11節 マッチサマリー(NEC 24-18 コカ・コーラウエスト)

NECグリーンロケッツ 24-18 コカ・コーラウエストレッドスパークス
【week11/2012年1月22日(日) at 東京・秩父宮ラグビー場】

今日は「いい夫婦の日(1月22日)」特別イベントも行われた。小雨・ひざ掛けが必要なほど寒い。ファンは屋根付きの場所での観戦。(後半は雨が上がった)
滑りやすい芝で、選手は慣れるまで大事なところでスリップもした。NECグリーンロケッツは緑・白、背番号は汚れて見難い、コカ・コーラウエストのジャージは赤、膨張色でも敵選手と比べ全体的に小さく見えた。

このカード、過去5回の対戦は、NECグリーンロケッツの3勝、コカ・コーラウエストの2勝、得点差は昨年の25点を除けば、いずれも10点以内の少差、トライ数も双方最大で5T以内と少ない。今回もNECグリーンロケッツは4T、コカ・コーラウエストは2T、点差も6点差と、統計通りとなった。
互いの相性とディフェンスの良さがこの記録となっているのだろう。兎に角、双方とも守りが堅い、前半11分頃15m付近のNECグリーンロケッツのラインアウトから始まり22m付近でラック、そのラックからこぼれるように出たボールが拾い上げられ11番ナドロにタイミングよくパス。ゴール前で倒されるも腕を一杯に伸ばしてやっとのことで先制トライ。
前半22分頃、ラインに展開を繰り返すコカ・コーラウエストの攻撃、22m付近の攻防では5回目のラックの後、NECグリーンロケッツがたまらず反則、コカ・コーラウエストがPGを決めて7-3。さらに前半33分、ポスト正面、ゴール前から約30m付近からPGを狙い成功。
前半は、双方とも何とか得点に結びつく糸口を見つけるプレーを続けた。FWのモールに拘るボールの停滞がなく、ボールはWTBまで良く回った。得点が無くとも連続プレーにファンは沸いた。FW戦はNECグリーンロケッツが上、早い球出しはコカ・コーラウエストのペースであった。互角の戦い、前半は7-6で終了。

後半は、ハイパントの正々堂々の競り合いや低い弾道のキックの応酬など、チャンスや相手のミスを狙う展開に転じた。PRは6人とも100キロ以上、コカ・コーラウエストは大事なところでスクラムのコラプシングを取られる。ラインアウトは、競り合いながら相手に取られた前半のミスや不安定さも無くなった。
NECグリーンロケッツは、後半3連続トライを見せた。いずれもセットからの得点。後半2分、ラインアウトからスクラムに変わり左に回して左フランカーが役目を果たし左中間にトライ。後半8分、スクラムからのボールを10番からCTBの位置にいた11番ナドロにパスして一発で突破、左ゴールポスト下にトライ。後半14分、ゴール前5mでのラインアウトからモールの攻防を制してトライ。

しかし、NECグリーンロケッツの得点もここまで、自動降格を避けたいコカ・コーラウエストの動きは、前半同様のリズムが戻ってきた。後半23分、敵ゴール5mゴール前のラインアウトから、左ラインに回し、NECグリーンロケッツのディフェンス・CTB同士が重なったところに隙間が出来、14番パエアがすり抜けトライ(24-13)。後半30分には、NECグリーンロケッツの低いキックをコカ・コーラウエストがチャージ、22m付近まで2名で追いかけ、低い位置を転がるボールでもキャッチができればそのままトライかと思われるチャンスがあった。しかし、偶然にも足に当てたボールはインゴールへ、選手が入り乱れ、最後はNECグリーンロケッツがタッチダウンしてドロップアウトに変わった。残り10分、NECグリーンロケッツは5mラインで死守、コカ・コーラウエストは攻撃しても簡易なミス。CTBからWTBにも回せない状況となった。
後半39分意地のトライを見せたが、1トライ足りなかった。後半30分でトライを取っておけば展開も変わったかもしれない。
NECグリーンロケッツは苦しみながらも勝ち点5をゲット、ベスト4が見えて来た。またコカ・コーラウエストは、貴重な勝ち点1を確保し、残り2試合にトップ残留の望みを託す。(長澤 孝哉)

NEC 24-18 コカ・コーラウエスト   NEC 24-18 コカ・コーラウエスト   NEC 24-18 コカ・コーラウエスト   NEC 24-18 コカ・コーラウエスト
会見ダイジェスト
コカ・コーラウエストレッドスパークス
向井監督(右)、平原キャプテン
向井監督(右)、平原キャプテン


◎コカ・コーラウエストレッドスパークス
○向井昭吾監督

「本日はどうもありがとうございました。昨日からの雨もあり、敵陣に入ってボールを動かそうという作戦でした。後半の最後はうちのラグビーができたと思います。勝ち点を取らないとトップリーグに残れないということは選手もよく分かっています。そこで、勝つラグビーにちょっと変えました。ボールをあまり動かさないで、点を取られないラグビーにしました。必ず、トップリーグに残ります」

──次の試合のメンバーは?

「メンバーとして、築城もティムも戻ってこられそうです。アタックの威力が増すかなと考えています。負けて下へ落ちたら何にもならないので、勝つラグビーに集中して、試合の内容が変わってきました」

──今日のエリアマネジメントなどについて?

「去年は最後の4試合に勝ちましたが、その時の勝つためのラグビーに戻しました。今年のチャレンジとしてやってきたラグビーでは、アタックはするが、展開すればするほどターンオーバーされて負けるパターンでした」

──ナドロ選手に2本獲られたが?

「今日はディフェンスの方法を変えました。ただ、彼で2本トライを獲られるのは仕方ないが、その分、こちらも2本獲れると思っていました。NECさんはディフェンスでターンオーバーして得点するチームです。確かに、彼が入って得点力は上がりました。しかし、彼をストップすれば逆にこちらも得点できると選手に意識させましたが、うまくいきませんでした。195cm/130kgの相手ですので、二人でマークせざるを得ません。センターにいると厄介なプレーヤーです。ディフェンスがウィークポイントで、ウィングに位置するときは逆にチャンスになると思っていましたが、そこのところをパエアがうまく突いてくれました」

○平原大敬キャプテン

「どうもありがとうございます。本当に残り3試合で、後がない戦いです。前半は自分たちの思い通りの展開でしたが、ペナルティを取られてチーム内で崩れた部分がありました。自分たちのプランをやりきる試合にすることを徹底し、あとの2試合を戦っていきたいと思います」

──勝つラグビーのモチベーションは?

「一昨年、やっていたプランと変わらないので、選手にはイメージが付いています」

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NECグリーンロケッツ
岡村ヘッドコーチ(左)、ラトゥ キャプテン
岡村ヘッドコーチ(左)、ラトゥ キャプテン


◎NECグリーンロケッツ
○岡村 要ヘッドコーチ

「まず、寒い中、大勢のファンの皆様の応援に深く感謝いたします。見た目以上にボールがスリッピーで、キャッチングスピードから予想以上に時間がかかり、パス回しに苦戦しました。中盤でパスが多かったのはどうなのか、ビデオを見て分析したいと思います。ただ、最大のポイント5を取れたのは良かったと思います。今日はコーラさんのハートの入ったディフェンスをうまくずらしたが、最後に獲られたのは、相手が良いチームなので仕方がないところでした」

──24点からスコアを動かせなかったが?

「我々の良いところと悪いところが出ました。後半の前半は、エリアも取れましたし、コントロールもできていました。コーラさんのペースが出てきたとき、こちらのスイッチが入り、中盤で持ち過ぎたかなと思います。やはり、コーラさんはボールを持っていない時の方が元気になって来ます」

──マッキンタイアー選手の投入は?
「Aゾーンまで、クイックで蹴り込み、ゴール前にくぎ付けにしたかったので起用しました。前半は田村選手しかキッカーがいませんでしたので」

──ハーフタイムの指示は?
「シンプルに、Aゾーンまでキックで行こうと。ラインアウトモールでも2本獲れましたし、練習してきたことが出せました。ただ、後半最後のコーラさんの鬼気迫る攻撃にはやられたと思います」

──日本選手権のワイルドカードは取れたが?
「はっきり言って、考えていません。とにかく、一戦一戦、強い意志で、トップ4に入るんだという設定で臨んでいます」

○ニリ・ラトゥ キャプテン

「最下位のコーラさんと言えども、激しく前半から来ることは分かっていました。我々はそれをうまく出させなかったことが勝因です。前半は、ボールコントロールがうまくいかなかったが、ハーフタイムに修正することができました。勝ち点5を取れたのは素晴らしいと思います。時間は短いが、今日のミスを修正して次週の試合に臨みたいと思います」

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