1節 マッチサマリー(サントリー 39-15 NEC)

サントリーサンゴリアス 39-15 NECグリーンロケッツ
【week1/2012年8月31日(金) at 東京・秩父宮ラグビー場】

サントリー、アタッキングラグビーでV2へ白星スタート

10年目を迎えたトップリーグの初戦。サントリーは大久保監督・真壁主将、NECはグレッグ・クーパー ヘッドコーチ・浅野主将と、それぞれ、新たな指揮官・スキッパーによる試合は、後半、サントリーのアタッキングラグビーがNECのディフェンスにまさり、トライを重ねて白星スタートを切った。

キックオフ直後から、サントリーが数次に亘る攻撃でゴール前に迫る。SHデュプレアからのパスはSOへだけでなく、ラックの後ろから湧き出てくるようなFWの選手へ、また、直接CTBへと素早くわたり、また、時には直接のキックもありと、多彩な攻撃の連続でゴール前に迫る。そのような攻撃から、5分にはゴール前スクラムからでブラインドWTB長友が内側を突き、そのボールをすぐにSHデュプレアからもらったLO真壁がインゴールへ押し込みトライ(ゴール不成功)、サントリーが5-0といいスタートを切った。

しかし、NECも前半はブレイクダウンで負けず、SO田村を軸にボールをよく展開して敵陣に攻め込んだ。14分にはFL村田の突進でゴール前まで攻め込み、16分にはサントリーがターンオーバーで得たボールをFB有賀が自陣からアタックするところ、有賀のパスをNEC WTBナドロがインターセプト。SHデュプレアがよく戻ってタックルするも、それを振り切り、トライ(ゴール成功)、5-7と逆転した。

その後、両チームともよくディフェンスし、なかなかトライは取れなかったが、NECがディフェンスでハイタックルなどのペナルティを取られることが多く、サントリーはその機にしっかりPGにより得点を追加し、サントリーが11-10とリードしてハーフタイムとなった。

NECのディフェンスの立て直しが課題となった後半だったが、後半1分、NEC FL宮本がハイタックルで「チームによる反則の繰り返し」となりシンビン。サントリーはこの数的優位の時間帯、後半4分に、敵陣ゴール前でのラックからのボールをSHデュプレアがブラインドサイドに走り込んできたFB有賀に直接パス。有賀がNECディフェンスの甘くなったサイドを突破し、左中間にトライ。サントリーが試合の流れをつかみ、18-10とリードを拡げた。

その後もアタッキングラグビーを継続したサントリーは13分には連続攻撃から、最後はよくフォローしていたPR畠山-HO青木-WTB小野澤とつなぎ、小野澤が勝負を決めるトライ(ゴール成功、25-10)。さらに、21分にはSO小野が、37分には途中から交替出場しているSOピシが、それぞれNECのサイドディフェンスの隙をつき、トライを追加し、この日、計5トライ。サントリーはボーナスポイントも手にした。
NECは試合終了を告げるホーンが鳴った後、WTBナドロがこの日2本目のトライを返し、後半は、今年も切り札ナドロが健在なところを見せるにとどまった。

蒸し暑い天候の中、汗でボールが滑る選手には厳しいコンディションの試合だったが、両チームともミスが少なく、よくボールを展開して積極的にアタックを継続していた。今シーズンも好試合の連続が期待できそうで楽しみとなるトップリーグ初戦だった。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
NECグリーンロケッツ
クーパー ヘッドコーチ(右)、浅野キャプテン
クーパー ヘッドコーチ(右)、浅野キャプテン

NECグリーンロケッツ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「NECとしては、組織的なディフェンスができて、前半は満足できる内容でした。両チームともゲインラインを奪い合うバトルで、どちらも越えられませんでした。後半、シンビンで、やはり人数が足りず、そこへサントリーさんに走り込まれてしまいました。後半は前のボールにタックルを外されてしまいました。サントリーさんはシンプルにゲインラインを突破したと思います」

──来週以降につながるポジティブな面は?

「まず、サントリーさんは良いチームです。そのチームと前半ゲインラインを獲得し、対等に戦えたことは収穫です。後半、相手にゲインラインを越えられたところに人数を掛けたのはダブルのミスでした。セットして、人数を掛け、しっかり前で止めることが必要です。また、若手は前半のプレーをしっかり積み上げたいですね。また、特に、レフリーは競争の激しい試合をうまくコントロールしてくださいました。素晴らしいレフリングでした」

浅野良太キャプテン

「開幕戦でチャンピオンチームと対戦できてありがとうございました。開幕戦にチャレンジできる素晴らしいモチベーションになりました。ファンや会社の皆様の前でラグビーができて、本当に幸せです。前半はタイトなゲームでNECとしては良い形で前半を終えることができました。後半、サントリーさんのアタックにこちらのディフェンスの組織を破られたのは非常に残念です。チームとして自信を持って戦いましたが、これからも自信を失わず、次の試合に向けてやっていきたいと思います」

──前半は良いプレッシャーを掛けられたが?

「今日の負けでは、反則が一つの要因でした。1対1で、ゲインラインで相手を倒しているかの差が出ました。1対1で止めている場面も多く、良いタックルもありましたが、戻して止めるのか、ゲインラインを越えられて止めるのか、小さい差だが、そこがディフェンスの生命線です。ブレイクダウンの1m位の差が大きいので、もっとファイトすべきだったと思います」

サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、真壁キャプテン
大久保監督(右)、真壁キャプテン

サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「予想した通り、タフな試合でした。運よく5トライ獲れて、ボーナス点を取れました。最初の4試合はこういうコンディションになると考えていた通りで、いかに乗り切るかが大切です。シーズンを占う戦いでした」

──試合の入り方は?

「NECさんのFWが22から25歳くらいなので、経験含めてサントリーの方がアドバンテージがあると踏んでいました。ラグビーにとって先制パンチは大事ですので、最初の20分はフィジカルとメンタルでプレッシャーを掛ければと思っていましたが、今後もゲームの入りは意識したいと思います。過去2年間は素晴らしいシーズンで、今年の先は真っ白なページにキャプテンが最初の1ページを刻んでくれました。シーズンを振り返って、思い出すかもしれません」

真壁伸弥キャプテン

「開幕戦は、僕個人は苦い思い出しかなかったのですが、今日はハッピーでした。開始早々からサントリーのラグビーができたと思います。練習試合で2回負けていたので、気合が入りましたが、最初の僕のトライで舞い上がってしまいました(笑)。もっと勝ちたい気持ちで、サントリーのラグビーをやりたいと思います」

──素晴らしいファーストトライだったが?

「なかなかトライは獲れないのですが、暑くて滑りやすい環境で、我慢比べだと思っていました。我慢して、我慢して、自分たちのプレーをすればトライは獲れると思ってやっていました」

港区副区長から表彰、サントリーサンゴリアスの真壁キャプテン
港区副区長から表彰、サントリーサンゴリアスの真壁キャプテン

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