11節 マッチサマリー(サントリー 38-7 NTTコミュニケーションズ)

サントリーサンゴリアス 38-7 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【week11/2012年12月15日(土)/東京・秩父宮ラグビー場】

前節、ライバル東芝ブレイブルーパス相手の肉弾戦を1点差で制し開幕10連勝、プレーオフ進出一番乗りを果たしたサントリーサンゴリアス。このまま最後まで突っ走りたいところ。
一方、ウィンドウマンス明けの2戦を大差で連敗してしまったNTTコミュニケーションズシャイニングアークス。前半節での好調さを早く取り戻したい。
冷たい小雨が降りしきり、選手から湯気が立ち上る寒さの中、NTTコムのキックオフ。
開始早々、この試合本来のCTBではなく14番で起用されたサントリー村田が期待にこたえて大きくゲインしゴール前に迫る。しかしながら、今日はNTTコムの低く執拗なタックルが息を吹き返し、このピンチをしのいだ。

サントリーはFL6で起用されたダニー・ロッソウが、外国人枠によってなかなか試合に出られない鬱憤を晴らすかのような突進を中心に攻撃を繰り返す。7分、ゴール前でラックを連取、連続攻撃からSO10小野晃征が巧みなパスダミーから抜け出し左中間にトライ(ゴール成功)7-0とした。
NTTコムは、低く執拗なタックルでサントリーの突進を止めるのだが、そこでできた密集等で反則を繰り返し、サントリーにPGの機会を与えてしまう。このチャンスをCTB12ニコラス・ライアンが比較的長い距離も含めて、16分、26分、33分と立て続けに3本のPGを成功させ、16-0と突き放す。
そして35分、サントリーCTB13平浩二、SH9フーリー・デュプレアが立て続けに裏に抜けて、ゴール前左中間ラックから右に展開、FL6ダニー・ロッソウが余裕を持って右中間にトライ(ゴール不成功)21-0として前半終了。この一連のプレーでデュプレアが右足を痛めて退場、日和佐篤と交代する。負傷の程度は明らかにされておらず、次節以降の動向が注目される。

後半も、サントリーが前半に引き続きしつこくつなぎ続ける。NTTコムは前半とはうって変わって反則せずに止めるが、4分WTB11小野澤宏時がするりと抜けてゴール中央にトライ(ゴール成功)28-0とする。
その直後9分、ようやくNTTコムにトライが生まれる。SO10君島良夫の裏へのキックからゴール前でラックを連取。前半早々にHO2種本直人の負傷により代わって入った16ルーキー白隆尚がラックサイドをついてトップリーグ初トライ、ゴールも成功し28-7。
しかし、12分、サントリーはNTTコムのミスによってこぼれたボールを拾ってつなぐ。CTB13平浩二が大きくゲインしてそのまま左中間にトライ(ゴール不成功)33-7と突き放し、4トライ目ボーナスポイントを獲得。
この後は試合終了直前41分にNTTコムボールのスクラムからこぼれたボールをサントリーがつなぎ、SO21トゥシ・ピシが左中間にトライ(ゴール不成功)38-7として試合終了。

終わってみれば点差こそ開いたが、サントリーは後半12分のトライ以降終了間際まで得点できず、満足にはほど遠い勝利。次節以降ヤマハ発動機、神戸製鋼と続く終盤の厳しい戦いに、80分間戦い続けるという課題を残す結果となった。
NTTコムはセットプレーが安定せず、ラインアウトは8本中3本しか獲得できず。ハンドリングエラーによってチャンスをつぶし、核弾頭ツイランギを活かすことができなかった。また、特に前半はせっかく厳しいタックルで相手を止めながら、その後の密集で反則を繰り返し突き放されてしまったのが反省材料。こちらも近鉄、九州電力と続く残り2節にワイルドカードトーナメント出場に望みをつなぐべく課題が山積である。(澤村 豊)

会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、友井川キャプテン
林監督(右)、友井川キャプテン

■NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
林雅人監督

「ここ2試合、自分たちの持ち味であるタックルの成功率が低いので、タックルを磨いて、自分たちのラグビーをしようということで試合に臨みました。しかし、自分たちのスキル不足を感じました。タックルもできない、反則も多く、ラインアウトも取れませんでした。後半は工夫をして、ラインアウトをクイックでするなどして多少は改善ができました。あと2試合、スキルを磨いて臨んでいきたいと思います」

──後半戦が始まって、取り組んできたことがうまくいってないような気がするが?

「後半戦まで約1か月空いていたが、トレーニングはうまくいっていたのですが。なぜかタックルがよくなくなってきています。現象としては、外のディフェンダーが中に入ってしまう昔の型に戻ってしまっています。人に言わせると勢いがあるとかないとか言いますが、私はそうは思いません。実際にタックルの成功率が下がっています。これが何なのか。好調な時にはいろいろなことが起きた時にポジティブに受け取れますが、勢いがないとか、負けているとか言われたりすると、一つのミスに、前節には感じられなかったようなことを感じてしまいます。スキルの面の改善とポジティブに考えるようにすることだと思います。今日の後半は、腹をくくってアタックしてボールをつないで、前に出ていたことがよかったと思います」

──サントリー相手にうまくいったところと、うまくいかなかったところは何か?

「サントリーは順目に浅いアタックをしてきます。基本的には1パス、2パスで外に振ってくることはしません。このあたりはしっかり止めていました。しかし、自分たちの売りであるセットプレーが機能していませんでした。また、人に依存しているところが多いと感じました。今日もキープレーヤーが出ていなかったので。層の薄さを感じました。このあたりはポジティブに頑張っていこうという気持ちになりました」

友井川拓キャプテン

「雨が降り、寒い中、多くのファンの皆さんが来ていただいたことに感謝しています。しかし、勝ち星をあげることができなく申し訳ない気持ちです。チャレンジャーとしてしっかりタックルしていこうということで試合に臨みましたが、監督が言ったとおり、スキル不足で自分たちのペースをつかめず、前半はずっとディフェンスしている状態だったので、サントリー相手では苦しい展開でした。ただし、ディフェンス面では前回、前々回よりいいディフェンスができたと感じています。これをプラスに考えて近鉄戦に向けて頑張っていきたいです」

──調子の出ていない理由は?

「後半節で言えば、タックルの成功率が低いということと技術的には外側のプレーヤーの問題です。セットプレーやタックルがぶれているので、いいアタックができない。ディフェンスも受けているという悪循環となっている。これを総括して次に臨んでいきたい」

サントリーサンゴリアス
大久保監督(右)、真壁キャプテン
大久保監督(右)、真壁キャプテン

■サントリーサンゴリアス
大久保直弥監督

「今日は、寒い中、応援ありがとうございました。50分間に関してはスピリットも含めゲームには満足しているが、残り30分間については、集中力が欠けたことによるミスが見受けられました。80分間戦い続ける意志と、フィットネスとスキルがまだまだ必要なので、そこを改善していきたいと思います。

──ミスの多かったNTTコミュニケーションズに対して、終盤まで4トライというのはサントリーの得点力や攻撃力からすると物足りないような気がするが、それよりも50分間の戦いぶりを評価するのか?

「前半に関しては、シェイプやブレイクダウンは、早い出足を受けた中では、一定のレベルでした。しかし、最後の30分間はダブルタックルされる機会が多かったです。シェイプの精度を高めることと、ボールをキープし続けることについては、残りの30分間は不満が残ります」

──NTTコミュニケーションズが相手でやりやすかったところと、やりにくかったところは?

「特に意識はしていない。相手がどこであろうが、サントリーがやることは変わらない。むしろ、相手チームが、サントリーのやることをどのように止めるかということに執着しているように感じています。どこが相手でも、自分たちが何をしなければいけないかに重点を置いています」

──フーリー・デュプレアのけがは?

「状態はまだわかりません」

──最後の、ジョージ・スミスのゴールキックについて。

「本人が蹴るといってきました。(キャプテンにも質問が及ぶと、キャプテンは「びっくりしました」)」

真壁伸弥キャプテン

「0分間が課題であった試合でした。50分間はいいプレーができたのも最初の入りの部分で自分たちが優勢に進めることができたからです。これを次に活かしていきたいです」

──NTTコミュニケーションズの印象は?

「ディフェンスがよかったと思います」

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