トップチャレンジ1 第1節マッチサマリー(クボタ 31-37 コカ・コーラウエスト)

クボタスピアーズ 31-37 コカ・コーラウエストレッドスパークス
【トップチャレンジ1 第1節/2013年1月5日(土)/東京・秩父宮ラグビー場】

クボタ、22点のリードを守れず、コカ・コーラウエストに勝利を献上

来シーズンからトップリーグのチーム数が16チームに増えるため、このトップチャレンジ1の4チームのうち、上位2チームに入れば自動昇格となる、またとないチャンスに恵まれた両チーム。3試合しかないトップチャレンジ1では、最初に1勝をあげたチームが非常に有利になる。実力が接近している4チームの戦いでは初戦での勝利が大変重要である。

試合はクボタにとってこれ以上ないというほどの好スタートで始まった。前半8分、敵陣でのターンオーバーでボールを得たクボタがPR後藤の中央突破からゴール前のラックとし、最後はSO立川理道から右ラインへ回しWTB伊藤が右隅に飛び込みトライ(ゴール不成功、5-0)。その後コカ・コーラウエストもボールを展開できる機会は多かったが、ミスや反則で得点チャンスにまでは至らず、一方、クボタは22分にPGで3点加点、25分には敵陣22m付近でのBKへの展開から、再びWTB伊藤がトライ(ゴール成功)、15-0とした。
クボタは更に28分、スクラムから出たボールでSO立川とCTBセイララ・マプスアのクロスプレーがきれいに決まり、CTBカトニ・オツコロがトライ(ゴール成功)、早くも22-0とし、この時点で試合がほぼ決まったかに思えた。

しかし、80分間の試合では何が起こるかわからない。前半36分に「反則の繰り返し」でクボタのFLソアカイがシンビンになり、14人でのプレーとなると、コカ・コーラウエストはFWで優位に戦えるようになり、37分には敵陣ゴール前でFWがフェイズを重ねて最後はWTB築城がトライ(ゴール成功)、コカ・コーラウエストは前半終了のホーンが鳴った後にもPGで3点を得て、前半は クボタ22-10コカ・コーラウエストで終了した。
更に後半開始直後の2分にはコカ・コーラウエストのBK攻撃から、後半から出場したばかりのCTB福田がトライ(ゴール成功、22-17)し、あっという間に、22点差が、5点差まで詰まってしまった。

両チームともPGにて加点した後、後半17分にコカ・コーラウエストが敵陣ゴール前のスクラムからFL豊田がサイド攻撃、最後はPR平原がゴールライン上に押さえ、ゴールも入り、25-27と初めてコカ・コーラウエストがリードした。しかし、わずか2点差。後半22分にはクボタがSO立川理道のPGで逆転(28-27)、勝負の行方は分からなくなった。

勝負を分けたのはクボタの反則だった。後半29分後半途中から出場しているクボタのFLエロネ・タキタキが「反則の繰り返し」で、チームこの日2つ目のシンビン。コカ・コーラウエストはこの反則で得たPKでFB原留が冷静に3点加点し、さらに人数的な優位を生かし敵陣で戦い続け、37分には、クボタが自陣からアタックしたボールをターンオーバー、CTBトゥウマガマーシャルがゴールに飛び込んで(ゴール成功、28-37)試合を決めた。クボタはノーサイドのホーンが鳴った後も攻め続けたが、PGで3点加点し31-37のスコアで終えて、7点差以内での敗戦の勝ち点1をかろうじて獲得しただけとなった。(正野雄一郎)

会見ダイジェスト
石倉監督(右)、今野キャプテン

■クボタスピアーズ
石倉俊二監督

「非常に残念です。私たちは準備してきたことを100%出そうと臨みました。選手は非常に良く頑張ったのですが、ペナルティが多く、反則を繰り返してシンビンを2回出したのは大きな反省点です。修正して、あと2試合、明日からと言わず、今日から取り組んでいきます」

──ペナルティが多かったが?

「ペナルティをやめよう、してしまったらすぐ戻ろうとスタッフも声を掛けました。コーラさんはペナルティの後、すぐ仕掛けて来るので、その反応が遅れ、修正しようとしましたが、かないませんでした。ペナルティは毎試合5個以内を目標にしてきて、シーズン通して全体的には、そんなに多くなかったのですが」

──前半リードしてハーフタイムの指示は?

「前半、凄く良い流れでしたが、最後にPGを取られたり、シンビンがあったりで、もう一度リセットして1から入ろうと伝えました。少し、欲が出たかな。基本的には自分たちの流れでした」

──立川選手の出来は?

「ジャパンから帰って、三菱重工戦に出て、ドクター、トレーナーとも相談して少し体を休めて再合流しました。新人であれほどBKを引っ張っている選手はそうはいません。本人の持っている力を存分に発揮してくれています」

──最後に勝ちがなくなった時点での、PGの選択について?

「欲を言えば、トライ狙いですが、選手の判断は間違っていないと思います。勝ち点1を取ったのは、この後の試合に大きく影響すると思います」

今野達朗キャプテン

「今日のゲームは、ペナルティが一番大きかったと思います。前半から続いてしまって、ちょっと情けないかな。あとの試合はしっかりやりたいと思います」

──ペナルティの原因は?

「選手が入れ込み過ぎていたと、若干感じています」

──最後に勝ちがなくなった時点での、PGの選択について?

「迷ったが、確実に1ポイント取って、あと2試合に賭けようという判断でした」

山口ヘッドコーチ(右)、豊田キャプテン

■コカ・コーラウエストレッドスパークス
山口智史ヘッドコーチ

「今日は、今シーズン初めての秩父宮での試合で、多くの観客の皆様の前でラグビーができたことに感謝申し上げます。うちのラグビーをお見せしたかったのですが、勝ったことだけが収穫という試合でした。しっかり反省して、うちのラグビーを作る過程を見て頂きたいと思います」

──ハーフタイムの指示は?

「今年はディフェンスを度外視して、アタックのチームをつくろうと、ボールゲームをやろうとしてきました。しかし、前半はセットプレーで劣勢に立たされ、しっかりうちの色を出せなかったのは反省点です。そこで、しっかり形をつくろうと、そのためには何をすべきかと声を掛けました」

──選手交代が当たったが?

「リザーブで、特にジョニー、福田、榎本は攻撃のスイッチを入れてくれる貴重な存在です。チームのマインドを攻撃にシフトしてくれます。今日は特にジョニーを使って、リズムが出たと思います」

──どのトライが一番勢いの出るトライだったか?

「うちが獲りたい、イメージ通りのトライはなかったのですが、ディフェンスでターンオーバーしてのトライは、ディフェンスからの攻撃が今年の一つのテーマだったので、良かったと思います」

──2回の敵のシンビン、コーラにとっては?

「結果的にプラスに働いたと思います。うちはチームレフリーの麻生が入って、試合と同じ基準で練習しています。戸田レフリーが適正にジャッジしてくれたと思います」

豊田将万キャプテン

「智さん(ヘッドコーチ)も言うように、タックルとかボールを持って前へ出るという基本的なところでクボタさんに負けていたと思います。結果、勝つことができて、それだけが良かったと思います」

──ミスが起きた時の指示は?

「ミスはミスとして受け止め、しょうがないと。僕らがやらなければならないことに立ち返ろうとだけ言いました」

──サテライトゲームで快勝したことがこの逆転につながったのでは?

「パナソニックさんとのゲームは、凄く良い影響を与えてくれて、ネガティブなことを言わなければ、必ず逆転できると思っていました」

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