12節 マッチサマリー(神戸製鋼 24-25 パナソニック)

神戸製鋼コベルコスティーラーズ 24-25 パナソニック ワイルドナイツ
【week12/2012年12月23日(日)/兵庫・ホームズスタジアム神戸】

     

首位サントリーを追走する両チームの対戦、神戸製鋼の先蹴で始まったゲームは、序盤から激しいプレッシャーの応酬となる。
押され気味の神戸製鋼は、SO森田を軸としたライン攻撃で活路を見出そうとするが、パナソニックのプレッシャーで思い通りにいかない。ところが6分、パナソニック陣内22mラックから出たボール、乱れたパスを拾った神戸製鋼WTB濱島が拾い、強引に走り切り右中間にトライ(G不成功5-0)。

キックオフ直後からボール支配を続けるパナソニックは、神戸製鋼陣内ゴール前に迫るも、パスミスで繋がらない。しかし接点で優勢の12分、ハーフウェイ付近で神戸製鋼ノットロールアウェイの反則からPGチャンスを得る。FB田邉が50M近いキックを決め5-3、主導権を握る。その後、双方僅かな綻びを隙なく攻めるも、ケアレスミスでチャンスを潰すゲーム展開。とはいえ、ゲームを優勢に進めるパナソニックは、22分田邉がPGを決め逆転すると(5-6)、接点でミスを繰り返す神戸製鋼を尻目にFWラッシュをかける。34分神戸製鋼ゴール前ラックからFL6ツイが間を割り、ポスト下へトライ(G成功5-13)。前半を折り返す。

後半早々、神戸製鋼がモールを押し込むも、今日2本目のオブストラクションで自ら勢いを削ぐ。ここから、パナソニックのラッシュに防戦一方の神戸製鋼、粘り強くディフェンスするも、44分にパナソニックLO劉に差し込まれトライを許す(G不成功5-18)。52分パナソニックゴール前のモール、粘りでトライに繋げた神戸製鋼は10-18と喰らいつくと、57分にもパナソニックゴール前ラインアウトからのモールを押し込み、最後はLO伊藤がポスト下へトライ(G成功17-18)。

残り20分でSOデラーニを投入、流れを変えにかかるパナソニックだが、ゲームは一転膠着状態、一進一退が続く。67分神戸製鋼陣内10mからのキックをパナソニック途中出場のFL西原がチャージ、拾って30mを走り切りトライ(G成功17-25)、引き離しにかかる。射程圏内に捕えたい神戸製鋼は、72分のPGチャンスを外し、苦境に立つ。75分にもLOからのモールで掴んだチャンスを、今日3回目のオブストラクションで潰す。それでも諦めない神戸製鋼は、78分ゴール前のブレイクダウンから出たボールをSO森田がキックパス、CTBアンダーソンが競り勝ちトライ(G成功24-25)。ホーンが鳴ったアディショナルタイムにボールを繋ぐ神戸製鋼だが、ノックオンで万事休す。2位神戸製鋼に勝ち点4まで迫ったパナソニック、次節に勝てばプレーオフ2位が決まる神戸製鋼。最終節まで息の抜けない戦いが続く。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)はパナソニックHO堀江が獲得した。

     
会見ダイジェスト
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田ヘッドコーチ(左)、伊藤ゲームキャプテン

■神戸製鋼コベルコスティーラーズ
苑田右二ヘッドコーチ

「先週の試合を踏まえ、トップ争いの中では80分間、当たり前のことを当たり前にやらないと勝ちきれないので、この一週間、80分間やり通すことをキーワードにしてやってきた。それでも1点及ばなかったが、今日の選手たちの戦いは、誇りに思う」

伊藤鐘史ゲームキャプテン

「全体的にはとても良かった。ただ相手のエリアに入ってから、前半はミスが多かった。少しのところで1点差になったのだと思う。先週よりは成長しているが、勝ちきるためにはもうワンステップ必要になってくる。それは練習で積み重ねていく」

──敗れはしたが、評価するポイントは。

苑田ヘッドコーチ
「今までならば一方的になる展開だったが、選手がよく我慢してくれた。自分達のチャンスが来た時にトライしてくれた。前半は早々にトライを奪われたが、ここ数年そこから相手ペースになることが多かったが、そこで凌いでチャンスを生み出した。これは選手たちが成長している証。ひとつの判断が勝敗を左右する事を身を以て感じていると思うので、それを練習に落とし込んでいきたい」

伊藤ゲームキャプテン
「セットプレー、スクラム、ラインアップが良かった。ラインアップは相手にプレッシャーをかけられたと思う。崩せたところでそこからどう繋げていくか、スコアにつながらなかった点が課題」

──次節への意気込みは。

苑田ヘッドコーチ
「サントリーに勝てばまだまだチャンスはあるので、そこで勝てるようにいい準備をしていきたい」

──先発、森田の評価は。

苑田ヘッドコーチ
「キック・アタックが得意な選手で、ディフェンスも今年に入って良くなり、チームにとって必要である。負傷者も多くなっているので、バランスも考えて起用したが、よく応えてくれた。ひとつのミスが勝敗につながることを身を以て感じたと思う」

──全体的な評価は。

苑田ヘッドコーチ
「セットバックがよくなかったという事でそこを全面的に強化してきた。バックスに関しても、ひとつのミスがトライにつながるという話をしてきた。80分間、緊張感を持って集中してやろうと練習してきた。いい練習が出来たと思う」

     
パナソニック ワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン

■パナソニック ワイルドナイツ
中嶋則文監督

「良いグラウンドコンディションの中で、第12節を出来た事を御礼申し上げたい。試合はハンドリングエラーがあったり、ミスがあったりでスコアまでいけなかった部分があったが、勝てたことは大きな収穫。今日のゲームの修正点を次までにしっかり整えて、いい状態でプレーオフに挑みたい」

霜村誠一キャプテン

「自分達のミスが相手を勢いづけて乗せてしまった原因となった。それでもいい動きはすごくあったし、次節につなげていきたい」

──次戦へ向けての課題は。

中嶋監督
「今日の試合で課題にしていたアタックではクリーンアウトの部分であったり、ディフェンスも早くプレッシャーを作るという事に関してはすごく良くできていたと思う。神戸製鋼がフェイズを重ねる中でワイドにボールを動かした時の動きを修正しなくてはいけない。アタックに関しては自分達ですごくミスがあった。プレーオフはミスが勝敗につながるので、小さいことから修正していきたい」

──去年の神戸製鋼と比べて?

中嶋監督
「一番変わっているのはディフェンス。粘り強く且つ懐深くて、最終的にはゴールラインを割らせないという強さがあった。意思統一がしっかりされている」

 

(記事:廣島治、中村吉孝 写真:長谷川昭男 広報担当:廣島治)

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