13節 マッチサマリー(東芝 26-10 サントリー)


東芝ブレイブルーパス 26-10 サントリーサンゴリアス
【week13/2011年1月10日(月祝) at 東京・秩父宮ラグビー場】

東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー
12節を終えて2位に付けていた東芝ブレイブルーパスが、ブレイクダウンで見せた再三のターンオーバーでサントリーサンゴリアスのアタックを寸断。トライ数4-2で快勝し、この日第一試合で敗れた三洋電機ワイルドナイツを抜いて、ラウンドロビン1位でのプレーオフ進出を決めた。

昨年まだ蒸し暑かった9月に始まったトップリーグも、早いもので最終節。例年味の素スタジアムでの対戦であった府中ダービーは、12節まで2位(東芝)と3位(サントリー)の対戦となった。立ち上りは、今やサントリーの正SHとなった新鋭・日和佐がブレイクダウンやPKから素早く展開し、ディフェンスラインに接近したところでSOピシやCTBニコラスらがループを交えて弾くようなパスを繋ぐ軽妙なアタックを見せていたサントリーが優勢だった。

しかし9分に先制したのは東芝。サントリー陣右サイドから左オープン、ラインに入ったFLベイツが踏ん張り、オフロードパスを受けたSOヒルがトライ。前半風上の東芝は、そのヒルの大きなキックで地域を取り、23分にも左タッチライン際でボールを受けたヒルが再びトライした。

ハーフタイムにはバックスタンドのサントリー応援団前でチアーを披露したアニーズのサポートも得てサントリーが巻き返すかという後半だったが、3分に先制したのはまたも東芝。サントリー陣中央付近ラックの真ん中をLO大野が突破、そのまま一気に中央へ。
その後サントリーが右隅へのFLクレバーのトライで踏み留まるかに見えたが、16分にはそのクレバーが突破した後に東芝の選手へパス。東芝は一気に逆襲し、途中出場のNo.8山本がチーム4トライ目に結び付けた。
この日東芝のFBには松田(40)が先発し、後半29分に退くまで元気にプレー。敵将E・ジョーンズをして「素晴らしいこと。ラグビーを好きであるが故。それは東芝の強さでもある」と言わしめた。

サントリーは、何度かラインブレイクして攻め込むものの、仕留めの局面でのターンオーバーやミスから東芝にボールを献上。終盤、途中出場WTB成田がインターセプトから走り切ってチーム2トライ目をあげるまでが精一杯だった。

この日の結果、この2チームは2週間後にプレーオフ準決勝で再戦することになったのだが、ジョーンズ監督は「チャンスはあった。今日それを活かしたのは東芝だったが、2週間後はサントリーがチャンスを掴みたい」と語っていた。(米田)

会見ダイジェスト
サントリーサンゴリアス
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン
ジョーンズ監督(右)、竹本キャプテン


◎サントリーサンゴリアス
○エディ・ジョーンズGM兼監督
「寒かった(と一言日本語で、以下、英語で)東芝さんは良いプレーをしていました。最初に得点を取られて、ブレイクダウンでも良いコンテストをしていました。後半は良い形で戻れたのは良かったですが、何点か修正したい点がありました。2週間後に東芝さんと再戦するまで、準備したいと思います。過去4年間、日本のラグビーは東芝さんが決めてきました。サントリーにもそのチャンスがありましたが、それを生かせませんでした。しかし、今度こそやります!」

──東芝とはプレーオフで戦う可能性が高いので、作戦を隠したのか。
「今はもう隠すことはありません。だが、2週間で、もう一度チャンスがあります。何か(新しい作戦を)出せるように考えておきます(笑)」

──40歳の東芝・松田選手に対して
「彼が26歳、私が36歳の時にコーチをしたことがあります。彼の方がルックスが良い(笑)。ファンタスティックな選手です。ラグビーが、試合が好きなんだと感じます。彼のプレーは見るだけでも良い感じが伝わってきます。今年網走で、その日は試合のメンバーでなかったのですが、ジョン・ボーイ(松田選手のこと)はフィットネスを頑張って、若手に勝っていました。40歳でここまでやるか、と思いました。東芝さんが強い理由の一つです。ラグビーが大好きで、チームが大好きなんですね。サントリーも見習ってそういう雰囲気を作りつつあります。だけど、40歳になったのだから、髪の毛は切った方が良いですね(笑)」

──三洋に逆転勝ちしたときと比べて。
「三洋戦はブレイクダウンをコントロールできました。今日はアタックの時、ターンオーバーされました。今日は、最初、我慢できずに、ちょっとパスしたりして、ボールコントロールが違っていたと思います」

──小野沢選手が2年連続のトライ王になったが。
「今日は3トライするはずだったので、アンハッピーです(笑)。彼も松田選手と同じように40歳までプレーできる本当に素晴らしい選手です。サントリーでも長期間、良い選手を続けているし、60数個のキャップもあるし、あと2~3シーズンできない理由はありません。一生懸命にハードワークを、しかも自然に行うことのできるラグビー選手です」

──2週間で、どうやってブレイクダウンを強くするのか。
「ブレイクダウンでは判断が求められます。もちろんレフリーも。ゲートが大きいのか、どうプレーするのか、レフリーによって見極めていくことも大事です。相田レフリーの今日の笛はずっと良かったと思います。しかし、こちらが彼の吹き方に対応できなかったのも事実です。ブレイクダウンだけでなく、アタックの質を高めることも重要になります」

○竹本隼太郎キャプテン
「8月にやったときと比べて競った試合ができて、背中が見えてきたかなと思います。負けは残念でしたが、ポジティブにとらえて、東芝さんも良いチームですので、そのチームに勝つことを楽しみにするチームにしていきたいと思います」

──ブレイクダウンは。
「良い準備をしてきたが、それ以上に東芝さんのプレーが良かったと思います。次は、二人目の寄りとか1対1での勝負にこだわりたいと思います」

東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー   東芝 26-10 サントリー
東芝ブレイブルーパス
瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン
瀬川監督(右)、廣瀬キャプテン


◎東芝ブレイブルーパス
○瀬川智広監督
「最終節ということで、第1試合も第2試合も沢山のお客様に秩父宮においでいただき、感謝しています。サントリーさんと、『オリジネイト』を掲げた東芝のブレイクダウンを追求してきた意地の張り合いの両チームの対決に勝てたことを嬉しく思っています」

──ブレイクダウンを圧倒したが、どんなプランであったか。
「今日は、サントリーさんへの戦略はもっていませんでした。ただ、接点を東芝流に立って動かすことだけ、選手は同じ思いでいました。そのままでやってくれと言いました」

──15番を松田選手が付けたが。
「東芝のポリシーとして、良い状態の選手がジャージを着る、というのがあります。今日に関しては松田が袖を通したということだけです。派手なランはないが、適確な指示で味方を鼓舞し、危ないスペースを埋めてしっかり仕事をしてくれました」

──ブレイクダウン、ディフェンスが良かったが。
「僕たちは『ジャッカルしない』をキーワードにしています。ボールを奪い返すのでなく、ボールを越えていく感覚です。なかなかできなかったのですが、13節まで来て一人一人のタックルが切れてきました。今日は二人目以降が前へ出ましたね。大舞台でよくやってくれたと思います」

──山本、吉田良平選手ら若手の評価は。
「今日出た選手も、出なかった選手も実力はあります。僕らの中では与えられるものでなく、勝ち取った者がジャージを着るという考えですが、その結果、大きな試合でも実力を発揮してくれたと思います」

──プレーオフに向けて。
「作戦も何もなく、ブレイクダウンを動かしてやりきるのが我々の試合です。しっかり準備していきます」

○廣瀬俊朗キャプテン
「まず、多くのファンの皆様に来ていただけたことに感謝いたします。東芝も良いゲームができましたが、これもサントリーさんあってのことで、ずっとサントリーさんのアタックする心意気が嬉しくて、試合をしていました。最後の最後で1位通過できたことは嬉しく思います。ここから本当にもう一度レベルアップしてラグビーの醍醐味を伝えていけたらと思います」

──松田選手がディフェンスもアタックもブレイクダウンもやって、すごい運動量だったが。
「ジョンさん(松田選手)の凄さはピンチを作らないことです。早めに摘み取る危機意識が素晴らしいと思います。後半はかなり辛かったと思いますが、頑張ってくれとお願いしました。
(瀬川監督が横から『予定より10分オーバーでした。足がつったという情報が入りましたが、行けるところまで行ってくれと伝えて、代えてくれとも言ってきましたが、さらに10分引っ張りました』とコメント)」

──快勝の感想は。
「勝ち負けより、東芝のラグビーをやれるか、レベルアップしていけるかと臨みましたが、満足しています」

──第1試合で三洋が負けたので、自動的にプレーオフもサントリー相手となると考えたか。
「普通で言うと考えますよね。でも一番大事なのは東芝のラグビーをやることで、過程が大事でした。ですから、気にしませんでした。勝てば1位通過とは分かっていましたが、ペナルティもらっても攻めたかったから、ガンガン行きました」

──1位通過のこだわりは。
「長いリーグ戦で、強いチームがこれだけある中で、1つのタイトルとしても良いのではと思っていますので、凄く嬉しいです」

──サントリーキャプテンは8月のプレマッチより、対等に戦えたと言ったが。
「当然、プレマッチと十何節戦った後とでは完成度が違います。向こうとして、そう思うのは当然だと思います。僕はそれについて、特に何か言う立場ではありません」

──結果的に2試合続けて同じ相手となったが、やりやすいか。
「僕は相手がどこでも、良いラグビーをやって喜びたいと思っています」

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