11節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 34-33 豊田自動織機)

ヤマハ発動機ジュビロ 34-33 豊田自動織機シャトルズ
【week11/2010年12月18日(土) at 京都・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場】

ヤマハ、シーソーゲームを制し貴重な勝ち点5をゲット

混沌の順位争いの中、「降格」の2文字の影を払拭したい両チームにとって、自力で抜け出すためにも求めるは勝利、そして最大の勝ち点。この季節、特有の冷たい風が吹き荒れるヤマハスタジアムでの試合はホーム、ヤマハ発動機ジュビロのキックオフで始まった。

前半、トスに勝ちながら、あえて不利な風下を選択した豊田自動織機シャトルズが2分、主将SH吉田のトライで先制。さらに12分、接点でボールを奪い、薄くなったヤマハのディフェンスラインを突き破り、最後はWTB岩根がトライしリードを広げる。
豊田自織の勢いに押され気味のヤマハだったが、SO大田尾が積極的に前へ出て揺さぶりをかけると、16分に待望のトライを自らあげ、22分には華麗なオフロードパスを見せFL河本のリーグ戦初トライを演出。FB五郎丸のキックも決まり12-12の同点。
豊田自織は追いつかれた後、自陣でペナルティを繰り返し32分、PGを決められヤマハに15-12と逆転されてしまう。37分、ヤマハのCTBサウが危険なタックルでシンビンとなり豊田自織は数的優位に立つも、簡単にヤマハにボールを渡してしまい、ヤマハ五郎丸がタッチに蹴り出し前半終了。

後半のスタートを、シンビンのサウ抜きの14人で戦うヤマハに対し、風上を利用し逆転を狙う豊田自織は、SOウィリアムスのキックで相手陣の深い位置に入ると、ヤマハのミスを見逃さず連続で2トライを奪い、15-26と再び逆転。後半、意図通りに試合運びを進めたかに見えた豊田自織だったが、ミスやペナルティで流れを掴みきれず、9分シンビンから戻ったCTBサウにトライを決められてしまう。
WTB津高を走らせるなど攻撃に変化をつけたヤマハは、プレッシャーを受けたラインアウトに苦しみながらも徐々にリズムを引き寄せる。そして26分、FL河本の今日2本目のトライで27-26と逆転し1点のリード。このまま主導権を握りたかったが、豊田自織も粘り強くボールをキープ。33分、ラインアウトのラックからPR浪岡のトライとSOウィリアムスのゴールも決まり再び逆転の27-33。

残り2分、今度は故意の反則で豊田自織にシンビン。この数的有利にヤマハはトップリーグでの経験値を見せ、落ち着いてラックを連取。歓声、悲鳴、40分を告げるホーンが響く中での連続攻撃から、ついにWTB辻井が右中間にトライ、32-33と1点差。そして、観客が固唾をのんで見守る中、FB五郎丸のゴールキックが決まり34-33とヤマハがホームの大声援に応える劇的な勝利、貴重な勝ち点5をゲットし自動降格圏内から抜け出した。1点差で敗れた豊田自織は勝ち点2を加え、残り2節に望みを繋いだ。

マン・オブ・ザ・マッチは勝負どころでボールへの嗅覚を発揮し、2トライをあげたFL河本明哲が嬉しい初受賞。

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会見ダイジェスト
ヤマハ発動機ジュビロ
堀川監督(右)、五郎丸ゲームキャプテン
堀川監督(右)、五郎丸ゲームキャプテン


◎ヤマハ発動機ジュビロ
○堀川隆延監督
「まずは、ホームゲームでたくさんの方の熱い声援を受けて80分間戦えたことに感謝します。そして最後の最後まで素晴らしいゲームを繰り広げていただいた織機の選手の皆様にも感謝します。試合の中身に関して、たくさん反省するところはありますが、とにかく最後まであきらめずに戦い抜いた選手たちを誇りに思います。残り2つ、まだ大事な試合が残っていますので、今日の反省をこの1週間でしっかり修正し、次のNTTに挑みます」

○五郎丸歩ゲームキャプテン
「監督と同じですが、多くのファン、社員の方に見守っていただいたことを誇りに思いますし、その中で勝てたことは、非常に嬉しいです。ホームゲームというプレッシャーはありましたが、選手全員でホームのプライドをしっかり持って戦おうと話しました。前半は織機のプレッシャーが厳しく、思うようにいきませんでしたが、結果として勝てたことはチームにとって大きい。修正点は多くありますが、まずは次のNTTに向けしっかりやっていきたい」

──今日のキックの調子は。
○五郎丸ゲームキャプテン
「あたっていました。ただ、ヤマハスタジアムは風の方向が一定ではなく、場所によって違う。それを試合前にチェックしておいてよかったです。最後のキックは、左から右に風が流れるというのをわかっていましたので、左を狙いしっかり蹴りました」

──後半開始直後、風を利用され相手にトライを奪われた後の円陣で話したことは。
○五郎丸ゲームキャプテン
「自分たちはシンビンでひとり少なかったので、時間の使い方とディフェンスの修正点をしっかりチームで話しました」

──場内インタビューでは最後のキックを「緊張した」と話していましたが。
○五郎丸ゲームキャプテン
「9節のクボタ戦に比べると社員の方、同じ職場の方がたくさんいたので、プレッシャーは感じました。風も強く、100%自信があったかと言われるとそこまで‥‥。ただ、左を狙ってしっかり蹴れました」

──後半の失トライに繋がるミスが出てしまった原因は。
○五郎丸ゲームキャプテン
「やらなければいけない、というのはひとりひとり、わかっていると思うのですが、結果的にミスが重なってしまうというのが、今のチームの弱さであり、修正点のひとつだと思います」

──織機の順位は、精神面に影響があったか
○五郎丸ゲームキャプテン
「気の緩みは一切ありません。自分たちも順位を気にしている場合ではない。目の前のことに対し100%でやるだけ。試合に向け今週は気持ちが入った練習はできていたので、そう見えたのであれば、織機さんが素晴らしかったと思います」

──ハーフタイムの指示は。
○堀川監督
「あまり話していません。ひとり少なかったので、そこに対するポジショニング、あとは五郎丸を含めリーダー陣がしっかり話をすること、ぐらいです」

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豊田自動織機シャトルズ
田村監督(右)、吉田キャプテン
田村監督(右)、吉田キャプテン


◎豊田自動織機シャトルズ
○田村誠監督
「勝ち試合を最後の最後でひっくり返され、非常に勿体無いという気持ちでいっぱい。ただ、後半節になってからチームがすごく強くなっている。負けているものの、選手たちがよくがんばっていることを肌で感じられたことは、変な言い方ですが嬉しい。まだチャンスはあると思う。試合が続く限り勝っていい結果を出す。前向きにがんばりたい」

○吉田正明キャプテン
「正直、悔しいの一言だけです」

──試合の中で良かった点、悪かった点は。
○田村監督
「良かった点は、例えば10番の周辺プレーでスコアできたのは狙い通り、自分たちのやろうとしたゲームプランで得点がとれたところ。あと、もうひとつ、トスに勝ってアゲインストを選択し、前半からしっかり得点して、少しの差であれば後半、必ずこういう展開になる。ある意味、ギャンブルをしかけ、ビハインドを背負いながらも、ここまできたのはよかった。ただ風上の後半、敵陣にいる時間が少し短かった。ひとつのアタックチャンスが、ミスによってワンアタックで終わってしまい、2トライを取った後のボールキープが短く、相手にとどめを刺すところまでいかなかった。ヤマハさんは、どれだけ離されても最後までボールを繋ぎ、うちのディフェンスの切れ目を突いてきた。場慣れしているし、僅差で勝ってくる強いチームだという印象で、そこを上回れないのが、今のうちの実力かと感じました。

○吉田キャプテン
「監督の言ったとおり。敵陣に入った場面でのミスが後半は目立った。あそこのキープ力があればもう少し、点差も開いたのかもしれません」

──他会場の結果は。
○田村監督
「途中に聞きましたけど、うちがコントロールできるものでもなく、僕らは勝つしかありません。今、どういう順位なのか、試合直後なのでわかりませんが、今日の2ポイントで首の皮が繋がっているかどうか」

○吉田キャプテン
「今日は自分たちの試合をすることだけしか頭に入れていないので、他会場の結果は試合が終わってから。ゲームコントロールに影響していません」

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