3節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 25-19 NTTコミュニケーションズ)

ヤマハ発動機 25-19 NTTコミュニケーションズ
【week3/2012年9月15日(土) at 静岡・ヤマハスタジアム(磐田)】

 
スタンドの応援 ヤマハのスクラム

好調なチーム同士の戦い。最後まで手に汗握る接戦に

開幕2連勝と好調のヤマハ発動機と、前節に強豪パナソニックに逆転勝ちして波に乗るNTTコミュニケーションズとの対戦が、9月15日、ヤマハスタジアムで行われた。台風の影響も心配されたが、好天の中ヤマハのホーム初戦とあって、地元の熱烈なファンも含め5,528人が集まった。

試合はヤマハのKOで始まった。好調なチームの戦いだけあってお互いディフェンスが厳しく、一進一退の攻防が続く。
試合が動いたのは前半14分、NTTコムSO君島が敵陣10ml右中間からの長いPGを決めて先制する。
ヤマハも29分に敵陣22ml中央のPGをFB五郎丸が決め同点に追いつくも、バイスキャプテンのSH矢富が膝を痛め負傷退場し、形勢はNTTコムに傾く。

その後、33分にPGを追加したNTTコムは、36分ヤマハのラインアウトからの攻撃をターンオーバーし連続攻撃。最後はSO君島が華麗なステップで相手ディフェンスをかわしゴール左下にトライ(Gも成功)。
前半終了間際にヤマハがPGを決めて点差を7とするも、NTTコムが前半をリードした。

後半に入ってからもNTTコムが優勢。4分、11分とSO 君島が確実にPGを決め、点差を13に引き離すが、ここからヤマハFWのプレッシャーに耐えてきたNTTコムの動きが鈍くなる。
ヤマハFWの強靭なスクラムにたまらず反則を繰り返し、17分、21分、25分と反則を重ね、FB五郎丸がPG成功。そして、27分にHL左のラインアウトからの連続攻撃に、最後はSO大田尾のパスを受けた左CTBマレ・サウが左中間にトライし、ついに逆転する(Gも成功)。なおもヤマハの攻勢は続き、37分にもPGをFB五郎丸が決め点差は6に広がる。

ヤマハの勝利がほぼ決定的と思われた試合終了のホーンが鳴った後のNTTコムのペナルティでヤマハは点差を広げるためPGを選択。
FB五郎丸が決めれば試合はそのまま終了だったが、PGは外れボールがゴールを割らなかったため、NTTコムの最後の逆襲が始まった。
ボールをつなぎ一発逆転を狙うNTTコムの攻撃にスタジアムの観衆はかたずをのむ。しかし、再三の連続攻撃もHLでの痛恨のペナルティで万事休す。ヤマハSO大田尾のタッチキックで試合は終わった。

NTTコムがSO君島の活躍で前半優位に立つも、常にFWが優勢だったヤマハが逆転勝ちしたが、好調なチーム同士の戦いだけあって最後まで目が離せない、手に汗握る好試合だった。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、再三の突進で攻撃の起点を作り、逆転トライに貢献したヤマハ右LOトーマス優デーリックデニイが受賞した。(静岡県ラグビー協会 神谷英志)

NTTコミュニケーションズ、クレバー選手の突進
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、小林ゲームキャプテン
林監督(右)、小林ゲームキャプテン

■NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
林雅人監督

「ヤマハ戦のポイントは当然スクラムだと認識していて、スクラムのところでどれだけこちらがコントロールできるかというところだった。ヤマハの前のめりの選手に対し、しっかりディフェンスに行く、そこにフォーカスして臨んだ。
清宮監督とは同じチームで指導していたし、ラグビーをよく知っているから、どういうことになるか予想していた。自分たちの反則に対する我慢、特に後半19分から9回と、1試合分のペナルティがあったので完全にそこで流れが切れた。それも実力なのでまたステップアップしていきたい」

小林訓也ゲームキャプテン

「後半60分までは自分たちのペースでできてよかったが、最後はペナルティのコントロールがうまくできなくて、ヤマハにPGで加点された。こういう結果になったのは残念。自分としてはゲームキャプテンが初めてということで、ペナルティのコントロールがうまくいかなかったのが悔やまれる。それが試合の敗因になった」

──後半19分からのスクラムで流れが変わったように思うが印象は?

林監督
「お互いメンバーをいじったので相性もあるから変わったと思うが、ハーフの反則(入れなければいけないところで入れられない)が2回あったので、今後改善していきたい。スクラムに力を入れているチームだから、そこでコントロールすることが大きいので流れが変わった」

──パナソニックに勝った1週間後のゲームの難しさは?

林監督
「それはない。パナソニックに勝って次に勝たないとまぐれと言われると。(そうは思ってないけど・・(笑い))
もともと今日の試合にフォーカスしていたので残念。チームはパナソニックやヤマハとやって失点がそんなに多くないので力はつけているが、まだまだ力不足を実感している」

 
NTTコミュニケーションズ、攻撃の起点、君島選手 NTTコミュニケーションズ、馬屋原選手のタックル
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(右)、笠原キャプテン
清宮監督(右)、笠原キャプテン

■ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督

「ホーム開幕ということで、いい準備ができた。
前半風下で相手に長く攻められたが、試合を通していい意思統一が見られた。後半はセットプレーで完全に制圧できていたので、安心して見ていられた。相手FWが何人もケガというか、グラウンドに横たわるシーンがあり、そういうところでも勝っていたと思う。
NTTも先週パナソニックを破ってきてるから、ボールを持つとヤマハが奪うことができないいいラグビーをしていた。最後のショット選択は、そういうところもあった。13試合終わったところでのボーナスポイントは微妙な差になってくる。今日あれが入っていればNTTは0ポイントだったので、少しギャンブルをしてショットを選択した。五郎丸が外して大変なことになるところでした。将来に渡ってライバルになると思うから、そういうこと(ショットを選択)をした」

笠原雄太キャプテン

「前半はNTTのプレッシャーを受けたが、後半になるにつれて相手の足が止まってきていたのを感じたし、これでいけると常にみんな言っていて、最後逆転できてこういう結果になったと思う」

──後半スクラムがよくなったと監督は言っていたが、実際内側で組んでいてよくなった点は?

笠原キャプテン
「レフリーとのタイミングが合わないと選手で話をしていたが、徐々に合ってきてタイミングが合うことによって後半はプレッシャーをかけることができた」

──相手がタイミングよく組むのを嫌がっていた感じは?

清宮監督
「前半からプレッシャーをかけていたけど、前半は相手も元気だった。前半は外国人2人入れてヤマハのスクラムに対抗してきた。100%で対抗しているので後半になればガタガタとケガ、そしてスタミナが無くなったりしてああいう差になった」

──去年は惜しい試合を落として順位を上げられなかったが、今年は開幕3試合でこうした試合2つ取って3連勝ということで、去年からの成長を感じられるところは?

清宮監督
「そうですね。今日はそんなにいい出来ではない。ミスも多かったし、前半もう少しミスがなければ攻められた。そういう意味では自分たちがいいパフォーマンスでないゲームでも勝ち点を取れているのは地力がついたのだろうと思う」

──マイボールラインアウトに関してはどんな感想を?

笠原キャプテン
「相手に取られた場面も多いので、しっかり修正して考えて組み立てていきたい」

──今日の試合は楽しかったか?

笠原キャプテン
「楽しかったです」

清宮監督
「自己採点すると何点くらい?」

笠原キャプテン
「78点くらいです」

──チーム初の3連勝でしたが?

清宮監督
「去年3戦目を出来の悪い試合をしてしまった。去年2クールも3クールも3試合目はよくなかったので、この課題をみんなで共有して、ヤマハは3連続だとパフォーマンスが落ちるんだという意識をみんなで持ってきて、これ以上できない色々なことをやってきた。それは練習時間や練習量、トリートメントを今日に向けて準備してきた。そういう準備の勝利だと思う」

──残り10試合もそういう気持ちで?

清宮監督
「1つずつです」

──前半で最大13点差あったがキャプテンとしてはどういう声かけをしたか?

笠原キャプテン
「自分たちがやってきた練習どおりに、ヤマハのラグビーをやろうと言い続けた」

ヤマハ、五郎丸選手の突破
ヤマハ、突破するサウ選手

(文:静岡県ラグビー協会 小林聖子)

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