11節 マッチサマリー(パナソニック 29-27 神戸製鋼)

パナソニック ワイルドナイツ 29-27 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
【week11/2012年1月22日(日) at 群馬・太田市運動公園陸上競技場】

パナソニック 29-27 神戸製鋼   パナソニック 29-27 神戸製鋼
この人にしかできない身のこなし ハンドオフで一気に加速、マイク・デラーニ
(写真提供:上毛新聞社)
幾多の名勝負を演じてきた両雄の対戦が、パナソニックの地元・太田で行なわれた。勝負に対する強い執念は両チームとも変わらず、シーズン終盤にふさわしい息詰まる熱戦を演じてスタジアムを訪れた2,010人のファンを魅了した。

前半は開始早々のPGで先制した神戸がペースを握り、積極的にワイドにボールを動かした。一人ひとりの激しい当たりでパナソニックを防戦一方にする場面も見られた。一方のパナソニックは何度か好機を作るもミスでトライまで取りきることができないが、SOデラーニの個人技によるトライで追いつき10-13とほぼ互角のスコアで折り返す。

後半に入ると徐々に、ターンオーバーから一気に攻め上がるパナソニックの強みが出始めてトライを重ね、逆転から一時は24-13まで点差を広げる。しかし神戸も粘りを見せ27分にグラント、32分には途中出場のSH猿渡の速攻から見事にFB正面に繋いで連続トライを上げて再逆転。伝統の一戦にふさわしく勝敗は最後までもつれる。

ここから、パナソニックが決して勝負を諦めない高い集中力を見せる。圧巻は37分の神戸ボールスクラム。それまで劣勢だったFWがこれを一気に押し込みマイボールにしてしまう。ここ一番の勝負どころでチーム全員がまとまって力を発揮できることが“負けない"パナソニックの真骨頂といえよう。結局ここで得たボールで攻撃を連続し、最後はホーンの鳴った後の43分にツイがゴールラインに飛び込んでパナソニックがこの熱いクロスゲームを制した。
マン・オブ・ザ・マッチには、攻守に高いレベルの技術を見せたジャック・フーリーが選ばれた。(群馬県協会 相澤悦朗)

パナソニック 29-27 神戸製鋼
激しいボール争奪戦
会見ダイジェスト
神戸製鋼コベルコスティーラーズ

◎神戸製鋼コベルコスティーラーズ
○苑田右二ヘッドコーチ

「自分たちのやりたかったことができた。最後に逆転されたが試合の内容としてはボールを動かすラグビーをすることができたのでよかった。まだまだステップアップできるので次のヤマハ戦にはベストな準備をして臨みたい」

○平島久照キャプテン

「自分たちがやってきたことが間違いではないということをチーム全員で確信できた。リーグ戦の残り2戦をしっかり戦って、(もう一度対戦する)チャンスがあればきっちりリベンジしたい」

──今日の収穫は?

○苑田ヘッドコーチ
「ほぼ80分間、勝ちに等しい戦いができた。パナソニックさんはキック主体だった。ウチの方がいい内容のラグビーをしていたと思う」
○平島キャプテン
「このレベルでも問題なく自分たちのラグビーができることがわかった」

──パナソニックを相手にどう戦うプランだったか?

○苑田ヘッドコーチ
「また再選するかもしれないのでお話ししたくありません(笑)」

パナソニック 29-27 神戸製鋼
執拗に襲い掛かるディフェンス
パナソニックワイルドナイツ

◎パナソニック ワイルドナイツ
○中嶋則文監督

「最後、選手がよく粘ってくれてトライまで持っていってくれたことを評価したい。前半はなかなか自分たちのペースをつかめなかったが、後半は入りの10分くらいからうまく修正して、エリアを取りながらチャンスをうかがう中でデラーニがいい判断でトライをとってくれた。ホーンの鳴った後も堀江を中心に選手が粘り強く戦ってくれた」

○堀江翔太ゲームキャプテン

「前節のトヨタ戦での課題を意識して試合に臨んだが、修正しきれずに前半は自分たちのミスで自滅したところがあり相手にリズムを与えてしまった。最後は粘って逆転できたので、課題も多いがいいところもあった試合だった」

──神戸製鋼の戦い方の印象は?

○堀江ゲームキャプテン
「FWも大きく、一人ひとりのスキルが高いチーム。単純に順目に振ってFWを当ててくるのではなくて、FWを残してワイドに振ったり、ポイントを一つ作った後に逆目を衝いてくるなどのアタックで、ディフェンスが足りなくなった場面があった」

──逆転された時にはどう対処したか?

○堀江ゲームキャプテン
「時間もあったのでそう焦らなかった。チーム全体の意識も強かったので特別なことは言っていない」

──最後のペナルティでショットの選択はなかったか?

○堀江ゲームキャプテン
「一瞬よぎったが、スラッシ(田邉)さんは「(トライを取りに)行こう!」と言い、チームも前に出ていたのでその選択に従いました。ウチは一つの選択を決めると全員がその方向にパッと向かうことができるので、ミスなくトライまで持っていけたと思う」

──ターンオーバーされた場面が多かったが?

○中嶋監督
「ボールキャリアーの姿勢が高く、ジャッカルの上手いジョシュ・ブラッキー選手の周辺でT.O.が起こっていた。相手の強いところに対して攻めてしまっていた」
○堀江ゲームキャプテン
「外に振った時に多かったと思いますが、僕らもけっこう数多く頑張ってT.O.合戦になっていたと思う(笑)。マイボールをキープできなかった点、特に大きくゲインした後の取りどころでノックオンなどのミスが多くイライラするところが多かった。取り急いでしまったことでクロスゲームになってしまったと思う」

──プレイオフ進出が決まったが、ここまでの戦いを振り返ってみて?

○中嶋監督
「W杯に出ていた選手や怪我人も多くチームとしての練習する時間がなかった中で、お互いに小さないことを克服しながらよく戦ってくれたと思う。シーズン途中でも相馬をメンバーから外して刺激を与えたりということをしてきながら、しっかりと勝って結果を残してきたことは評価できる。リーグ戦残りの試合を一つひとつしっかり戦ってトーナメントに臨みたい」
○堀江ゲームキャプテン
「決まりましたか?でも、いつもそうですが、あまり先のことは考えずに目の前の試合のことを考えたい。反省点が改善できていないのでそこを意識して次の近鉄戦に臨みたい。気負わずに目の前の試合を100%の準備で戦っていきたいと思う」

パナソニック 29-27 神戸製鋼
一歩でも「前に行く姿勢を見せた山田

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