3節 マッチサマリー(リコー 19-37 サントリー)

リコーブラックラムズ 19-37 サントリーサンゴリアス
【week3/2012年9月14日(金) at 東京・秩父宮ラグビー場】

前節に九州電力に勝ったとはいえ、5点差で勝利したサントリーと、ここまで開幕2連敗中のリコー。両チームがどのように修正してきたのか、興味深い対戦である。

リコーのキックで試合が始まる。開始早々から両チーム、攻守ともによく前に出て、激しく攻防を繰り返す。開始から4分間、ゲームが途切れることなく緊張した状況だった。
先制したのはサントリー。5分、ラインアウトからバックスに展開しラックとなる。ここでリコーがオフサイドの反則。速攻から、15番 有賀がトライ。5対0とする。16分には、リコー陣内で15回の連続攻撃を繰り返し、リコーたまらずオフサイド。10番 小野が中央、約20メートルのゴールを決めて3点を加える。サントリーは、32分にもトライを奪う。リコーゴール前、5メートルのラインアウトからモール、ラック後、9番 デュプレアからのパスを10番 小野がトライ。ゴールも決まり15点差とする。この状態のまま前半終了。

前半はサントリーの流れであり、かなりの時間を攻撃に費やしていたが、リコーがよく前に出てプレッシャーをかけサントリーの攻撃を止めていた。サントリーもリコーの激しいディフェンスの前にノックオンを繰り返し、追加のトライをとることができない。
リコーはボールをキープしている時はテンポよく攻撃を仕掛けるが、サントリーの執拗なディフェンスの前に前半はトライをとることができない。また、開始早々に、サントリーゴール前5メートルでペナルティーを得るが、強引にトライを取りに行き、逆にサントリーにボールを奪われ、先行する機会を失ったことが大きかった。

後半に入ると、リコーの攻撃が長くなるが、サントリーも激しいディフェンスでこれを拒む。先に得点を挙げたのはリコー。10分。ラインアウトからラックを連取し、15番 小吹が左隅にトライ。15対5とする。しかしサントリーは、17分に、リコー陣内でのスクラムで、リコーから出たボールをターンオーバー、これを攻め続け、9番 デュプレアがリコーバックスの背後へのパントキック、更にリコーゴール前で攻撃を続け、最後は5番 真壁がトライ。ゴールも決まり22対5とする。サントリーは23分にもペナルティーゴールを決め、25対5と差を広げ、更に28分にもトライを奪い30対5とする。リコーは、前半に機能していたディフェンスをたびたび破られ、サントリーに追加点を許した。

リコーは終盤に追い上げる。33分、サントリー陣内22メートルでのラインアウトから攻撃、10回以上のラックを連取後、10番 津田がトライ。しかしサントリーは、37分にもリコーがラインアウトで落としたボールを拾い、素早く展開し、21番 野村がトライ。リコーを突き放す。
リコーはロスタイムにもトライを奪い意地を見せるが、追い上げもここまで。
37対19で終了する。

サントリーは攻守の切り替えが早く、前に出る動きもよく、また、90分間走り続けていた。結果としてリコーから5トライを挙げた。
リコーは、前半はよく前に出てサントリーの攻撃を止めていたが、後半に入りディフェンスを破られるシーンがあり、差を広げられた。しかし、後半は3トライを奪うなど、攻撃でも防御でもよく前に出ており、選手は体を張ったプレイをしていた。
緊迫したよいゲームであった。

会見ダイジェスト
リコーブラックラムズ
山品監督(右)、長江ゲームキャプテン
山品監督(右)、長江ゲームキャプテン

■リコーブラックラムズ
山品博嗣監督

「今日もたくさんのファンの皆様に応援していただき、ありがとうございました。王者サントリーさんに何とか一泡吹かせようと戦いましたが、力が足りませんでした。反省点も多かったのですが、得るものもありましたので、これらを生かして次に臨みたいと思います」

──得るものとは?

「今回の3試合で、それぞれ得るものがあったのですが、1戦目、2戦目はフェイズを重ねることができなかったので、今日はしっかり攻めようと臨み、ある程度通用するものがありました。前半、キックが多かったのが良くなかった点です」

長江有祐ゲームキャプテン

「今日はありがとうございました。キャプテンは初めてでしたが、本当に勝つことだけを考えて、勝ち切ろうと臨んだ試合でした。良いテンポのアタックもあり、サントリーさんにプレッシャーも掛けられたのですが、後半、どんどんサントリーさんのアタックに受けに回ったのが良くなかったと思います」

──フロントローという重責で、慣れないキャプテンだったが?

「名前だけのキャプテンですので(笑)。俺は盛り上げられないし、引っ張っていく自信はないが、前線で身体を張るからと選手には言いました。スタンドオフの津田が同期ですので、ゲームつくりは彼に任せました。(山品監督から『リーダーシップをとってくれて、ぐいぐい引っ張ってくれました。アタックでもフィジカルに行ってくれましたし、ディフェンスでもゲインライン前で止めてくれました』とフォロー)」

──身体を張るとは?

「サントリーさんはディフェンスしづらいアタックをしてきますが、今日は、一人が外れても、誰かがカバーに行ってくれて嬉しかったです。80分、できたかというと、できなかった時間帯もあるので直したいと思います。僕はやっていてしんどかったけれど、良いディフェンスができていると思います。アタックも確かに得るものがありました」

サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、真壁キャプテン
大久保監督(右)、真壁キャプテン

■サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「今日はありがとうございました。戦前から難しいゲームになると考えていました。前半最初の4分間、アタック、ディフェンスの切り替えがあり、一人一人のリアクションができて、今日の試合が4分間に凝縮されていたと感じます。3試合終わりましたが、さらに成長していきたいと思います」

──どうしてその予想を?

「先週の反省として、攻守の切り替えの遅さがありました。ディフェンスのタックル後のリアクション、一人一人の反応を良くすることが課題で、ボールを見ている時間も長すぎました。今日は、最初の4分間、攻守の切り替えの中、動き続けることができ、少し成長したと思います。前へ出るのも、蹴られて戻るのも、ボールを持っていない時の動きが良くなってきました。まあ、まだまだですが。サントリーのFWはそんなに大きくないので、ラインアウトのこぼれ球やタックル後のリアクションなど、常に突き詰めると一人一人の意識に行きつきます。先週は人任せの部分があったので、一人の役割を全うすることが今週のテーマでした」

真壁伸弥キャプテン

「リコーさんの激しいアタックにどれだけ規律を守ってディフェンスできるかという試合でしたが、先週と比べて改善できた試合でした」

──先週、もっとキャプテン自身が体を張るとおっしゃったが?

「今日は一人一人が自覚を持って、良い意識でやった練習の成果が全面的に出ました。何かが足りずに九電戦ではああいう結果になりました。僕は体がデカいので、デカい相手に最初にスマッシュするように言われていましたが、それを実行できたと思います」

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