1節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 29-14 NEC)

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ヤマハ発動機ジュビロ 29-14 NECグリーンロケッツ
【week1/2010年9月4日(土) at 静岡・ヤマハスタジアム】

まさにホームゲーム、ヤマハにとって特別な1勝

もう少し続きそうな猛暑が残る9月上旬、NZを開催地とする2011年ラグビーワールドカップを1年後に控え、8年目のトップリーグがスタート。昨年11月、部の活動見直しが報じられ今シーズンを36人で挑むヤマハと、昨シーズンは序盤でつまずいたものの日本選手権準決勝まで進んだNECとの注目の一戦は、ヤマハのホーム、ヤマハスタジアムにて4832人の大声援の中、日本協会公認A麻生レフリーの笛とともにヤマハキックオフで始まった。

試合は開始5分、反則の繰り返しでヤマハLO笠原がシンビン。14人となったヤマハに対し、NECはフォワードで勝負。7分、得意とするラインアウトモールからNo8ニリ・ラトゥがトライ。ヤマハはFB五郎丸のPGで3点を返すも15分、NECは相手陣内でのラインアウトを起点としライン参加したFB窪田のパスを受けたWTB首藤が左中間にトライ。SO松尾のGKも決まり3-14とリード。スクラムで優位に立ち、ニリ・ラトゥを攻守の中心とするNECが試合の流れを掴んだかのように見えたが、ヤマハはSO大田尾、FB五郎丸のキックに、周りの選手がしっかり反応。チーム一丸で前に出ると相手陣内で攻撃を仕掛け、徐々にリズムを引き寄せ始める。また、ゴール前で得たペナルティは迷わずPGを選択、コツコツと得点を積み重ねる試合運びから、23分にFB五郎丸が2本目のPGを決め6-14。32分には、観客が固唾をのんで見守る中、約55mの距離のPGを見事に決め9-14。残り10分、NECは相手陣内でボールをキープするも、ヤマハの粘り強いディフェンスがゲインを許さずハーフタイムへ。

後半、先にスコアしたのはヤマハ。2分、約49mのPGを五郎丸が決め12-14と2点差に迫るとさらに7分、またもや五郎丸が今度は約40mのPGを成功させ15-14とヤマハがついに逆転。固いディフェンスを持ち味とする両チームだがこの日はペナルティに対するヤマハの意識が高く、逆転後も好調の五郎丸が安定したキックで3本のPGを決め24-14。30分過ぎ、NECに大きくゲインを切られピンチとなるも、ターンオーバーからカウンター攻撃。五郎丸が抜け出し、最後はSH矢富がバックスタンドを疾走し、待望のシーズン初トライ。NECは要所でのミス、ペナルティが判断の迷いを生み、らしい戦いができず後半は無得点。29-14でヤマハが重みある1勝をあげシーズンを白星スタート。80分間を戦い終えた選手達に送られた総立ちで割れんばかりの拍手が送られる光景は、まさにホームゲームだった。

マン・オブ・ザ・マッチは29得点中8PGで24点を決め、1試合における最多ペナルティゴール記録を更新したヤマハFB五郎丸選手。

会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
堀川監督(右)、串田キャプテン(中)、五郎丸選手
堀川監督(右)、串田キャプテン(中)、五郎丸選手


◎ヤマハ発動機ジュビロ
○堀川隆延監督
「まず、たくさんのファン、ヤマハ発動機の社員の方々に応援にきていただき感謝しています。昨年いろいろとあり、今シーズンは選手が36人しかいませんが、そういったことをハンディと思わずに我々は自分達のやるべきことをしっかりとやる、ディフェンスで勝つと春から言い続けてきたことが今日のゲームの結果に繋がったと思っています。シーズン開幕の大事な1戦でしたが、目標は高いところにあります。次の近鉄戦に向けいい準備をしていきたいです」

○串田義和キャプテン
「ヤマハスタジアムで開幕をむかえ、NECさんと戦うことができ感謝しています。また、ご来場いただいた大勢の方に応援していただけて本当にありがたく思っています。春シーズンは、けが人も多くなかなか練習試合もできず、自分達のレベルがどうなのか不安に感じた時期もありました。しかし、夏合宿あたりからいいゲームができ、自分達のやってきたことに間違いはなかったと各自が認識し、春から取り組んできたディフェンスでNECさんを相手に勝てたことは非常に大きいと思います」

○五郎丸歩選手
「本当にしんどい時期もありましたが、それをチームで乗り越えひとつになったことが今日の勝利に繋がったと思います。会社をはじめ、多くの方がスタンドに足を運んでくれたことは、チームにとっても大きかった。選手数はトップリーグで一番少ないですがその分、ひとつになり勝ってみんなと喜びをわかちあえるようなチームを堀川監督、串田キャプテンを中心に作っていきたいと思います」

──前半30分、ハーフウェイライン外、約55MのPG成功。その時の気持ちは?
○五郎丸選手
「みんなが前で体を張ってくれたので決めなければ、という責任はすごく感じていました。結果として出たことはチーム、自分にとって非常にプラスだったと感じています」

──チーム全得点に絡む活躍でした。
○五郎丸選手
「ディフェンスからターンオーバー。ペナルティを貰い得点を積み重ねる。それは今年のうちらしい形。矢富選手のトライは、外で呼んでいたのでパスしました」

──昨シーズンはいろいろありましたが、これからどう戦っていくか。
○五郎丸選手
「いろいろあったことはマイナスと捉えていません。チーム一丸となり高い目標を取りたいです」

──今日の1勝。チームにとってどんな意味を持つのか。
○串田キャプテン
「開幕戦は去年の順位の近いもの同士の対戦が組まれていて、最終的にポイントを争う相手になるかと思います。そのNECさんに対し初戦で勝てたことはチームにとって勢いがつく1勝。次戦への弾みになると重要視しています」

──逆境を試される中、ホームで結果を出しました。
○串田キャプテン
「トライは少なかったのですがディフェンスで勝て、ホームで勝てたことは僕達にとって非常に大きかったと思います」
○五郎丸選手
「会社から、『ラグビー部は会社の求心力となるように』と求められているので、今日の勝利でそれを体現でき、お世話になっている方々へ感謝の気持ちであり恩返しができたのではと、思っています」

──ノーサイドの笛を聞いた時の気持ちは。
○五郎丸選手
「しんどい時期を乗り越え、春からディフェンス中心に切り替えここまでやってきた結果をホームで出せたことに、チーム一丸となった喜びを感じました」

──チームをディフェンス中心に切り替えた経緯は。
○堀川監督
「自分達の会社にとっての存在価値はと考えた時、まず『体を張ること』で、それはボールを持って突進するというより、体を張ってディフェンスをする。メンタル的にもこういったことが重要になってくる。トップリーグまでの短い期間にチームを36人で強化するため、当然いろいろなリスクは承知ですが、ディフェンスはある程度、成果を残せるのではないかと。アタックに関しては、素晴らしいボールキャリアが多くいますので、まずディフェンスでしっかりした土台を作る、そういう経緯でディフェンスをコアとしました」

──その素晴らしいボールキャリアのひとりとして、ディフェンス中心のチーム作りに抵抗はなかったのか。
○五郎丸選手
「大学の時もディフェンス中心でやってきたし、ヤマハの強かった時期はディフェンスがよかったので今シーズン、原点に返ってチームがよくなったと思います」

──後半7分に逆転してからはNECに流れを渡さなかった、そのモチベーションは?
○串田選手
「僅差のゲームはひとつのプレーで流れが変わってしまいます。ボールのキャッチ、パスといったひとつひとつのプレーに対し高い意識を持ち忠実に行うことで流れはこちらに来ると思っていました。あとは反則をしない。ノーペナルティ、といった声をかけあうなど、チーム全体に規律の意識を浸透させたことでしょうか」

──1試合PG8本成功はトップリーグ新記録。神がかり的なキックは見ている方も勇気をもらえましたが選択に迷いはなかったのか。
○串田キャプテン
「ペナルティを貰った時点で迷いはありませんでした。五郎丸と目が合い『いけるよね』という感じで、信じていました。その想いを感じ五郎丸も決めてくれたと思っています」
○堀川監督
「何もいうことはありません」

──これからもキックを主体にしたゲームプランが中心になるのか。
○堀川監督
「基本的なゲームプランを変えることは考えていません。もちろん、トライチャンスは取りにいきますが、狙えるところは狙います」

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NECグリーンロケッツ
岡村要ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
岡村要ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン


◎NECグリーンロケッツ
○岡村要ヘッドコーチ
「NECグリーンロケッツヘッドコーチの岡村です。今シーズンもよろしくお願いします。我々は死力を尽くしましたが後半は、ヤマハさんのディフェンスがよく、一言で表せば本当に残念な結果でした。夏合宿から規律を掲げてきましたが、自分達のミス、ペナルティで苦しんだゲームだったと思います。あとは、レフリーとのコミュニケーションがとれず、中でもコンタクトエリア周辺はすごく残念だったと感じています」

○ニリ・ラトゥ キャプテン
「前半最初の出だしはよかったのですが後半の内容は悪く、逆にヤマハはすごいチームになっていた。シーズンは長い、ポジティブな部分も見せることはできたと思うので次からしっかり修正しやっていきたい」

──ポジティブな部分、後半悪くなった原因は。
○ラトゥ キャプテン
「前半、ラックからのクリーンアウトがよく、NECはスロースタートと言われているが早い時間帯で14点取ることができた。後半に関しては岡村ヘッドコーチが言われたように規律が一番影響したと思う。ヤマハのプレッシャーもあって我々がミスをしてしまった」

──前半14点を取ってからその後、PGを狙わなかったのは?
○ラトゥ キャプテン
「我々の強みのひとつはラインアウトモール。この日もひとつトライを取っていたので自信を持ち、フォワードは努力しましたが取れなかった。ペナルティ後の判断は難しい。ゴールを狙うというオプションは今後、考えていかなければと思いました」

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