1節 マッチサマリー(東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ)

東芝ブレイブルーパス 26-16 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【week1/2012年9月1日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ
photo by Kenji Demura (RJP)

10年目を迎えたトップリーグの歴史の中でリーグ制覇5回を誇りながら、この2年間は無冠に終わっている東芝ブレイブルーパスと、昨シーズン9位のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスの一戦が秋の風を感じさせはじめた秩父宮ラグビー場で行われた。
東芝は直近のプレシーズンマッチで昨シーズンの王者サントリーサンゴリアスとの接戦を制し順調な仕上がりを見せている。一方のNTTコムもこの一戦に向け準備は万端、初戦での金星を狙う。

試合は東芝SOデイビッド・ヒルのキックオフで始まった。
前半5分、まずは東芝SOヒルがPGに成功(3-0)。スクラムが安定しないNTTコムに対して東芝はFLスティーブン・ベイツの突破などで試合を優位に進める。19分に再び東芝SOヒルがPGに成功(6-0)、23分にはNTTゴール前のラックからSH藤井-WTB廣瀬とつなぎ中央にトライ(G成功 13-0)。セットプレーでリズムがつくれなかったNTTコムだが、26分、連続攻撃からFL小林がラックサイドを抜け出し、そのまま中央にトライ(G成功 13-7)。

ここで神宮の空に打ち上げられた花火が合図であったかのように、視界が遮られる程のゲリラ豪雨が発生。雨は間もなくあがったものの、悪化したコンディションがハンドリングミスを誘い、両チーム追加点が取れないまま前半が終了した。

後半開始直後はNTTコムが試合を優位に進める。後半3分、NTTコムのSO君島が東芝陣22m付近からのPGを決める(13-10)。3点差に詰め寄られた東芝は13分、18分にSOヒルがPGに成功するが(19-10)NTTコムも20分、23分にPGを成功させ必死に食い下がる。しかし26分に東芝が怒涛の連続攻撃を繰り出し、入替で入ったSH吉田がNTTコムゴール前のラックからボールを持ち出し、ディフェンスを振り切ってトライを奪う(G成功 26-16)。30分以降はNTTコムが東芝陣内に攻め続け、SO君島のキックパスであわやトライというシーンも見られたが、結局得点に結びつけることはできずノーサイドとなった。

NTTコムは昨シーズン6-45で完敗した東芝に対してFL小峰、小林を中心にディフェンス面が機能し2トライに抑えたことには手ごたえを感じたのではないだろうか。林監督は「セットプレーの安定」と「最後の20分間のプレー精度」を課題として掲げているが、次節以降、チームスローガンでもある「Next one」の実現に期待したい。

初戦を飾った東芝は「スコアを取る」というゲームプランの浸透が今後のポイントになるだろう。過去の東芝のプレースタイルから見れば違和感があるのは否定できないが、王座奪還の為の戦略として、どのような完成形を見せるのか注目したい。また、リーチ、仙波といった主力選手を怪我で欠いての初戦であったが、若手の活躍は好材料。チーム内の競争も高まり、選手層の厚みにつながるだろう。

マン・オブ・ザ・マッチには新しいゲームプランを統率した東芝のキャプテン、豊田真人が選ばれた。(久野彰也)

東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ
photo by Kenji Demura (RJP)
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、友井川キャプテン
林監督(右)、友井川キャプテン

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林雅人監督

「去年、9位の我々がチャレンジして結果を求めるところにフォーカスしてきましたが、力が一歩及ばず、残念です。去年に比べると着実に実力が上がっています。ここがスタートで、ここから積み上げていきたいと思います」

──勝てるという自信は?

「東芝さんは言うまでもなく強いですが、初戦から3戦目ぐらいの暑い時期には小さな奇跡、事を起こすことができるのではと考えていました。また、王者の隙も出るのではと思っていました。心の隙にいかにつけ込めるのか、いかにディフェンスするかでしたが、2トライに抑えたのは上出来でした。やはり、アタックができなかったのが敗因です。アタックする時間は去年より多かったのですが、22m内にほとんど入れませんでした」

友井川拓キャプテン

「対戦が決まってから、東芝戦に気持ちを集中して来ましたが、結果が出ず、非常に悔しいです。しかし、ディフェンスがあれだけ粘れるなど、通用する部分もあったので、次につながる試合でした。大勢の観客の前で試合ができて嬉しく思います。次のパナソニック戦に向けて切り替えたいと思います」

──東芝は去年までと違い、ペナルティゴールを狙ってきたが?

「こちらは格下のチームで、自陣の深いところまで攻め込まれて3点なら、付いていける点数なのでありがたいかなと。最後の一本のトライで試合は決まりましたが」

東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ   東芝 26-16 NTTコミュニケーションズ
photo by Kenji Demura (RJP)
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン
和田監督(右)、豊田キャプテン

東芝ブレイブルーパス
和田賢一監督

「本日は雨の中、多くの皆様に残っていただいてありがとうございました。ボールが滑る中、悪コンディションの中、FWはラインアウト、スクラムを頑張りましたが、フェイズを重ねられず、ノックオンが出たところなどは修正したいと思います。きつい中、選手はディフェンスを含めて良くやってくれました。反省材料もありましたので、次につなげていければと思います」

──新人センター二人の評価は?

「渡邊選手はよくない流れの中、リズムを作ってくれましたし、森田選手は後半含めて良くやったと思います」

──去年はなかったPGを狙ったが?

「スコアすることは大切です。去年、身に沁みています。我慢強いアタックをすることが今年のテーマです。もちろん、最後に勝つことが重要です。新しいことにチャレンジしながら、相手の嫌がることをしないといけません。一つ一つのPGの質を検証したいと思います」

豊田真人キャプテン

「たくさんのファンにお集まりいただいて、前半の大雨のあと、ハーフタイム後にグラウンドに戻ると大勢の方が残って下さっていて感激しました。試合はミスが非常に多く、特にうちのハンドリングミスがあったので、修正して、もう一度チャレンジしたいと思います。若手がスタメン、リザーブで出ましたが、白星を飾ることができて自信になったかと思います」

──FWで良い点と反省点は?

「今年はスコアしようとする意識があります。今年から取り組んできたゲームマネジメントでは、3点取って、若い選手が地に足を付けて戦うことができたと思います。スクラムのペナルティはもったいないプレーでした。NTTさんもこだわったところでしょうが、優位に立ち、圧倒できるよう、しっかり修正したいと思います」

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