4節 マッチサマリー(東芝 32-22 パナソニック)

東芝ブレイブルーパス 32-22 パナソニック ワイルドナイツ
【week4/2012年9月22日(土) at 東京・秩父宮ラグビー場】

トップリーグ第4節、序盤戦屈指の好カード。東芝ブレイブルーパスとパナソニック ワイルドナイツの一戦が12,000人を超える観衆を集めた秩父宮ラグビー場で行われた。
開幕からここまで3連勝の東芝に対し、第2節でNTTコミュニケーションズシャイニングアークスにまさかの敗戦を喫したパナソニック。昨年のリーグ戦2位(東芝)と3位(パナソニック)の王座奪還に向けた戦いは予想通り激しいものとなった。

試合はパナソニックSO吉田良平のキックオフで始まった。最初に得点のチャンスを掴んだのはパナソニック。前半1分、ハーフウェイライン中央から50mのロングPGをFB田邉が決める(0-3)。これに対し東芝は11分、ゴール前で得たペナルティーキックをタッチに蹴り出し、ラインアウトからモールを押し込んでFLスティーブン・ベイツがトライ(G失敗5-3)。更に13分、自陣10mからWTB廣瀬が大きくゲイン、ゴール前のラックから9-7とつなぎ最後はWTB宇薄がトライを奪う(G失敗10-3)。

一方のパナソニックは24分、東芝ゴール前のマイボールラインアウトからロングスローのサインプレーでCTBソニー ビル・ウィリアムズが右中間にトップリーグ初トライを決め同点に追いつく(G成功10-10)。しかし東芝もすぐさま反撃を開始、28分にパナソニック陣22m付近からオープンに展開、ワンバウンドのパスをWTB宇薄がうまく拾い上げインゴールに飛び込む。パナソニックCTBウィリアムズの矢のようなタックルでタッチラインの外にはじき飛ばされたが、ボールだけは見事にインゴールに残しトライ(G失敗15-10)。その後、両チーム追加得点の無いまま前半が終了。

後半に入ると4分、東芝はパナソニックゴール前ラインアウトでサインプレー。スローインされたボールをキャッチしたLO望月からFLベイツへのショートパスで左中間にトライ(G成功22-10)。これ以上離されたくないパナソニックは6分、東芝ゴール前のラックから9-10-12-6-14とつなぎWTB山田が見事なボディーバランスで東芝ディフェンスを振り切り右隅にトライ(G成功22-17)。その後、東芝が20分にPG成功(25-17)、25分にはラインアウトからモールを押し込む得意のパターンでLO大野が今季初となるトライを奪い再び差を広げる(G成功32-17)。パナソニックは33分にゴール前ラインアウトの攻撃からWTB山田がこの日2本目のトライを右隅に決めるが(G失敗32-22)反撃もここまで。そのままノーサイドとなった。

パナソニックはこれで2敗となり優勝争いから一歩後退。接点で東芝に圧倒され、ディフェンスが後手にまわってしまった点は修正が必要。また、得意のオフロードパスで観衆を沸かせ、チームにもフィットしつつあるソニー ビル・ウィリアムズをどうサポートし得点につなげるかも今後の課題になるだろう。
勝った東芝は開幕からの2戦では波に乗り切れていないように感じられたが、かなり修正が進んでいるようだ。細かな課題はあるものの、東芝らしい「真っ向勝負」「前に出るプレースタイル」が安定しつつあり、勝ち点で2点差をつけられているサントリーサンゴリアスとの首位争いが面白くなってきた。
マン・オブ・ザ・マッチには2トライを決めた東芝WTB宇薄が選ばれた。(久野彰也)

会見ダイジェスト
パナソニック ワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン
中嶋監督(右)、霜村キャプテン

■パナソニック ワイルドナイツ
中嶋則文監督

「お疲れ様でした。今日は絶対に負けられない試合だと臨みました。東芝さんの前に出るFWの圧力を止められず、ディフェンスにほころびができ、広いスペースにボールを運ばれました。去年のプレーオフではしっかり止められたのですが、今日は、後手後手になったのが良くなかったと思います」

──ソニー ビル・ウィリアムズ選手の出来は?

「どのチームとやってもマークされます。今日はランとパスをうまく使い分けて、トライを演出していました。周りがソニーのランにしっかり付いていけば、もっと生きると思います」

──ラインアウトからソニー ビル・ウィリアムズ選手へダイレクトに出し、トライになったが?

「東芝さんのラインアウトのテールにリーチ選手とベイツ選手を止めておくプレーで、試合前に考えた通りでした。あそこは『してやったり』という感じでした」

霜村誠一キャプテン

「お疲れ様です。東芝さんのアタックのプレッシャーはすごいです。僕たちがやろうとしたラグビーができませんでした。パスも前でつながれて、自分たちのテンポの良いアタックもできず、悪循環に陥ってしまいました。ただ悔しいだけでなく、シーズンは長いので、ここから学んでやっていきたいと思います」

──東芝のアタックは?

「もちろん、前へ出て倒して止めようとしたのですが、まず強いランナーを一人目でしっかり倒せず、二人目のキャリヤーがつないで、外へ回されると、分かっていても止められません。向こうのテンポにされたのが敗因です。球出しの速さや、立ってつなぐプレーにやられました」

──ソニー ビル・ウィリアムズ選手のパスは異質か?

「とんでもない。やると分かっていたとおりのパスでした」

東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン
和田監督(右)、豊田キャプテン

■東芝ブレイブルーパス
和田賢一監督

「本日も本当に多くのファンの方が集まっていただき、ありがとうございました。今日はブレイクダウンがテーマで、コンタクトエリアでドライブするのが狙いでした。ブレイクダウンを動かすことで、スペースができます。一進一退でしたが、選手が去年の悔しさを思い出してくれて、それを晴らしてくれたと思います。2週間、次のトヨタ戦に向けてしっかりやっていきたいと思います」

──修正してきた点は?

「チーム序盤の試合を分析した結果、ボールキャリアが倒れていることが分かりました。タックルを受けてから何かやろうとして、相手にやられていました。そこで、今週は、1対1、3対1、2対1にフォーカスして臨みました。結果、ドライブをテーマにブレイクダウンを動かすことができました」

豊田真人キャプテン

「お疲れ様です。本日も数多くのファンの皆様に集まっていただき、本当にありがとうございました。アタックのミスから失点するなど、反省もありますが、和田さんが提示してくれたゲームプランと身体を当てるという意識で、数的優位を作ることができたと感じています。信じてやってきて、結果が出て嬉しく思います。2週間、しっかり集中して、トヨタさんとの戦いに臨みたいと思います」

──今シーズン、一番の手ごたえでは?

「1対1の真っ向勝負の部分では、手ごたえがありましたが、まだまだチームは伸びしろがあると思います。去年のベースの上に、プラスアルファが積み上げられると思います。今日の試合で一番良かったのはウォーミングアップです。ビッグブラザー制度という、毎週、相手を代えての話し合いを行っていますが、立川、吉田大樹、佐藤資のグループから出た意見で、ウォーミングアップから声を出して集中しようというものがあり、メンバーがそれを意識して修正できたのがすごく良かったと思います。レギュラーメンバーでない選手も意見を言って変えてくれるのはすごく嬉しいですね」

──ソニー ビル・ウィリアムズ選手は?

「まったく対策は立てていません。パナソニックさんも彼にボールを集めていましたが、こちらは1対1のチームディフェンスでラインを上げて、しっかり内側を抑えました。さすがに、オフロードが、どこで出しているんだろうと思うパスで、つながれましたね」

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