレイブルーパスは、前節神戸製鋼コベルコスティーラーズに後半引き離され、今季の初黒星を喫している。勝負所での手痛いシンビンからの失点が大きく響いた形となったが、その修正をいかにできるかが注目された。

試合は前半からキックを使い、地域を取り合う展開となった。お互いに試合を優位に進めるため、モール・ラック周辺を突破力のある選手で突破するという展開になり、密集での激しいコンタクトが繰り広げられ、その攻撃をいかにDFするかが勝負の分かれ目になることを予感させた。
東芝は、このモール・ラック周辺の戦いを優位に進め、クボタ選手を密集周辺に集め、ボールを外へ動かし、決定力のあるWTBロアマヌらがトライを奪った。得点は、前半東芝が4T3Gの26点、クボタはPGの3点のみであった。

後半クボタの奮起が期待された。後半立ち上がり、クボタも持てる力を振り絞り反撃に出て、東芝陣深く攻め込む。必死にトライを狙うが、持ち込んだボールのコントロールミスからターンオーバーされ、東芝SH吉田に独走トライを許した。このトライは、試合の大勢を決める大きなものであった。その後、クボタはフランカーのヒッキーがハイタックルでシンビンを受け、さらに苦しい展開となってしまった。東芝は、選手交替も試合展開の中で有効に働き、クボタの反撃を1トライに封じ、40対10と勝点5を奪う完勝で試合はノーサイドとなった。
2008-2009のトップリーグも残す所あと3節となった。クボタにとっては、日本選手権出場枠の6位に入るためにはもう負けられない状況となってきた。残り試合を考えるともう絶対に白星を落とせない。ぜひとも、残り試合全勝できるよう頑張ってもらいたい。
一方東芝も、次節コカ・コーラウエストレッドスパークスとの試合を終えると、サントリー、三洋電機との戦いを残すことになる。王座奪回を目指す東芝にとっては、強敵が残っているが、今後の戦い方にぜひ期待したい。(千葉県ラグビー協会/張能正昭・塚越康利)
クボタ 10-40 東芝

会見リポート
クボタスピアーズ
山神監督(左)、鈴木主将
山神監督(左)、鈴木主将

◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督
「千葉でのスピアーズ初めてのゲームである。このような環境を提供頂いた協会関係者の皆様に心から感謝したい。東芝にチャレンジしたが前半節にはないDFや攻撃を見せてくれた。前半の前半にちょっとしたミスからトライを奪われた。東芝の集中力は素晴らしい。選手はよくやってくれた。ゲームについては悲観していない。この時期の東芝は本当に強い。少ないチャンスをいかに得点していくか、これがポイントである。この精度、集中力を高めて残り3試合を戦いたい」

○鈴木力主将
「ホーム千葉の素晴らしい環境に感謝したい。今シーズントップ6、トップ4を目指して戦っている。東芝はその目標であった。チャレンジしたが、大きな差ではなく『こだわり』が東芝と違った。残り3試合をしっかりと戦い、もう一度東芝にチャレンジしたい」

──東芝の『こだわり』とは?
「プレーの一つ一つというよりも、チームとしてのメンタルなどの目に見えない部分である。うちもそこを強化してきたのでうちが悪かった訳ではない。やはり優勝を経験した東芝のメンタルはすごい」

──前半にトライをとられるパターンがいつも似ているように感じるが?
「自陣のプレーの時間が長く、ちょっとしたミスをトライにつなげられる地域であった。ミスを少なくし、自陣で戦わないエリアマネージメントを心がけたい。ミスが多かった」

──ひとりひとり立っているところをラックに巻き込まれるなどそんな細かい部分の『こだわり』は感じられたか?
「東芝はボールを継続しようとするところがあった。うちのDFは悪くなかった。その部分がポイントであった」


クボタ 10-40 東芝
東芝ブレイブルーパス
瀬川監督(左)、廣瀬主将
瀬川監督(左)、廣瀬主将

◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「東芝の千葉でのゲームは、初めてであった。千葉のファンの前で東芝らしいラグビーができたことは満足している」

──猪口選手のケガの具合は?
「指の裂傷で今はよくわからない。長くはかからないだろう。お父様が診察しているようなのでしっかり治してくれるだろう(笑)」

○廣瀬俊朗主将
「東芝の良いラグビーを千葉のファンの前で見せられたことは満足している。先週の負けがあったのでグレードアップした姿を見せたかった。途中出場のリザーブメンバーが今までにないアグレッシブさを見せてくれた。チームは成長したと思う」

──先週の神戸戦の敗戦から三洋戦を見据えてどのような点を今日は修正したか?
「先週の神戸戦は自分たちのやるべきところがバラバラであった。特に、追いかける展開でチームに迷いが生じた。その点を修正した。東芝のラグビーを貫き通すこと、これをやりきりたい」

──今日のゲームのポイントは?
「ヒルのPGを含め、攻めるのが東芝のスタイルである。5ポイントの奪取をめざし、とることができた。前半からのアグレッシブさが良かった」

──昨年も三洋に負けたあとの神戸戦の出来が良かったように感じるが、本日のゲームを終えて感じる、昨年と今年の違いや成長点は?
「昨年と負け方がだいぶ違う。昨年は、さまざまな点でメンタル面が難しかった。今年はシーズンを通して順調に進んでいるなかでの敗戦であった。初めてリードされ、自分たちが自分たちをコントロールできなかった。簡単な点なので十分修正できると思っていた。上手くいえないが、(笑)」

──メンタル面の修正点とはなにか?
「もう一度自分たちの形を信じることだ。我々は、自分たちのプレーが出来ればチャンピオンなる資格があると思っている。それを確認した」

──ご自身のトライのシーンだが、前は空いていたのか?
「前が空いていた。相手は、ヒッキーであるので驚いた(笑)。とにかく前が空いていた」

──そこが空くことはゲームをしていくうちでわかったのか?
「そのとおり。試合中によく相手の穴が見えてきた。プラン通りであった」

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