ワイルドカードトーナメント2回戦 マッチサマリー(トヨタ自動車 41-23 NEC)

ワイルドカードトーナメント

トヨタ自動車ヴェルブリッツ 41-23 NECグリーンロケッツ
【ワイルドカードトーナメント2回戦/2013年1月26日(土)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

ラウンドロビン(リーグ戦)の対戦では、トヨタ自動車が1点の僅差でNECを下している。この試合ではトヨタが試合終盤で逆転、NECも再逆転のチャンスがあったがロスタイムでのPG不成功で勝利を逸している。このワイルドカードでの対戦も、どちらに勝利が転んでもおかしくない。日本選手権出場を賭けた大事な一戦が始まる。

前半、風上に位置したNECのキックオフで試合が開始される。先に得点の機会を得たのはNEC、トヨタ自動車陣内での反則から左CTB12番田村が着実にPGを決め0-3と試合が動く。トヨタ自動車は、前半10分に早くもSO文字、左FLカイノが交替、SOにブレット、FLに槇原を投入する。これが功を奏したのか、NEC陣内でゲームが展開されだし、15分にゴール前22m中央ラックから出た球をSOブレットが左にキック、これを右CTB13番イェーツが見事にゴールライン際でとり左隅にトライ、5-3と逆転する。NECも20分にPGを返し5-6と互角の戦いとなる。
前半の終盤、トヨタ自動車が徐々にNECのアタックを封じ込める展開の中、29分10m左中間でのNEC田村のキックをトヨタCTBイェーツがチャージ、走り込んできたSOブレットに球が渡り、そのまま中央まで走り切ってトライ(ゴール)。12-6とトヨタ自動車がリードを拡げ、NECにトライを許さず、12-9で前半を折り返す。

どちらが先に得点を挙げるか興味が持たれる後半、風上に立ったトヨタ自動車はキックオフの勢いを駆って、2分、15m付近左ラインアウトからパワープレーでモールを押し込み、PR3番長尾が押さえてトライ、ゴールも決まり19-9と得点差を拡げていく。
この後も、トヨタはNEC陣内で有利に試合を進め、FWの体を張ったプレーで密集を支配。BKもリズム良くゲインを切り、FL7番吉田(光)のブレイクダウンでのターンオーバーなどが見られる中、26分にLO4番谷口のトライ、続いて28分にはLO5番杉本がトライとFWが活躍、最後は31分左WTB和田が左ライン際を40m独走し、41-9と試合の趨勢を決めた。

NECは、終盤に35分左WTBナドロ、39分、途中出場の22番ツイタヴァキが得点を返し反撃をするも及ばず、41-23で敗れ日本選手権出場は叶わなかった。
勝利を収めたトヨタ自動車はレギュラーシーズン開けの期間で日本選手権に向けての調整が順調に進んでいると覗える試合運びであった。トーナメント戦には実績を有するNECではあったが今回は果たせず、次シーズンでの巻き返しを期待したい。

     
会見ダイジェスト
NECグリーンロケッツ
クーパー ヘッドコーチ(左)、浅野キャプテン

■NECグリーンロケッツ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「残念な結果になりました。前半は互角でしたが、後半立ち上がりから、簡単にトライを与えすぎました。ラックでプレッシャーを受け、ワイドな攻め方が出来なかった結果、無理なアタックをせざるを得ませんでした。今シーズンを通じて、若手の成長が感じられたことは、チームにとって今後の強みとなるでしょう」

浅野良太キャプテン

「会社関係者含め多くのファンの方々に暖かいご声援を頂戴し、深く感謝しています。1年間を通じて、"ノー・リミット"のスローガンを掲げ、優勝できる確信を持って戦ってきましたが、今日の敗戦を以て、このメンバーと次を戦えないことが残念です。45名の選手及びスタッフ全員を誇りに思います。今シーズンの終わりに際し、改めて皆様に支えられグラウンドに立てたことについて、感謝の言葉を申し上げて締めくくりたいと思います」

──後半、モールでトライを奪われ、トヨタ自動車の流れになったがその要因は?

浅野キャプテン
「トライを奪われる直前のゾーンでは、ボールキープ出来ていましたが、BKのコミュニケーションが巧くいかずに、慌ててボールを出してしまいました。その後、ラインオブタッチはゴールラインまで10m近くあり、ディフェンスに徹するのか競り合うのか、中途半端な判断でした。前半の相手のトライもディフェンスの陣形を完全に崩されてのものでは無かっただけに、あのトライは痛かったです」

──昨年の成績:日本選手権ベスト4を下回ったことについて?

浅野キャプテン
「アタックのオプションを増やしましたが、成長段階のままシーズンが進んでしまい、理解度が深まりませんでした。ゲーム終盤では精度を高めることが目標でしたが、アタックに比べディフェンスシステムが機能せず、最後まで確信が持てませんでした。若手が多い中、やりたいことは出来ましたが、結果につながらず、勝利することで深められる自信が積み上げられませんでした」

     
     
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
廣瀬監督(左)、菊谷ゲームキャプテン
廣瀬監督(左)、菊谷ゲームキャプテン

■トヨタ自動車ヴェルブリッツ
廣瀬佳司監督

「トヨタ自動車として、内容の良いゲームでした。アタックはフィジカルに出来、ディフェンスもよく対応しており、プラン通りでした。この勢いで次のゲームもチャレンジしていきたいです」

菊谷崇ゲームキャプテン

「地元豊田をはじめ多くのファンに花園までお越しいただき、とても感謝しています。ゲーム内容は非常に良いペースで進めることが出来、満足しています。ただラスト5分間で2トライを献上してしまったことは悔しいです。次の一週間でしっかり準備し、日本選手権に備えたいと思います」

──前半13分でSO文字が交替を余儀なくされたことについて?

廣瀬監督
「シーズンの大半は途中出場となったブレットを起用していましたので、システムの混乱は無かったです。ただ、ブレットは負傷が癒えたばかりの状態でしたのでその点は、不安でした。しかし、彼のゲームメイクがバッチリはまりました」

──SH和田のWTB起用について?

廣瀬監督
「WTBとしての能力を高く評価しての起用です。ここ2ゲームは良いパフォーマンスをみせ、ディフェンスにも安定感があり、今日は期待通りの動きでした。彼には、チーム始動時からSHとWTBの両方とも練習させています」

──トップリーグ最終節から20日間、日程が空いたことについて?

菊谷ゲームキャプテン
「先週行った練習ゲームのNTTドコモ戦を照準にモチベーションを上げましたので、ゲーム勘としては問題ありませんでした。ルーティーンワークもそう変わらず、日程のことは特別意識もしていませんでした」

──前半のシステム変更の結果、カイノを早々に交替させたことについて?

廣瀬監督
「オールブラックスのメンバーを13分で交替させもったいないことをしました(苦笑)。しかし、状況によりシステム変更することはチームとして慣れており、大きな混乱もなかったです」

     

(記事:山林右二、蜷川善夫、廣島治 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

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