6節 マッチ&会見リポート(ホンダ 23-48 クボタ)

マッチリポート
ホンダヒート 23-48 クボタスピアーズ
【week6/2009年10月18日(日) at埼玉・県営熊谷ラグビー場】

秋から冬にかけては、熊谷ラグビー場、正面スタンドの左から右に冷たい赤城おろしが吹く。この時期に熊谷で試合をするチームは、どこも風対策を怠らない。

クボタスピアーズは、開始1分で得た相手反則を、ゴール正面20mの地点から、SOシェーン・ドゥラームが簡単にPGを決めて先制。17分、22分にもPGを決めて9-0とリードを広げた。
対するホンダヒートも先制は許したものの、15分間は互角に戦っていた。両WTBは決定力を持っているから、WTBにどんどん繋がるようならトライで応戦できる力は持っている。現に4節のヤマハ戦では、後半の残り2分で2トライ2ゴールを返して、7点差以内の負けに与えられるボーナスポイント1点を獲得している。
チャンスが巡ってきたのは、27分だった。ゴールまで5mの位置でのラインアウトからモールで押し込み、最後はLOウォーレン・スミスが左隅にトライ。難しい角度からのゴールキックもFB嶋将一が決めて、いっきに2点差の9-7まで追い上げた。32分にクボタWTB柴原英孝のトライとSOドゥラームのゴールキックが決まり突き放そうとするも、35分に約30mあるPGをホンダFB嶋が、さらに38分にはWTB木村允彦がトライを奪い、16-15と1点差に迫り、後半に期待を持たせて前半を折り返した。

後半は、お互い攻め込む場面が見られたが、我慢比べが続いた。後半最初の得点は14分だった。クボタ反則を、ホンダはクイックで攻めWTB山田章仁が右に大きく跳んでトライを決め。遂に16-20と逆転した。
しかし、クボタもSOドゥラームが、17分に10mライン中央からDGを決め、23分にはSOドゥラームからの飛ばしパスを受けたWTB根岸康弘がトライ、ゴールも決まり、26-20と再逆転。さらに27分には10mライン左の角度ある位置から約50mはあろうDGをSOドゥラームが決め29-20と突き放しに掛かった。31分にホンダのPGが決まるも、試合の攻防がキッキングゲームへと変わっていった。正しくはホンダがキッキングゲームに嵌められたと言えよう。ホンダが蹴ったボールは、ことごとくSOドゥラームにキャッチされ、効果的な攻撃にはならなかった。
結局、クボタが33、37、39分に3トライ3ゴールを奪い、ホンダの初勝利はまたもお預けとなった。

ホンダには、蹴られたら蹴り返すのではなくアタックを仕掛けて、両WTBで勝負してほしかった。
クボタは、風は関係なかったが、SOドゥラームのキックを主体としたチーム戦術に最後まで拘った勝利は予定通りか、そして後半の苦しい場面で選手の入替も功を奏した。特に、地元熊谷出身のSH茂木隼人の投入によりテンポアップされ、ベンチ采配も当たったと言えよう。(木村茂和)

ホンダ 23-48 クボタ   ホンダ 23-48 クボタ   ホンダ 23-48 クボタ   ホンダ 23-48 クボタ   ホンダ 23-48 クボタ

会見リポート
ホンダヒート
シェラット ヘッドコーチ(左)、木村キャプテン
シェラット ヘッドコーチ(左)、木村キャプテン


◎ホンダヒート
○ジョン・シェラット ヘッドコーチ
「ゲームプランに沿ってゲームをしてきました。後半それができなくなって残念でした。クボタさんにチャンスを奪われてしまいました」

──トップリーグ6試合を通じてチームとして成長したところは。
「セットピースのところです。また、トップリーグではコンタクトエリアがとても強いので、そこの部分を毎週毎週課題として頑張っています。進歩はしていますが13試合の中で結果を残すことはたいへんなことです」

──この試合に向けて準備してきたことは。
「FWに関してはセットピース中心に練習してきました。コンタクトエリアについてはコントロールされた良いボールを出すこと。BKについてはアタックを中心に練習してきました」

○木村允彦キャプテン
「今日の試合は悔しいの一言です。自分たちのペナルティで点を与えてしまったことが大きい」

──60分間は戦えたと思うが、最後の20分は何が違ってしまったのか。
「勝ちが見えたところで、足が止まったというか、受けに回ったところがあったかと感じます。それで攻め込まれたり、DG(ドロップゴール)でリズムを奪われたりしました。メンタルな部分で守りに入ってしまったところは、もっとアグレッシブにいかなくてはいけなかったと思います」

──まだトップリーグで勝てていないが。
「トップリーグではミスをすると命取りになってしまうところが今までとは違いますね。激しいプレッシャーの中でミスが出て自滅しているのが試合の結果だと思います。コンタクトの部分でもじゅうぶん通用していると思うんですが、一瞬の隙であったり、リアクションであったり、そういうところの精度がトップリーグのチームは違うなと感じています。そんな中でもトップリーグの試合勘にも慣れてきたところなので、今日は勝ちたかったし、勝てると思ったので、本当に悔しいです」

──ペナルティを得たところでゴールを狙うかどうか判断に迷いはなかったか。
「狙ったところは、まず点差を詰めてと考えました。ゴール前でスクラムを選択したのは自信がありましたので。迷ったところは確かにありましたが、まあ、勉強ですね」

──これからまだ試合が続きますが、キャプテンとしてどうチームをまとめていきますか。
「後半戦が勝負と思っていますので、前半戦の残り一試合は、その後半戦につながる試合をしたいです。初昇格のチームですから連敗することは予想できたことなので、そこはポジティブに考えてチーム作りをしていきたいと思っています」

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クボタスピアーズ
山神監督(左)、荻原キャプテン
山神監督(左)、荻原キャプテン


◎クボタスピアーズ
○山神孝志監督
「本日は久し振りの熊谷で、すばらしいコンディションの中で、そしてまたすばらしい運営の中でやらせていただきましてありがとうございました。3連勝の後の連敗で、今日勝てたことを素直に喜びたいと思います。ホンダさんは初昇格とはいえしっかりとしたチームですから、序盤、手堅くと考えていました。実際にはもう少しテリトリーを取りながらゲームを進められればペースを作っていけたのではないかと思います。最終的にはしっかりとトライも取りきって勝てたので、方向性としては間違っていなかったと思います」

──60分までは苦しかったと思うが。
「SH李がペナルティでテンポを崩していたので、思い切って茂木に代えてテンポが上がったかなと思います。あとから入れたFW陣も頑張ってくれたのは、7年間トップリーグにいて経験を積んだところがホンダさんを上回れたのかなと、正直、思っています。リードを許した場面も、メンバーを入れ替えてテンポを変えられると思っていました」

──連敗を受けて今日の試合の準備は。
「メンタル的な部分が大きいです。強い相手に開幕3連勝でパワーも使い、怪我人も出たところでタフなゲームが続いてきました。今日の試合も我慢して我慢してチャンスをつかむということをテーマとしてきました。勝ち続けることの難しさを勉強させてもらいました。折れかかった気持ちを立ち直らせることができたので、ひじょうに大きい1勝だと思っています」

○荻原要キャプテン
「連敗で少しいやな空気がありましたが、今日は勝ち点5の勝利ということですごく満足しています。試合の内容としては、自分たちのミスでホンダさんのペースになりかけましたが、リザーブ含めたチーム全員で流れを引き戻して勝つことができました」

──連敗の後、キャプテンとしてどうチームを立て直したのか。
「前向きな姿勢を浸透させることを考えました。良いプレーがあったらみんなで盛り上げる、ミスがあったら全員でカバーするということを徹底して、今日は前向きに試合ができたと思います。リザーブも応援席も含め全員がひとつのチームとして成長できたかなと感じています」

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