13節 マッチサマリー(近鉄 31-22 NEC)

近鉄ライナーズ 31-22 NECグリーンロケッツ
【week13/2012年2月4日(土) at 大阪・近鉄花園ラグビー場】

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C:2012, JRFU(Photo by A. HASEGAWA)

12節を終えて6位の近鉄ライナーズ、少しでも上位に上がりワイルドカードでは有利な位置につけたい。一方、4強の一角を占めるNECグリーンロケッツ、この試合も勝って自力でプレーオフ進出の権利を手にしたい。今季共に実力を上げ好調な両チーム、レギュラーシーズンの最後を飾るに相応しい好ゲームが期待される。

試合は、いきなり2分、近鉄の突き刺さるようなディフェンスを受けてNEC自陣でオフ・ザ・ゲートの反則、近鉄SO重光泰昌がPGを確実に決め、3‐0のスコアで滑り出す。この後、近鉄は相手陣で優勢の内に試合を進めるが、決め手を欠きトライラインを割るまでには至らない。しかし、この試合前半、NECは、ブレイクダウン周りでの反則が多く、13分、18分と近鉄SO重光にPGを許し、9-0とリードされる。

しかしNECも近鉄の反則をきっかけにチャンスを掴み、22分、ラインアウトモールで攻め立てる。モールドライブは近鉄が粘り強いディフェンスで凌いだものの、NECは大きく左に展開し、最後FB大東功一からWTBネマニ・ナドロにわたり左中間にトライ、この試合初トライを挙げる(9-5)。さらに、30分、近鉄のゴールライン前でノット・ロール・アウェイの反則から、NECのFWがパワープレーでラックを連取し、最後は左LO浅野良太がサポートを得てインゴールに押し込みトライ(ゴール)、9-12とNECリードの内にハーフタイムを迎える。

後半、今度はNECが開始早々の2分、近鉄のオフサイドでSOキャメロン・マッキンタイアーがPGを決め、9-15と突き放しにかかる。この後10分ほど膠着した状態が続いた後、近鉄の猛反撃が始まる。まず、14分、相手オフサイドの反則でスクラムを選択、左タッチ際から大きく右に展開し、CTBジェフリー・イエロメが、ループしたSO重光に見事なオフロードパスを通し、浮かしたパスでWTBリコ・ギアに繋ぐと、ギア、タッチフラッグをかすめ、ダイブして右隅にトライ(ゴール)し、16-15と逆転。次いで、ファンの興奮も冷めやらない17分、ラックから左展開、SO重光から逆サイドに回り込んだWTBギアに繋ぐと、ギアはディフェンスの裏に絶妙のゴロパント、WTB坂本和城がキャッチして左隅にトライ(ゴール)し、23-15。さらに24分、SH金哲元のパスアウトをFBキャプテン高忠伸が10mライン付近からグラバーキック、これをWTBギア、よくキープし、そのまま右隅にトライを挙げ28-15。さらに、ディフェンスでも俄然動きの良くなった近鉄、30分には、相手ブレイクダウンにターンオーバーする勢いで走り込み、オフサイドを誘発、SO重光のPGで加点し、31-15と勝利を大きく引き寄せる。

しかし、ここからは、NECがプレーオフをかけて意地の猛追をかける。35分、ラインアウトから攻撃を継続し、G直前のラックから右PR田中光がインゴールに押し込みトライ、ゴールもなって31-22とし、その後ノーサイドホーンの鳴り響いた後も懸命の追撃を繰り返すが、最後で痛恨のパスミス。近鉄FB高がピックアップし、落ち着いてタッチに蹴り出してホイッスルが鳴り、熱戦に終止符を打った。
マン・オブ・ザ・マッチには、コンバージョンキック、エリアマネージメントに傑出した働きを見せた近鉄SO重光が選ばれた。

試合後の会見でNEC岡村要ヘッドコーチは、「ミスやペナルティで自滅した試合。特に後半のシンビン(9分、HO臼井陽亮、ハイタックルによる)は痛かった」と試合を振り返った。確かに近鉄は、NECが14人で劣勢となる間に2トライを挙げてはいる。しかし、高キャプテンが「我々は好調なのではない、現在の成長した姿が我々のベースラインなのだ」といみじくも述べたように、近鉄は、この試合で、地元ファンの熱烈な応援という相乗効果も得て、現在の成長し続ける力をトップ4に列せられるチームに対して遺憾なく発揮し、リーグ最終戦での勝利を勝ち取ったと言えよう。

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会見ダイジェスト
NECグリーンロケッツ
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン
岡村ヘッドコーチ(右)、ラトゥ キャプテン


◎NECグリーンロケッツ
○岡村 要ヘッドコーチ

「沢山の大阪サポーターと共に、今日試合を迎えられたことに感謝しています。残念な結果となった。ミス、ペナルティが多すぎた試合で自滅だった、と思う。次にチャンスがあるので、チャンピンを目標にして、頑張っていきたいと思う」

○ニリ・ラトゥ キャプテン

「前半は良かったが、後半シンビンになってからリズムに乗れなかった。トップ4は、我々自身、どうすることも出来ないので、明日の結果を待つしかない」

──前節からの修正は?

○岡村ヘッドコーチ
「11から12節とボールを動かせなかった。今シーズン攻め続けることが、我々の新しいラグビーで結果を出してきたので、ディフェンスでもアタックでも攻めを意識していた。結果、ミス、ぺナルティが多く、うまく動かすことが出来なかった」

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近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン
前田監督(右)、高キャプテン

◎近鉄ライナーズ
○前田隆介監督

「今日も沢山のファンの声援を頂き感謝しています。プレイオフ進出が出来ない中で、目標である一試合一試合をチャレンジすることを選手が示してくれて喜んでいる。
ワイルドカードトーナメントに進める権利を得ているので、次のゲームも近鉄ライナーズらしく、チャレンジして戦って行きたい」

○高 忠伸キャプテン

「最終節で勝ったことは、ファンの方々も喜んでくれて良かったと思う。トップ4に残れなかったが、まだまだ可能性を示せたゲームだったと思う。ワイルドカードトーナメントもリーグ戦と同じように、一戦一戦、戦いたいと思う」

──勝因は?

○前田監督
「NECラトゥとナドロ2人をディフェンスでシャットダウンするプランの中で選手達が実行してくれたことを評価している」
○高キャプテン
「今日、初めて出場する若い選手も良く、サポートもしっかり出来たし、頑張ってくれた。この一週間で監督、コーチ陣が成長させてくれたと思う」

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