TOPレビュー特別編 2013トップリーグオールスター『FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山』(3/3) レビュー

シニアのヤングに対するリベンジ成功
お食事すし1000皿のMVPはFLタウファに

 3日、和歌山・紀三井寺公園陸上競技場で2013トップリーグオールスター『FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山』が行われた。
 今回で5回目を迎えたオールスターゲーム。
 昨年の宮城・仙台開催に続いて2年連続で東日本大震災からの復興支援という位置づけを明確にするために、福島開催という案も考えられたが、「時期的な問題で難しかった」(キャプテン会議・竹本隼太郎代表)ため和歌山での開催となった。
「紀伊半島大水害からの復興をサポートする」(同代表)というのが、今回、和歌山が選ばれた理由のひとつでもある。
 計50人の選手は、昨年同様27歳以上の「シニアハート」チームと同以下の「ヤングスター」とに分かれて戦った。
 今回のようなスペシャルマッチとはいえ、和歌山でトップリーグの試合が行われるのは初めてのこと。
 復興支援のためのチャリティーマッチという側面の一方で、当然、「ラグビーの普及、間口を広げていく」(同代表)ことを視野に入れた和歌山でのオールスターでもあった。
 2015年に控える紀の国わかやま国体のため、会場となった紀三井寺公園陸上競技場の駐車場が工事中で使えないなど厳しい条件もあったが、当日は昨年を上回る5,290人の観衆が駆けつけたことからもわかるとおり、「普及」という面から言うなら大きな手応えをつかんだ今回の『FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山』となったのは確かだっただろう。

 
シニア大西、ヤング五郎丸両主将を先頭に入場するオールスター。5000人以上の観衆が駆けつけた
photo by Kenji Demura (RJP)

 
ゴールキックを狙うLO大野。こんなシーンが見られるのもオールスターならでは
photo by Kenji Demura (RJP)

 前述どおり、「シニア対ヤング」というチーム分けは昨季同様だったが、1年前に73-50で敗れていたシニアチームにとっては、「絶対にリベンジ」(高野一成監督)という思いが大きかったようだ。
 それは、26-45とヤングスターチームが19点リードして折り返した後半最初のプレーに表れていた。
 敵陣深く攻め込んだシニアチームはFWだけではなくBKプレーヤーも加わり、最後は12人でモールを押し込んで後半最初のトライを挙げたのだ。
 昨年もシニアチームは試合終了間際にまさかの15人モールを押し込み、一矢を報いていてスタンドを盛り上げた。
 恐らくは1年前のことを意識した面もあったのだろう。
 このハーフタイム直後の12人モールでのトライを皮切りに、後半は「朝は何らかの理由で元気がなかった」(SO大西将太郎キャプテン)というシニアメンバーが盛り返し、計7トライ。
 最後は67-62と5点リードのシニアチームが、躊躇せずにPKをタッチに蹴り出してファイナルホイッスルを導くなど、お祭りゲームとは思えない勝利への執着心を見せて、1年前のリベンジに成功した。

 
FLタウファを振り切ってトライを決めるなどハットトリックのWTB横山はヤングが勝っていればMVPだった?
photo by Kenji Demura (RJP)

 
試合終了の瞬間、本気で喜ぶシニアハートチーム。勝利への執念で上回った
photo by Kenji Demura (RJP)

チャリティーオークションなどの
場外イベントも盛り上がりをみせた

 この試合のMVPにはスペシャルメンバーとしてオールスター戦をサポートしてくれた「株式会社あきんどスシロー」から豪華景品がプレゼントされることになっていたこともあって、ヤングスターチームのFB五郎丸歩キャプテンは「後半、シニアメンバーのスシローに対する熱い気持ちにやられた」と、やや負け惜しみ発言。
 一方のシニアハートチームの大西キャプテンは、「後半ヤングチームに元気がなくなった。一時的な招集チームの試合をどうやって盛り上げていくか、こういう経験から学んでほしい」と、フィットネスでは完敗しながらも経験値の高さで勝利をものにできるしたたかさに胸を張っていた。
 もちろん、勝敗度外視のチャリティーマッチとはいえ、「トップリーガーとして責任あるプレーをしよう」(前田隆介監督)と臨んだヤングスターチームが前半見せた質の高いラグビーも、トップリーグ初体験の和歌山の人たちにとって刺激的だったことも間違いないだろう。

 
MVPタウファはおすし1000皿に関して「チームメイトと分けます」
photo by Kenji Demura (RJP)

 試合後には、トップリーグ各チームからのお宝グッズ(ソニービル・ウィリアムズやジャック・フーリーグッズも)が次々に登場しての恒例のチャリティーオークションも盛り上がりを見せるなど、成功裏に終了した2013トップリーグオールスター『FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山』。
「コンディションが去年より良かった」(キャプテン会議・竹本隼太郎代表)ことで選手たちがいいパフォーマンスを見せられたことが、盛り上がった最大要因であることは間違いないだろう。
 その一方で、シーズン終了直後だと東北地方での開催が難しく、被災地支援という意味では、「時期とタイミングを考えないといけない」(同代表)など、より素晴らしいイベントにしていくため「みんなでアイデアを出し合って、全ての面で進化していく必要がある」(大西キャプテン)ことも感じさせた、ひな祭りの和歌山でのオールスター戦だった。

 
オークションに出されたSBWサイン入りジャージに熱い視線を注ぐ和歌山のファン
photo by Kenji Demura (RJP)

text by Kenji Demura

 
「改善すべき点も多い」(竹本代表)。キャプテン会議ではさらなる良質なイベントを目指している
photo by Kenji Demura (RJP)

トップリーグ シニアハートチームが勝利/MVPはタウファ統悦(近鉄ライナーズ所属)

3月3日(日)、和歌山県・紀三井寺公園陸上競技場にて「2013トップリーグオールスター『FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山』」を開催いたしました。

2008-2009シーズンにスタートしたトップリーグオールスターは今回で5回目の開催となり、和歌山県でトップリーグの試合が開催されるのは今回のトップリーグオールスターが初めてのこととなります。
開催地の和歌山県をはじめ、トップリーグチームの皆様のご協力をいただき、恒例のチャリティーオークション、トークショーなどのほかに、県内の名産品のフードコートや、ラグビーパークなどのイベントを実施し、ご来場いただいたお客様にお楽しみいただきました。

また、試合開始前には「未来のトップリーガーへ」プログラム贈呈式や仁坂吉伸 和歌山県知事のキックオフセレモニーを実施し、年に一度のトップリーグオールスターを盛り上げていただきました。

試合は1985年4月2日生まれを基準にシニアチーム、ヤングチームに分けて対戦。67-62でシニアハートチームが勝利を収め、歴代2位の5,290人のお客様にご観覧いただきました。
MVPはタウファ統悦(近鉄ライナーズ所属)が獲得し、本大会の「スペシャルメンバー」の株式会社あきんどスシローより「すし1000皿お食事券」が贈られました。

-記-

【2013トップリーグオールスター「FOR ALLチャリティーマッチ in 和歌山」実施報告】

■開催日時 3月3日(日)13:00キックオフ
■会場 紀三井寺公園陸上競技場 (和歌山県和歌山市)
■試合結果 トップリーグシニアハートチーム67-62 トップリーグヤングスターチーム
■入場者数 5,290人(歴代2位)
■MVP タウファ統悦(近鉄ライナーズ所属)

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