プレーオフ セミファイナル マッチサマリー(パナソニック 8-20 東芝)

プレーオフトーナメント

パナソニック ワイルドナイツ 8-20 東芝ブレイブルーパス
【プレーオフトーナメント セミファイナル/2013年1月20日(日)/東京・秩父宮ラグビー場】

     

後半に見せた力の差。 東芝決勝進出

リーグ戦の2位と3位。赤 vs. 青。9,400人を超える観客の中、決勝進出を賭け、意地と意地がぶつかり合った。
成人の日に首都圏を襲った大雪の影響で、万全とは言えないグラウンド状況。キックオフ開始直後から両チーム激しくぶつかり合い、両チームのフランカー陣のジャージは早くも泥にまみれた。

神宮球場方面から吹き付ける強い北風の中、前半風上に立ちながらも主導権を握れなかったパナソニック ワイルドナイツ。この時点で勝負はついていたのかも知れない。キックでエリアを稼ぐのでは無く、敢えてライン展開を狙ったようにも感じたが、決定力が見られなかった。唯一際立っていたのは、6番バツベイ シネオ選手がライン参加しゲインラインを突破するシーン。しかしゴールラインを脅かすまでには至らなかった。我慢の東芝ブレイブルーパスと、攻めあぐんだパナソニック。前半はお互いにPG1本ずつ。3対3で前半を折り返した。

後半風上に立ち、優位に試合を進めるかに思えた東芝だが、こちらも思うように攻めきれない。逆に11分、パナソニック14番山田選手がゴール前に転がしたグラバーキックの処理を東芝バックスが痛恨のミス。走りこんできたパナソニック15番笹倉選手がインゴールでボールを押さえトライ。(ゴール失敗、8-3)

15分に東芝がPGを1本返し再び2点差(8-6)。ここで東芝はスクラムハーフと1番を立て続けに入替え、勝負に出る。この入替えが見事に奏功する事となる。入替え直後のパナソニックボールのスクラム。体重では対面に劣るものの、左プロップに入った東芝17番三上選手がスクラムを回しボールを奪う。じわりじわりと東芝が攻め込み、パナソニック陣地にいる時間が増えだした。
29分、絶好のチャンスが東芝に訪れる。パナソニックゴール前での東芝ラインアウト。バックスタンドの東芝大応援団の目の前で、声援に後押しされるかのようにモールを押し込む。パナソニックの必死のディフェンスの中、一瞬の隙を付き、東芝20番、入替えで入ったスクラムハーフの吉田朋生選手がサイドを突破しトライ。ゴールも決まり8対13と勝ち越す。

残り10分、ワントライで同点という状況ではあったが、東芝が選手の入替えで守りを強化するなか、どうしても突破口を見出せないパナソニック。試合終了直前、東芝バックスに大きく左に展開され、最後は東芝11番伊藤選手が俊足を飛ばしトライ。ゴールも決まり、最終スコアは8対20。東芝が決勝進出を決めた。
パナソニックの攻撃には決定力が欠けていた。一方、終始冷静にプレーした東芝が最後に力の差を見せ付ける結果となった。

会見ダイジェスト
パナソニック ワイルドナイツ
中嶋監督(右)、霜村キャプテン

■パナソニック ワイルドナイツ
中嶋則文監督

「お疲れ様でした。今日の試合は、東芝さんがスタンディングラグビーで身体を激しくぶつけてくると考え、その対策をして臨みました。東芝さんの強みであるラインアウトモールに対応しきれず、それ以前のペナルティなどの規律が守れず、今日の結果となりました。接点では、選手はしっかりファイトしてくれて、ターンオーバーもあり、良くやってくれました」

──シオアペ選手の起用は?

「今シーズン、試合をやるごとにスクラムが良くなってきていて、ボールキャリアーの数を増やしたかったのもあり、起用しましたが、セットで東芝さんの圧力を受け、マイボールを出せませんでした」

──考えていたこととのギャップは?

「前後半とも、東芝さんのアタックはゲインラインを越えると圧力を掛けて来るので、できるだけFWで前で止めていこうとしていました。こちらのアタック時のゲームプランはうまくいったが、東芝さんのディフェンスが良くてスコアできませんでした」

──日本選手権に向けて?

「今、負けたばかりで考えていません。しっかり今日の試合のビデオを見て、準備したいと思います」

霜村誠一キャプテン

「お疲れ様です。この場を借りて、グラウンドの雪かきをしてくれた大学生の各チームに感謝申し上げます。やろうとしたことはできましたが、規律が守れず、東芝さんのスタンディングラグビーの強さが出たと思います。スコアできなかったのは、自分たちの甘さが出たと思います。自分たちのやりたいことを、やらせてもらえなかった東芝さんの圧力に負けました」

──トスで風上を選んだのか?

「まず、トスで勝って、ボールを取りました。デラーニ選手とも、エリアを取って行こうと話していました。また、風の影響のないラグビーをしようとしました」

──前半、獲り切れなかったが?

「もう少しBKとFWの連携がかみ合っていたらと思います。意外とパッキングアップのディフェンスが多く、空いていると思っているところへいけない状態でした。ゴール前に相手のディフェンスを張り付けていたにもかかわらず、獲れなかったのは、今思えば痛かったと思います」

──日本選手権に向けて?

「ここ6年くらい、いつもプレーオフ決勝まで進んでいましたので、今回は試合数が多いけれど、しっかり2週間修正して、勝てるチームを作って東芝さんとまた当たれば、リベンジしたいと思います」

     
東芝ブレイブルーパス
和田監督(右)、豊田キャプテン

■東芝ブレイブルーパス
和田賢一監督

「本日はありがとうございました。数多くの方がプレーを見てくださったことと、除雪作業での協会、大学関係者の皆様のお力添えに感謝しております。やはり、去年負けたリベンジと、過去2年セミファイナルを超えられなかったリベンジをしようと臨みました。クロスゲームになると思っていましたが、選手はやるべきことをやってくれました。まだ、終わっていないので、次もしっかり勝つために準備したいと思います」

──この2週間で変えたところは?

「やっている練習内容のベースは変えていませんが、選手間で話し合ってもらいました。特に規律について話し合い、キーワードを出してもらって、それを基に練習しました。また、ちょっとしたボールの運び方も変えました」

──ファイナルに向けて?

「フィジカル勝負になると思います。いかに立ってボールを動かすかです。コンディションなど、やるべきことをやって臨みます」

豊田真人キャプテン

「本日は寒い中、たくさんの皆様にお集まりいただき感謝申し上げます。負けた者の強さが見えた試合でした。パナソニックさんはリーグ戦で僕たちに負け、僕たちは去年、ここでパナソニックさんに負けているので、意地の張り合いになりました。やっていて楽しく、良いラグビーができて良かったと思います。今まで勝ってきた東芝の文化と、この2年和田さんと作ってきたものを出して、勝つことができました」

──選手間で話し合ったことは?

「うちのラウンドロビンの反則は少なく、去年もフェアプレー賞をいただくくらいですが、プレーオフでは自滅したので、規律、責任、チームに対する忠誠心などを話しました」

──サントリーもミスが少ないが?

「サントリーさんとうちと、どちらがボールを持ち続けるのかという戦いになると思います」

──パナソニックはボールキャリアーを増やしたが?

「すごいプレッシャーがありました。ブレイクダウンでのフェイスアップを言い続けていました」

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