ワイルドカードトーナメント1回戦 マッチサマリー(近鉄 43-21 リコー)

ワイルドカードトーナメント

近鉄ライナーズ 43-21 リコーブラックラムズ
【ワイルドカードトーナメント1回戦/2013年1月20日(日)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

ラウンド・ロビン(レギュラーシーズン)の対戦では、近鉄が2点の僅差でリコーを下している。この試合ではリコーが多くの反則を犯し勝機を逸した。しかし、ワイルドカードトーナメントでは勝利がどちらに転んでもおかしくない。日本選手権出場を賭けた大事な一戦は、リコーのキックオフで始まった。

前半、風上に陣地を取ったのは近鉄。キックオフの球を支配した近鉄はFWとBKの攻撃を織り交ぜ徐々にリコー陣内に攻め込むとプレッシャーからかリコーが反則、近鉄SO重光が確実にPGを決め3-0と先手をとる。
一方のリコーは15分、自陣22mLラインアウトからSH池田が積極的にボックスキック、近鉄ディフェンスが虚をつかれる間に右WTBキニキニラウが球を奪いそのまま中央にトライ、ゴールも決め3-7と逆転。さらに17分、リコーは近鉄リスタートミスのセンタースクラムから左展開、SO徳永の正確なロングパスがフリーの左WTBキャプテン小松に繋がり左隅に立て続けのトライ。難しい位置からのゴールもCTB河野が決め3-14とリードを拡げる。

この後、近鉄はファンの応援をバックに23分、PKからタッチを選び、5mラインアウトから左展開、ライン参加の右WTBギアがトライ、続く27分右CTBフェアバンクスがリコーディフェンスをラインブレイク、フォローしたギアが再びトライし逆転(17-14)、36分にも右CTBフェアバンクスが抜けたゴール直前ラックからSH金がサイドを抜けトライ、近鉄は風上の利を活かしディフェンスも崩れず前半を24-14とリードして終える。

リコーが有利な風上に立ち、近鉄のキックオフで後半が開始される。近鉄は風下にも係らずキックオフの勢いを駆ってリコーのミスから得た反則から速攻、ゴール前のリズムの良い連続攻撃から1分に左PR鄭がトライ(29-14)、その差を拡げる。
リコーの反撃が期待されるが、近鉄の積極的なディフェンスでその差を詰められずに迎えた21分、10mライン付近左ラインアウトから途中出場でCTBに入った21番オリフィエが、近鉄ディフェンスを走力で振り切ってライン裏に抜けトライ(ゴール)、29-21と詰め寄る。

しかし近鉄は31分にFLタウファの前進、最後はSH金がトライを奪い36-21と試合を決める。リコーはノーサイドホーン後も次シーズンに繋げる攻撃を続けるが痛恨のハンドリングエラー、途中出場した近鉄のCTB21番吉川にトライを奪われ43-21の大差でノーサイドとなる。

近鉄は、体を張ったディフェンス・積極的な仕掛けで勝利をあげ、本拠地近鉄花園ラグビー場で日本選手権出場を賭けてヤマハ発動機とのワイルドカード2回戦に臨む。

     
会見ダイジェスト
リコーブラックラムズ
山品監督(右)、山藤ゲームキャプテン

■リコーブラックラムズ
山品博嗣監督

「2012シーズン多くのファンの方に支えてもらってここまで来られたことを感謝いたします。
終始、近鉄さんのプレッシャーを受け、また自分たちの反則と、リーグ戦とまったく同じゲームをしてしまいました。今シーズン最後としてはさびしいゲームでした」

小松大祐キャプテン

「多くのファンの方に応援していただいて、また素晴らしいコンデションでの中のゲームで感謝しています。
もう少しボールをつないで展開したかったのですが、プレッシャーを受けてミスで自滅してしまいました。相手陣に入ってこちらはミス、近鉄さんにはこちらへ入って簡単に取られてしまいました。今日の反省を来シーズンに活かしていきたいと思います」

     
     
近鉄ライナーズ
前田監督(左)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「スタンドからたくさんの声援を受ける中で、負けたら終わりのゲームを何とか勝ってくれました。結果として次のゲームができます。次は近鉄ライナーズのゲームをしたいと思います」

高 忠伸キャプテン

「また1週間このチームでラグビーができる事が幸せです」

──今日のゲームプランは?

前田監督
「前半は風が味方しているのでしっかりエリアをとってもう少し点差を広げたかったです。後半はボールをキープし継続していくことを選手は実行してくれました。
リコーさんは爆発力のあるチームです。リーグ戦では我々が勝っているので、死に物狂いでくるだろうと準備していました。前半はミスで取りきれないところもありましたが、何とか対応できました。

──フィジカル面で消耗していたように感じたが?

高キャプテン
「春からフィットネス、ストレングスのコーチングを受けており、見た目よりはまだ激しくいけると思います。チームとしてはまだ満足していません」

──次のヤマハ発動機戦のキーは?

前田監督
「ヤマハ発動機さんもリーグ戦ではギリギリで勝っています。我々としては、しっかり準備をして確実に実行していくだけです。まず攻撃の時間を増やすことです」

     

(記事:山林右二、蜷川善夫、北畑幸二 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

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