13節 マッチサマリー(神戸製鋼 61-7 豊田自動織機)

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C:2010, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 61-7 豊田自動織機シャトルズ
【week13/2011年1月9日(日) at 兵庫・ホームズスタジアム神戸】

今季リーグの神戸開催最終戦は、神戸製鋼SOグラントがブラインドサイドへ蹴りこんだキックオフからスタートする。トップ3とのゲームプランニングと異なり、サイドアタックに固執せずボールを積極的に動かす神戸製鋼、幾度となくゴール前に迫るも集散が悪く、ターンオーバーされチャンスを潰す。

7分、神戸製鋼が豊田陣内22mまで持ち込んだラックをターンオーバーした豊田SOウィリアムスが上げたパントを神戸製鋼FB15濱島が処理ミス、ウィリアムスがそのまま拾いT(G成功0-7)。前がかりが過ぎ、キックディフェンスを疎かにした間隙を突かれた失点。ワイルドカードトーナメントを優位な組み合わせにするためにも、是が非でも5ポイントが欲しい神戸製鋼に暗雲が漂う。
嫌な流れを吹き払ったのは、久々の先発出場、HO村上。10分、ゴール前左ラインアウトから形成されたモール、持ち出した村上が献身的な動きからFL7ブラッキーに繋ぎ左中間にT(G不成功5-7)。ブレイクダウンに人数をかけず、オープンプレーを徹底する"MOVING RUGBY"の実践を試みる神戸製鋼だが、詰めの甘さから得点に繋がらず、豊田自動織機に押し込まれる場面もしばしば、リズムに乗れない。

一進一退が続いた18分、豊田陣22mラインアウトより右展開、SOグラントがギャップを突き、あっさりT(G成功12-7)。アタック、ディフェンスとも怖さが感じられない豊田自動織機バックスを積極的に攻める神戸製鋼だが、プレーに"軽さ"が目立ち得点に至らない。ようやく36分、ハーフウェイ付近スクラムから左展開、SOグラントが突破した"ウラ"をCTB今村がフォローしT(G成功19-7)。前半を終了する。

後半早々の41分、連続アタックを繰り返し豊田陣内に迫った神戸製鋼は、ゴール前左ラックより、LO谷口からパスを受けたCTB13山本が左中間に飛び込みT(G成功26-7)。4Tでボーナスポイントを獲得、更に畳み掛ける神戸製鋼は、46分にもハーフウェイ付近スクラムからの左展開、CTB今村→途中交替のWTB大橋→FLブラッキーと繋ぎT(G成功33-7)。
ここから中弛みの悪癖が顔を見せたが、63分CTB今村の力強いランから生まれたWTBアンダーソンのトライを起点として、ラッシュを重ね、3トライを追加、ファイナルスコアは61-7、怪我で途中退場したWTB大畑の地元神戸での"ラストゲーム"を飾った。

ただ、トップ3とのゲームに比して、堅実さより積極性という意識の裏に潜む"軽さ"が目立ち、日本選手権でのアップセットを期待するには程遠い内容。フィットネススキルの向上が芽吹き始めただけに、ワイルドカードを挟んだ残り時間での苑田ヘッドコーチの手腕が試される残りシーズンとなった。(廣島 治)

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会見ダイジェスト
豊田自動織機シャトルズ
田村監督(右)、吉田キャプテン
田村監督(右)、吉田キャプテン


◎豊田自動織機シャトルズ
○田村誠監督
「前節降格は既に決まっていたが、選手達のモチベーションは下がっていなかった。ただトップ4を目指すチームと降格争いをしているチームとの力の差があった。トップリーグ創生期から参加しているチームの選手と、そうでないチームの選手はどれをとっても違うことを痛感したシーズンでもあった」

○吉田正明キャプテン
「前節降格が決まったが、この一年間、選手としては成長できたシーズンだったと思う」

──今シーズンは前半競って、後半突き放されるという傾向があったが、来年トップウェストリーグで戦うにあたってはどう考えるか?
○田村監督
「トップリーグはスピードが違った。簡単なキャッチミスやワンブレイクされてからのトライを減らさないといけない。どの場面で力を出すべきか、そこを見極めることが重要。そのことを来シーズン一年間忘れずに戦えるかがテーマとなる」

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神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(左)、林ゲームキャプテン
苑田ヘッドコーチ(左)、林ゲームキャプテン


◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ
「地元のホームズスタジアム神戸で勝つことができて嬉しい。前節のサントリー戦で自分達のレベルアップが実感できただけに、今日は大切な一戦だった。良い準備ができて、良い試合ができた」

○林 慶鎬ゲームキャプテン
「次のワイルドカードトーナメントに繋がる、自分達の目標通りのゲームをしようとして、そのとおりできたと思う」

──大畑選手の負傷退場については?
○苑田ヘッドコーチ
「彼は一緒に戦ってきた戦友であり、この試合で終わるのは悲しい。最後に良いパフォーマンスを観たかっただけに、残念だ」
○林 ゲームキャプテン
「試合前、『大介さんのためにも良いゲームを』と意気込んでいただけに、大畑選手の負傷退場後は若干落胆したものの、気持ちを切らさないように心がけた」

──今節でリーグ戦は終了するが、シーズンを振り返っての感想を。
○苑田ヘッドコーチ
「目標と異なった順位となってしまったが、後半地力がついてきて、今日も良いゲームができた。結果は本意ではないが、ワイルドカードトーナメント、日本選手権につながる戦いはできたと思う」

ありがとう、大畑大介選手
ありがとう、大畑大介選手

今シーズン限りでの引退を表明している大畑大介選手の記者会見から

「唯一無事だった膝が壊れました。右膝の膝蓋腱の断裂と診断されました」

──全治はどれぐらいですか?
「普通に生活するのにも2、3ヶ月かかるそうで、選手としては無理‥‥終わりました」

──どのような状態での負傷ですか?
「タックルに来た相手をかわした時に、芝に足が引っかかり、そこに相手選手に乗られてしまった。たくさん怪我をしてきたが、膝だけはしたことがなかった。それがここまで現役を続けてこられた要因なのに‥‥」

──試合終了後、ファンに手を振っていたがどのような気持ちで?
「ただ、感謝の気持ちで手を振りました」

──ラグビー人生を振り返って。
「本当に激しかった。最初にイメージした終わり方とは違うが、自分らしくて良いと思う。いろいろとあったシーズンだったが、本当に日々できることをしていた。こんな形で終わるのは寂しいが、自分ではよくできたと思う」

──前節負傷したが、今日の試合前の感覚は?
「またどこかで肩が外れるかもという不安はあったが、それ以上に神戸での最終戦に出られるという喜びのほうが大きかった。悔いは無い。やりきったという感はある。でも、これで終わりなのかな‥‥自分の中では複雑です。ただこれからの残されたシーズン、チームを応援していきたい」

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