ワイルドカードトーナメント2回戦 マッチサマリー(ヤマハ発動機 70-12 近鉄)

ワイルドカードトーナメント

ヤマハ発動機ジュビロ 70-12 近鉄ライナーズ
【ワイルドカードトーナメント2回戦/2013年1月26日(土)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

リーグ戦第6位のヤマハ発動機と第7位の近鉄の対決。ヤマハスタジアムで行われたレギュラーシーズンの対決では、ロスタイムにヤマハ発動機の致命的なパスミスから近鉄が決勝点を奪い接戦をものにしている。日本選手権出場を賭けたワイルドカードトーナメント2回戦は、晴天ではあるが冷たい木枯らしの吹きすさぶ花園ラグビー場で、近鉄のキックオフで開始された。

試合は接戦を予想した大方の予想に反し、開始直後から一方的なヤマハ発動機ペース、前半3分にFB15番五郎丸がゴール前40mのPGを決めて先制した後、11分にSH9番池町がゴール前中央のラックサイドを突いてポスト左にトライ、ゴールも成功して10-0とした。さらに15分、21分とBKが展開して立て続けにトライをあげ、ヤマハ発動機が早くも24-0と試合の主導権を握った。スクラムで優位に立ったヤマハ発動機は接点やセットプレイでターンオーバーを繰り返して近鉄に攻撃のきっかけを与えず、アタックでもCTB12番サウらを中心に近鉄の防御網を切り裂いていく。一方、近鉄は数少ない攻撃の場面でもハンドリングミスが目立ち、打つ手のない状況が続いた。その後ヤマハ発動機はさらに1T1PGを加えて32-0とし、近鉄は前半終了間際にPR3番成が1トライを返すに留まった(32-5)。

後半に入ってもヤマハ発動機の勢いは止まらず、FW・BK一体となった攻撃で30分までに4Tを加え、58-5とほぼ勝利を確定させた。近鉄は34分にようやくこの日2本目のトライをWTB22番坂本があげるが(ゴール成功し58-12)、時すでに遅く、その後も攻撃の手を緩めないヤマハ発動機はさらに2T1Gを加えて70点の大台に乗せた(70-12)。

勝利チームが日本選手権に臨み、敗戦チームはシーズン終了という両チームにとって最も重要なゲームはヤマハ発動機の一方的なものとなり、前半半ばで観客の興味を失わせることとなった。レギュラーシーズン終盤からワイルドカードトーナメントとハードなゲームの続いた近鉄にとっては悔いの残る内容であったが、来シーズンに向けた新たなスタートに期待したい。一方、ヤマハ発動機の日本選手権1回戦の相手はパナソニック、レギュラーシーズンで敗れた相手だけに、捲土重来、台風の目となって果敢に4強に挑むことを期待したい。

     
会見ダイジェスト
近鉄ライナーズ
前田監督(左)、高キャプテン

■近鉄ライナーズ
前田隆介監督

「今日もスタンドから沢山の応援をいただき心より感謝申し上げます。ゲームは、すべてに圧倒されて、一番大事な試合にシーズンで一番悪い試合をしてしまいました。まだまだ、力が蓄えられないで終わってしまい残念に思います。しかし、このシーズン、選手達は体を張り続けてくれました。そのことは大変嬉しく思いますし、感謝の気持ちを伝えたいです。その中で常にリーダーシップを発揮し、最後尾から声を出し続けてくれた、高キャプテンに対しては改めて感謝したいと思います」

高 忠伸キャプテン

「悔しいです。負けた事実より自分達の試合が出来なかった、自分の無力を感じることが、一番悔しいです」

──前半から崩れた要因は?

前田監督
「ペナルティでリズムを崩し、ディフェンスでのマークミスもあり、相手の強いところで、ブレイクされました。それが前半の失点につながりました」

──自分達の力が出せなかった原因は?

高キャプテン
「準備も上手くいき、リコー戦で自信もつき、雰囲気も良かったです。原因がよくわかりません」

     
     
ヤマハ発動機ジュビロ
清宮監督(左)、笠原キャプテン

■ヤマハ発動機ジュビロ
清宮克幸監督

「昨年に続いて近鉄とのワイルドカードの対戦、近鉄さんは、先週のリコーさんとの試合があり、怪我を含めてコンディションの調整が大変だったと思います。昨年、ヤマハ発動機もレギュラーシーズン後に、東芝と対戦して60点近く取られて負けています。リーグ戦では拮抗していても、その後ではコンディションの違いで大差になります。ラグビーは難しいとつくづく思います。近鉄とは良きライバル、毎シーズン、シーソーゲームになる相手なので来年はまた、違った展開になると思います。今回は、たまたま我々が良く、近鉄が悪いというゲームでした」

笠原雄太キャプテン

「これまでは、前半で得点を取っても、後半には集中力が切れて相手に攻め込まれるということが多かったのですが、今回は、80分いい集中力が持続できて、やろうとすることがしっかり出来て良かったと思います」

──日本選手権が決まり、相手より準備時間が少ないが…?

清宮監督
「今日のヤマハ発動機は、余力を残して勝てたことが大きいです。ぎりぎりの試合だとダメージを受けるので、いいコンディションで次の試合に臨めると思います」

     

(記事:石川悟、蜷川善夫、玉川育夫 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

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