ファーストステージ・第2節 マッチサマリー(キヤノン 23-18 パナソニック)
キヤノンイーグルス 23-18 パナソニック ワイルドナイツ ファーストステージ・第2節 プールB 前節、東芝相手に10対8と接戦を演じたキヤノンと、近鉄に快勝したパナソニックとの試合。開幕戦を終え、両チームがどのように仕上げて来たのか楽しみな一戦である。 試合はパナソニックのキックオフで始まる。 ゲームが動いたのは開始から17分。パナソニックはキヤノン陣内10メートルでのラインアウトから左に展開、ラックの後WTB11山田にパス。山田が俊足を生かしキヤノン陣内深くまで攻め込む。キヤノンも必死のディフェンスで山田を止めラックとするが、パナソニックは右に攻め、LO4劉がトライ(ゴール不成功)。0対5とパナソニックが先行する。 22分。パナソニックは更に得点を重ねる。中央付近からのラインアウトからハイパント攻撃。WTB14北川が快足を活かしクリーンキャッチ。すぐに左に展開しラックとする。キヤノン、たまらずノットロールアウェイの反則。これをFB田邉が決め、3点を追加。0対8と点差を広げる。 31分。パナソニックはキヤノン陣内10メートルのスクラムから攻撃するが、ハンドリングエラーでノックオン。キヤノンボールのスクラムとなる。キヤノン、スクラムから左に大きく展開しWTB11ハビリにパス。ハビリは快走し、フォローしていたCTB13ベネットにパス。ベネットがそのままトライ。CTB12三友のゴールも決まり10対8とキャノンが勝ち越す。 キヤノンはパナソニックを相手にブレイクダウンやセットプレーで互角以上に戦い、終始圧力をかけていた。守っては思い切って前に出て、パナソニックのミスを誘発していた。 後半、先に得点したのはパナソニック。8分。キヤノンの反則からFB田邊がペナルティゴールを決め17対11と追い上げる。 キヤノンは22分にもCTB12三友がこの日5本目のキックを決め、23対11とさらに点差を広げる。 キヤノンは終始パナソニックに圧力をかけ、パナソニックに自分たちのリズムでプレーをさせていなかった。セットプレーからはボールを大きく展開し、これを前後半80分間継続し続けていた。 ● 記者会見ダイジェスト ●
パナソニック ワイルドナイツ 中嶋則文監督(左)、堀江翔太キャプテン 中嶋則文監督 「お疲れ様です。開幕節で内容が良くて、この試合が重要になるとスタッフも選手も分かって準備してきました。キヤノンさんのセットピースからの圧力やブレイクダウンを受けてしまって、自分たちのテンポで試合ができませんでした。この結果を受け止めて、しっかり修正したいと思います。キヤノンさんは我々に向けて準備をされ、80分間、セットピースからワイドに展開するラグビーをされたと思います」 ──具体的な対策は? 「ブレイクダウンでプレッシャーをかけていくことと、スキル、コンタクトを準備してきました。すごくスキルにこだわっていたのですが、後半はキヤノンさんの選手にノットロールアウェイで球出しを遅らされた部分もあったかと思います」 堀江翔太キャプテン 「お疲れ様です。僕たちも頑張って、後半も我慢したのですが、一発でトライを獲られて向こうのリズムをつくられてしまいました。焦ってペナルティをして、向こうにもラッキーな展開になったかと思います。しかし、システムで崩されたわけではないので、悲観はしていません。アタックでは、ボールを落として自分たちで首を絞めた感じです。基本プレーをもう一回見直していきます。ここで下を向かずに、今日のミスをどれだけ次のゲームで修正するかが大事です。胸を張って太田に帰り、一から出直したいと思います」 ──想定外だったのは? 「ブレイクダウンで来ることは分かっていましたが、予想以上に人数をかけてきました。相手に元パナソニックの選手も結構いるので、こちらのセットプレーの弱点は分かっているのだと思います。僕らもブレイクダウンではボールを出せていました。しかし、向こうにレフリーの手が上がることが多かったと思います」 ──そのブレイクダウンでは? 「レフリーのノットリリースもノットロールアウェイもタイミングはバラバラのところもあった印象です。今日は向こうの流れもあって、もっと我慢して、敵陣へ入っていくべきでした。こちらにも、ちょっと雑なプレーもありました」 ──雑なプレーとは? 「相手のプレッシャーの中でしっかりプレーできず、少し焦って、先に身体と頭が前へ出すぎてボールを落としたりしていた基本的なところです。また、安易に自分から蹴って、トエアバ選手のキックで後ろへ下げられてしまいました。マイボールの時間が長ければもっと修正していけたと思います」 キヤノンイーグルス 永友洋司監督(左)、和田拓キャプテン 永友洋司監督 「本日はありがとうございます。我々はパナソニックさんに力を引き出していただきました。実力的には下だったし、相手に感謝したいと思います。結果は素直に嬉しいと思いますし、なかなか超えられなかった4強の壁を越えることができました。選手の頑張り、スタッフのハードワークの結果だと思います。しかし、次も続くし、私はこの勝ちをいつまでも喜んではいられないと思います。切り替えて次のゲームで連勝することが重要です」 ──それなりの自信はあったのか? 「私が現役の時もそうでしたが、東芝やパナソニックの選手は立場が違います。負けられないという、チャンピオンチームらしいプレッシャーがあります。こちらは個々の部分は劣っていますが、つけいる隙があるとすれば、そういうところかなと。メンタル的にも東芝さんに負けて難しかったのですが、選手が良く準備してくれました」 ──トエアバ選手をスターティングで使ったが? 「当初ブルース選手を予定していましたが、先週の試合で怪我をして変更しました。彼は、今シーズン、身体の切れも良くユーティリティプレーヤーとして計算できます。実際、10、12、13のディフェンスが良くなり、大崩れしなくなりました。トエアバ選手が10番周辺を狙い続けていけば、後半、彼にマークが集まり、他の選手の前が空くと思っていました」 ──チームのまとまりは? 「ここ数年の積み上げが出てきたと思います。就任した当初からコンディションづくりにこだわってきて、結果が出ないところで選手が我慢してやってきた成果がやっと出てきた感じです。今の実力で言えばパナソニックさんと10回やって1回勝てるかどうかです。もう1回やらせて貰ったときに、しっかりしたプレーができるかが大事です。当然、どのチームもトップを目指しているわけで、まだ2試合しか終わっていません。次のゲームが大事です。選手には少しゆっくりしてもらって、体力回復に努めて、またやっていきたいと思います」 ──実力のところを詳しく? 「1回勝っただけで超えられたとは思っていません。昨シーズンが終わって、常勝チームの壁にぶち当たったイーグルスでしたが、間違いなく前進しています。しかし、ここぞという時のラインアウト、リスタートの精度はまだまだ低いので、ウィニングカルチャーをつくっていきたいと思います」 和田拓キャプテン 「本日はありがとうございます。今日も多くのファンの皆様がいらっしゃって、感謝申し上げます。率直に、メチャクチャ嬉しいです(笑)。こうやって4強のチームに勝てたのは良い経験になりました。スタッフ、ノンメンバー、クラブの選手皆がハードワークした結果だと思います。自分たちのラグビーができれば、あの強いパナソニックさんにも勝てることが分かりました。次はしっかり準備して勝った、実力で勝ったと言われるようになりたいです」 ──勝因は? 「一生懸命、しっかり統一して守ろうという気持ちはいつもよりあったと思います」 ──相手はブレイクダウンでプレッシャーを感じていたらしいが? 「FWが頑張ってくれていて、ボールが良く出てきました。何より、近場のところ、BKに良いボールを出してくれました。ボールキープはできていたと思います。僕たちの形が出ていると思います。やっていて楽しいですね(笑)」 マン・オブ・ザ・マッチはキヤノンイーグルス12番・三友良平選手
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