12節 マッチ&会見リポート(NEC 18-22 コカ・コーラウエスト)

NEC 18-22 コカ・コーラウエスト NEC 18-22 コカ・コーラウエスト NEC 18-22 コカ・コーラウエスト
マッチリポート
NECグリーンロケッツ 18-22 コカ・コーラウエストレッドスパークス
(week12/2009年1月11日 at東京・秩父宮ラグビー場)

NECグリーンロケッツ、痛い敗戦。コカ・コーラウエストレッドスパークスが立ち上りの集中力で上回り、あとは粘りのディフェンスで逃げ切った。

東京地方はこの日、今シーズン最も冷え込んだ朝を迎えたが、前日の大学選手権決勝とは打って変り風は穏やか。今季2回目の秩父宮登場となったコーラは前半2分、「キックオフから積極的に攻める」という意思統一が感じられるようなプレーぶりで、キック処理にNECがもたついているところをSO福田がインゴールで押さえて先制。8分にはNECが自陣から放ったキックを簡単には蹴り返さずにカウンターアタック、FLオーモンドがショートキックを交えて前進した後のラックから、右へ展開。NECディフェンスのギャップをしっかりついたWTB小柳が2トライ目。
前半を14-7とリードしたコーラは後半26分、自陣からのキックがうまくバウンドしたところに途中出場のステイプルトンがすっぽりキャッチ、勝利を引き寄せる3トライ目をあげた。コーラは前後半に1つずつトライを許したものの要所要所を締め、トップリーグ昇格後のNEC戦初勝利をあげた。

NECは後半12分、途中から出場のSH辻が負傷退場するというアクシデントに見舞われた。急遽FB松尾がSHの位置でプレーするなどして凌いだが、終盤の連続展開時にはその影響が出ていたかもしれない。守護神 箕内が欠場、新鋭 権丈がNO8に入り、南海の怪人FLサウカワらがフル稼働したが、FW全体としては迫力不足。総当りステージ上位4強によるマイクロソフトカップ(プレーオフトーナメント)出場へ向けてのライバル=トヨタ自動車ヴェルブリッツが勝ち点0で敗戦したため、この日7点差以内の敗戦で勝ち点1を上げたことが、NECにとってはせめてもの救いとなった。(米田)


会見リポート
NECグリーンロケッツ
細谷監督(右)、水山ゲームキャプテン
細谷監督(右)、水山ゲームキャプテン

◎NECグリーンロケッツ
○細谷直監督
「今日の試合、そして来週の最終戦で勝ち点10を取ることがトップ4、そして日本選手権出場の6位に残るためのチャンスだと思っていました。入りの所の課題10分~15分の立ち上がりを意識して練習してきましたが、そこで相手にスコアされ相手のペースになってしまいました。
我々もスクラムからトライが取れて、後半の1stスコアを絶対に取ろうと言ってたところで相手に奪われてしまった。不運な面もあったのですが、それも実力です。負けを認めざるを得ない試合でした。コーラさんの必死さが上回った試合だったと思います。とにかく、結果がすべての世界ですので、最終戦、NECらしい試合をしたいと思います」

○水山尚範ゲームキャプテン
「最初の10分の入りが悪いということで練習から取り組んできたのですが、最初の10分で2本取られて、上手くゲームを運べなかったことが良くなかった。相手のキックゲームに付き合い過ぎた面もありました。もう少し自分たちで仕掛けていれば、ゲームを作れたかなと思います」

──ケガ人の状況について?
○細谷監督
「箕内、櫻谷ともに肉離れです。佐藤平も肩鎖関節を痛めています。最終節の見通しは、これからドクターと確認します」

──SHが2人とも負傷退場したことで影響は?
○細谷監督
「藤戸・辻の2人とも膝の負傷による交代です。FBの松尾がSHの役割を担いましたが、ラックでのプレッシャーがかかった状況でのパススピードも含めてアタックラインへの影響を想定できたので、近くにいる人間がさばくように指示しました。セミシのトライがまさしくそうで、ポイントに近い人間がさばいた結果です。このような状況の中で松尾は最後まで本当に良くやってくれました」

──スクラムの優位性を感じたか?
○水山ゲームキャプテン
「組んでいる時は、優勢とは思わなかった。勝負どころのスクラムでトライを取れたりしているので、そう見えたのかも知れないが、実際組んでいる時には優位性は感じなかった」

──試合の入りの、どんな部分が良くなかったのか?
○細谷監督
「キックのエリア取りが良くなかった。ハイパントの対応などエリアマネジメントが良くなかった。相手のFBに思うようにやられてしまいました」

NEC 18-22 コカ・コーラウエスト   NEC 18-22 コカ・コーラウエスト   NEC 18-22 コカ・コーラウエスト
コカ・コーラウエストレッドスパークス
向井監督(右)、山口キャプテン
向井監督(右)、山口キャプテン

◎コカ・コーラウエストレッドスパークス
○向井昭吾監督
「今日はありがとうございました。秩父宮に来ると勝てなかったので、勝ててよかった(笑)。NECさんは、立ち上がりが良くないのでそこで2トライを取って自分たちのゲームプラン通りに試合を進めることができた。ディフェンスもよく機能していて、一人一人自分の役割をきちんと果たしてくれた。チーム全員がつながったアタック・ディフェンスができた」

○山口智史キャプテン
「東京で今シーズン2試合目となりますが、コカ・コーラウエストの応援をしてくれる多くの方々の前で勝てて良かった。先週の東芝戦から、気持ちの部分を強調して練習をしてきた。ディフェンスは、東芝戦で良かった感覚を前半の最初、後半の最後で出すことができた。チームとしていい形になっているので、最終戦を勝って締め括りたい」

──NECの立ち上がりの悪さを攻略するために、どういったことを意識したのか?
○向井監督
「NECさんの強みはFW近辺。ヤコ選手をFBに下げキックで自分たちのエリアを獲得して、ゴール前でFWのモール等で得点していく形。そこで我々は、まずはカウンターを避け、必ずゲームを切っていくことを戦術として伝えました。それが上手くいったと思います。エリアの取りあいが2回・3回と続いたときには、確実に切ろうと。NECはディフェンスのターンオーバーからチャンスを作るチーム。それをさせない思惑通りの展開でした」

──入替戦回避、順位を上げるためにも勝ち点5を目指さなかったのか?
○向井監督
「確かに勝ち点5を取りたい。終盤に来てどのチームも煮詰まっている。その中で得点にこだわりたかったが、勝つことを最優先した結果です。確かに5点を取れなかったのは悔しい」

──マン・オブ・ザ・マッチの感想は?
○山口キャプテン
「僕が選ばれるとは思っていませんでした。もちろん初めてです。勝った数も少ないので(笑)。チームを動かせたこと、コーチングスタッフから与えられた戦い方を確認してできたことでキャプテンとしての仕事を評価してもらえたのかもしれません。ただ、自分のパフォーマンスには満足していません。もっと良いパフォーマンスをしたいと思っています」

──まだ一試合残っていますが、シーズン全体を見てどう思っていますか?
○山口キャプテン
「個人的に感じるのは、体幹やベーシックスキルの部分は随分上がっていると思います。トップ4のチームとの違いを感じるのは、与えられた戦術の遂行能力や自分たちのラグビーを理解して実践すること。この部分の差だと思います。シーズン序盤、なんとなくやって、なんとなく負けてしまった試合があった。それでも、1ヶ月の休止期間や年末の2週間で気持ちの入替ができて、チームとして固まってきた。それが東芝戦で形になって出てきた。それがこの時期なのが本当にもったいないと思っています」

──後半PGを狙われた場面。ラインアウトからアタックされたほうが嫌だったのでは?
○山口キャプテン
「確かにトライを取られるのは嫌でした。でも、あそこで狙ってくるのがNECなので、あの場面は想定内でした。その間、キックオフからのプレッシャーでラトゥ、WTBを止めようと話し合うことができ、意思確認が取れたので良かった。最後の連続攻撃の場面、あそこのディフェンスの粘りは得意なんです(笑)。一発では行かれることはないと思っていました。反則なく止めてくれたチームメイトは頼もしかったです」

──チームとしての出来に手応えを感じている様子ですが、来季に向けては?
○向井監督
「開幕前にはかなり手応えがありました(笑)。このトップリーグの長丁場のなかで勝っていくなかで、ケガ人等の影響で当初のプランからの戦術変更を余儀なくされた。ここに来て選手の理解度が増して、チームがまとまって形ができてきた。とにかく今は、来週の最終戦に勝ち点5を取って来季に繋げたい。来季の新戦力も期待できますので飛躍ができると思います」

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