11節 マッチサマリー(近鉄 44-39 キヤノン)

近鉄ライナーズ 44-39 キヤノンイーグルス
【week11/2012年12月15日(土)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

前節まで5勝5敗と五分の星で第7位の近鉄と、初昇格後3勝7敗で第11位と苦戦しているキヤノンとの戦い。近鉄はプレーオフトーナメント、キヤノンはワイルドカードトーナメントへの進出に向けて、それぞれ望みをつなぐための重要な一戦は冬の曇り空の下、近鉄のキックオフで開始された。

試合は序盤から近鉄ペースで進み、CTB12番 イエロメを中心にBK陣がワイドに展開するライン攻撃で4分に左WTB11番 森田が左中間、7分に右WTB14番 ギアが右隅に立て続けにトライをあげて、早々に12-0とリードした。一方キヤノンも接点近くでの密集戦に挑み、12分に巨漢No.8ソンゲタがラックサイドを衝いて左中間に押さえた。(12-7)
その後、近鉄は着実に1T1G1PGを重ね、逆にキヤノンを1PGに抑えて22-10と近鉄リードで前半を終えた。

後半も先制したのは近鉄。開始直後の1分、前半同様スピードのあるBKがパスをつないで最後は左WTB11番 森田が左隅にトライをあげ(27-10)、このままキヤノンを引き離すかと思われた。キヤノンは5分に1トライを返した後、11分には自陣22メートルライン付近でSH9番 福居が相手ボールをインターセプトし、BK陣で80メートルを逆襲して最後はSO10番 ブルースが中央に押さえ27-20と近鉄を追い上げた。しかしその後は双方が交互にトライを奪い合う乱打戦で、後半28分にはキヤノンによるゴール前での執拗なモール攻撃に耐えかねた近鉄が反則を繰り返し認定トライ、37-36とキヤノンが1点差まで迫ったが、最終的には近鉄が44-39で辛くも逃げ切った。

薄暮のスタジアムに集まった4,500人の観衆にとっては手に汗握る熱戦と言えなくもないが、両チームには得点直後に失点を繰り返すという大味な試合展開であった。特にキヤノンは試合終了間際にSO10番 ブルースが1PGを決め、5点差としてボーナス・ポイントを獲得しつつ、土壇場での逆転を狙ったことは意義深いが、1点差に迫っていた後半31分にFKから近鉄No.8 19番 ラトゥイラにタップキックからトライを許すなど、やや集中力に欠ける場面があったことも否めない。リーグ戦も残り2試合、キヤノンはワイルドカードトーナメント入り(10位以内)を目指して、このあたりの修正が不可欠である。

MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は、BK中心にあげた5Tの大部分にかかわった近鉄15番 キャプテン高忠伸に贈られた。

     
会見ダイジェスト
キヤノンイーグルス
永友監督(左)、和田キャプテン
永友監督(左)、和田キャプテン

■キヤノンイーグルス
永友洋司監督

「関西にも沢山の方が応援に来ていただき、近鉄さんの応援団を含めて競技場に来て頂くことが大事なことと思っていますし、嬉しく思っています。
試合では、克服できない課題も多く、前回のトヨタ自動車戦と同じことが出てしまいました。しっかり映像を見て分析したいと思います。選手の頑張りが一番だと思いますが、日本一を目指しているチームですのでまだまだ、覚悟が足りないと思います」

和田拓キャプテン

「ここまで多くの声援をいただき、ラグビーができる環境をありがたく、嬉しく思います。
試合に関しては、ほとんどが近鉄ペース、自分達が遂行することができない時間帯が多く、勝負どころの正確性も足りないし、近鉄さんの方が上手かったです。未熟さを感じました。もっと、もっと上を目指しているチームなので、勝利にこだわっていきたいです」

──ゲームプランは?

永友監督
「近鉄のFWを後ろに走らせて戻させるプランでした。
空いているスペースにボールを運ぶことを考えていましたが、キックもダイレクトにキャッチされたこともあった。キックの精度も含めて、途中に修正したましが、ブレイクダウンのところも我々の方が多くの人数をかけてしまいゲームを遂行することができなかった。プランも大事ですが、一度もリードを奪うことができなかったことが反省です」

     
近鉄ライナーズ
前田監督(右)、高キャプテン
前田監督(右)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「リーグ戦最後のホーム花園で沢山のファンの前で試合ができて良かったです。
キヤノンさんは、粘り強いラグビーで、良いゲームができたことに感謝します。キヤノンさんの強い部分に対しては十分準備をして挑んだのですが、思った通りの素晴らしいチームでした。何とか、トライを獲れる時に獲って、勝ち切れたことを嬉しく思います。次も大事な試合なので、しっかり準備していきたいです」

高 忠伸キャプテン

「ホーム最後のリーグ戦、マストウィンで挑んだ試合に勝利して良かったと思います。試合内容が良くなかったことに関しては、ファンの方に申し訳ない試合をしたと思います。ゲームコントロールの部分で、もっと締まった試合がしたかったです」

──マン・オブ・ザ・マッチと、安定したプレーをしていたが、満足度は?

高キャプテン
「相手に素晴らしいFB(橋野皓介)がいるので、おっさんも気合が入ります。ラグビーに対する情熱も失っていないし、もっとうまくなりたい。
化石みたいなBKですので、若い人に負けないようにしたいです」

     

(記事:石川悟、蜷川善夫、玉川育夫 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

RELATED NEWS