4節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 14-9 リコー)

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 14-9 リコーブラックラムズ
【week4/2012年9月21日(金) at 東京・秩父宮ラグビー場】

NTTコミュニケーションズ、好ディフェンスで逆転勝利、2勝目。リコーは開幕4連敗

前半、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスはFWでの確実なマイボール獲得からSO君島、CTBツイランギを軸にした多彩なバックス攻撃。一方、リコーブラックラムズはFLカウヘンガ、CTBオリフィエが作ったポイントからの2次攻撃での得点を狙うが、両チームともゴール前でよくタックルし、トライを許さない。ゴール前のディフェンス側のミスでのペナルティを、双方のチームがPGで得点し、NTTコム3-6リコーと、リコーのわずかなリードでのハーフタイムとなった。

試合が動いたのは後半早々。数少ないトライチャンスをものにしたのはNTTコムだった。後半5分、ラインアウトからのバックスのアタックでCTBツイランギなどが数次に亘りポイントを作り、FWの選手がゴール前に迫る。ゴール前のラックから出たボールをSH鶴田-SO君島-CTB山下と右に回し、最後は山下からの飛ばしパスを受けたWTB小川が右中間にトライ(ゴール不成功)。NTTコミュニケーションズが8-6と逆転した。

その後も、双方のチームともよく攻め、よく守る展開だった。NTTコムのアタックに対しリコーのフィフティーンもよくタックルしていたが、ディフェンスでのミスでのペナルティを、後半14分・後半23分とNTTコムSO君島が確実にPGを入れ、14-6とリードを伸ばした。
リコーもSHに池田を、CTBにキニキニラウを投入するなどして、何とか流れを変えようとするが、最後までNTTコムフィフティーンのディフェンスの「足」は止まらなかった。
後半37分、リコーのアタックに対してNTTコムのディフェンスがハイタックルのペナルティを犯した。リコーは、このPGを、この日、久しぶりにCTBに入っている河野が冷静に決め、14-9とワンチャンスで同点・逆転となる点差まで詰めた。

残り3分。リコーにとっては、プレーを継続し、逆転につなげるトライを取りたい。NTTコムにとっては、決してリコーにボールを渡さず、攻め続けたい。NTTコムは後半39分に得た、距離のあったPGチャンスを狙わず、しっかりタッチからマイボールラインアウトとし、この日、安定していたラインアウトでしっかりLO木曽がボール獲得し、SH岡がノーサイドのホーンと同時にボールをタッチに出し、ノーサイド。NTTコムがリーグ戦序盤での大事な試合を接戦でものにした(NTTコミュニケーションズ14-9リコー)。

リコーはこれで開幕4連敗。チームの形としては決して悪くはないが、昨年のチームに比べ、トライを取り切る得点力が少し劣っているのが気にかかる。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
リコーブラックラムズ
山品監督(右)、小松キャプテン
山品監督(右)、小松キャプテン

■リコーブラックラムズ
山品博嗣監督

「今日もたくさんのファンの皆様の応援、ありがとうございました。今日はリコーにとっての、決勝戦と思って臨みましたが、力及ばず残念です。前半は良かったが、ゲームには波があり、向こうに良くなりかけた流れの時に、こちらはストラクチャーを壊してしまいました。もっと自分たちのラグビーを見つめ直して、頑張っていきたいと思います。フィットネスも含めて修正したいと思います」

──自分たちのラグビーはどのくらいの完成度か?

「アタックのところはゴール前のノーストラクチャーを含めて、やり切れていますし、ゲーム運び全体としては悪くはなかったと思います。ただ、セットピースからのアタックがほとんどできず、ブレイクダウンでもどんどん受けてしまったところは、修正したいと思います」

小松大祐キャプテン

「今日もたくさんのファンの応援を力強く感じました。ありがとうございました。最終的には、どちらが最後まで我慢比べできるかという試合でしたが、焦りがあり、最後に個人プレーに返ってしまったことが敗因です。もっと組織を使ったプレーを出していきたいと思います」

──後半、走力が落ちたようだが?

「後半は、個人任せのプレーが多くなり、組織的に守れず、二人で出したい局面でも3人、4人かけてしまい、それがボクシングのジャブのように後で効いてきました。スキルやプレーはほぼ互角で、ひたむきさのところでブレイクダウンを受けてしまったのが良くありませんでした」

──まだ、時間があるところでPGを狙ったが?

「最後の時間帯はリコーも攻め続けることができていましたので、7点差以内にして、残り3分はボールをキープして逆転を狙っていこうという共通認識ができていて、あとはアタックするだけでした」

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、小林ゲームキャプテン
林監督(右)、小林ゲームキャプテン

■NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
林雅人監督

「今日はありがとうございました。今日はNTTとしてずっと勝ったことのないリコーさん相手に勝とうと臨みました。セットピースとアタックのコントロール、そのリズムがうまく行かず、前半は苦しい戦いとなりました。アタックしてもサポートがいないでつかまる状況を繰り返してしまいました。ただ、ハーフタイムには、風下で3点差は良い出来だ、後半は我々が風上だから有利だと根拠のないことを言って(笑)、選手を鼓舞しました。人間って面白いもので、選手もあんなに変わるのかと思うくらい、その気になってくれて、相手をノートライに抑えて勝つことができました。NTTとしてはトップリーグの戦いで初めてのノートライゲームです。ディフェンスを強くしようとやってきましたが、選手の頑張りに尽きると思います」

──ハーフタイムの指示は?

「一つはジャッカルがことごとく決まらないので、ステップ・イン変えようということです。もう一つはリコーさんが極めて我々がピラーXと呼ぶ、近場のラックサイドをブレイクしていたので、セットを速くして対応しようということでした」

小林訓也ゲームキャプテン

「今日は、序盤にリコーさんFWのプレッシャーに負け、チャンスを作られて最悪の出だしでした。ただ、FWのセットピースが良くて、後半の風上になったらプレッシャー掛けてチャンスを作ろうとみんなが思っていました。後半、良いアタックで勝つことができました。立ちあがりの悪さを感じたので、次節に向けて修正したいと思います」

──選手たちはディフェンスでよく走ったが?

「自分としても最後の20分に走れるようになって、体が動くと感じています。まあ、ラスト10分は気合いで乗り切れるのですが、20分くらいが一番きついので。夏合宿から最後の20分に体が動くようにやってきました。80分のフィットも大事ですが、うちのチームはプレーの精度にもこだわっています。土台になるフィットネスが心肺機能の余裕をもたらしてくれていて、精度の高いプレーができていると感じています」

RELATED NEWS