ファーストステージ・第2節 マッチサマリー(クボタ 22-17 近鉄)

クボタスピアーズ
クボタスピアーズ
22 合計 17
13 前半 9
9 後半 8
4 勝点 1
5 総勝点 1
近鉄ライナーズ
近鉄ライナーズ

クボタスピアーズ 22-17 近鉄ライナーズ

ファーストステージ・第2節 プールB
2013年9月7日(土)17:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

猛暑は幾分和らいだものの、まだまだ夏の暑さが残る秩父宮ラグビー場、プレーするにも厳しいコンディションが続いている。開幕節のゲームを落としてしまった両チーム、ファーストステージ上位4位以内への生き残りに向け、連敗は許されない。気候と同様熱い戦い、期待に違わぬ接戦となった。

最初の得点は、意外とあっさり2分にクボタがあげた。近鉄陣で数度のフェイズを重ねたところの密集内で、近鉄がハンドの反則。これをタッチに蹴り出し、ゴール前ラインアウトからモールを押す。そのサイドをFL7フィナウがタイミングよく飛び出す。ゴール前ラックからピック&ゴーでクボタNo.8タキタキがパワーを活かして飛び込みトライ。ゴールは失敗、5-0とする。

近鉄も負けじと得点を返す。クボタ陣10m付近右中間のスクラムでクボタのコラプシングを誘い、やや難しいPGをSO10重光が決めて5-3とくらいつく。

両チームが得点を挙げたあと、ここからは一進一退を繰り返す。近鉄がやや長くボールを支配するが、クボタの粘り強いDFにミスを繰り返し追加点を奪うことができない。これに対しクボタも切り返しを図るが、こちらもフィニッシュまで持って行くには至らない。結局、ここでの攻防がゲームの趨勢を決定づけたようだ。試合後の近鉄・前田監督のコメントにもあったが、ミスでボールを継続できず、テンポもスローになり、自分たちのゲームが作れなかった。

ウォーターブレイクの後、ゲームが動き出す。27分、クボタの高く蹴ったハイパントを近鉄はノックオンオフサイド。近鉄ゴールまで約30m左中間からクボタSO10高橋がPGを決めて、8-3と突き放す。

直後のキックオフのボールを今度はクボタがノックオンオフサイド。ノックオンオフサイドが続くという珍しい場面。29分クボタ陣から25m右中間のPGを近鉄SO10重光がきっちりと決めて8-6。

31分近鉄陣10m右中間のスクラムからクボタは右ショートサイドを攻める。22m付近でできた密集から出たクイックボールをつなぎ、No.8タキタキが走り切ってゴール右隅におさえてこの日2本目のトライ。ゴールは失敗、13-6。

39分、近鉄FWがオーバーザトップの反則を誘い、クボタ陣10mほぼ中央からやや長めのPGを近鉄SO10重光が決めて13-9と僅差にして前半を終えた。

後半は近鉄が先制する。13分クボタ陣ゴール前ラインアウトからモールを押し、タイミングよく飛び出した近鉄FL7タウファがゴールに飛び込む。ゴールは失敗したものの、13-14と逆転、この日初めてリードする。

しかし20分、近鉄陣10m付近で今度は近鉄がスクラムコラプシング、クボタはすかさずクイックタップでノット10mバックの反則を得て前進。第1節に続きこの日もCTBに入っていた12立川がPGを決めて逆転、16-14とする。

しかしこのリードも束の間、ウォーターブレイクを挟んだ直後のキックオフボールをクボタがノックオン。近鉄がこの機に乗じてフェイズを重ねたところで、クボタはたまらずノットロールアウェイ。23分に距離約20mほぼ正面のPGを近鉄SO10重光が決めて16-17と再逆転する。

このまま突き放したい近鉄だが、やはりミス、反則でリズムをつかめず追加点を奪うことができない。そんな中、近鉄が自陣ゴール前でスクラムコラプシングを再び犯してしまう。33分にクボタCTB12立川がPGを決めて19-17と逆転すると、39分にも続けてPGを成功させ22-17としてゲームを決めた。

開幕2連敗となった近鉄は、次も再昇格組であるコカ・コーラウエストとの対戦。今節までの悪い流れを早く断ち切り、修正して臨みたい。
勝ったクボタもまだまだ万全とはいえず、次節の東芝戦で真価が問われることになる。アタック、ディフェンスとも二段も三段もレベルを上げたいところ。

マン・オブ・ザ・マッチは後半大事なところで3連続PGを決めたクボタCTB12立川理道選手。日本代表の選手として、このままトップリーグを引っ張ってもらいたい。(澤村 豊)


● 記者会見ダイジェスト ●

近鉄ライナーズ


前田隆介監督(右)、森田尚希ゲームキャプテン

前田隆介監督

「前半から我々のミス、ミス、ミス、ミスでボールキープできず、スコアできず、負けた試合でした。うまくスローテンポの試合にされました。切り替えて次週に向けて、準備したいと思います」

──他に敗因としては?

「もう少し長いエリアのキックも必要だと感じました。フェイズを重ねてのキックは準備してきましたが。シチュエーションとして、しっかりフェイズを重ねて相手を走らせてからのキックは有効と考えていました」

──ディフェンス勝負は?

「思ったより、向こうは、ラックは捨てていました。ブレイクダウンにギャップがあって、そこにライナーズの選手が運動量を上げてこじ開けられれば良かったのですが、仕留めるところが仕留められなかったと思います」

──クボタのラグビーは?

「毎年、北海道で試合を組ませてもらっていますが、素晴らしいラグビーをしている勤勉なチームです。我々もしっかりした実行力がないと。上がってきたチームというより、素晴らしいチームという印象です。キープレーヤーもしっかりボールを前に運べます」

──マークした選手は?

「3列の外国人選手と13番の縦へのプレーです。しっかりタックルして、前で止めていくプランでしたが、森田(尚希)たちがしっかりタックルしてくれました」

森田尚希ゲームキャプテン

「前回も自分たちのミスで負けたのですが、今日も80分通して相手陣で攻めているものの、フィニッシュでイージーなミスで得点できず、直していけませんでした。ちょっと情けないという印象のゲームでした」


クボタスピアーズ


石倉俊二監督(右)、今野達朗キャプテン

石倉俊二監督

「まず、日本協会、関東協会の皆様に感謝申し上げます。近鉄さんがわざわざ東京へ来てくださって試合ができるのも嬉しかったです。まず、トップリーグへ帰ってきて、1勝することができました。選手たちは80分間、良く頑張ったと思います。ちょっとバタバタしたところもありましたが、最後まで集中してトライできたのは良かったです。ペナルティなど、修正して次週に臨みたいと思います」

──ゲームプランは?

「先週と、特に大きく変えていません。自分たちのラグビーをやっていこうと。ヤマハ発動機戦ではミスがありましたが、ミスを少なくすれば自分たちのラグビーが通用するという自信になりました」

──ハーフ団は?

「立川(理道)選手はチームでBKを引っ張ってくれています。日本代表らしい働きぶりです。井上(大介)選手も非常に良い動きで、いずれは代表でコンビを組んでほしいと思っていますが、まだ雑なプレーが多いので、ヘッドコーチがビデオを見せて勉強させています」

──最後のプレーを見ていて?

「そうですね(苦笑)。タッチを蹴って、モールを押して、自分たちで切って終わりますと言ってくれたのですが…。スクラム見た瞬間はねえ(笑)。ちょっと最後のキックまでドキドキしたけれど、(ケイド)ポキがよく走ってくれました」

今野達朗キャプテン

「本日はありがとうございます。一言、勝てて良かったです。最後、バタバタして、少し焦りましたが」

──ヤマハ発動機戦での反省と自信は?

「先週はペナルティが多かったです。特に新しいルールのところでした。とりあえず、先週と同じところはペナライズされないよう修正してきました」





マン・オブ・ザ・マッチは、クボタスピアーズの立川理道選手

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