ファーストステージ・第3節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 28-26 豊田自動織機)
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 28-26 豊田自動織機シャトルズ ファーストステージ・第3節 プールA 台風18号が接近、大粒の雨が止まず開催も心配されたが、キックオフ前には小降りとなった宮城スタジアム。けして良くはないピッチコンディションでの第3節。これまでの2試合は両チームとも落としており互いに負けられない一戦となった。 序盤は、滑るボールを意識してかキックゲームの様相。風上の豊田自動織機が相手陣内に攻め込みゴール前での攻防となった。 17分にはNTTコミュニケーションズがすぐに追いついた。相手陣左ラインアウトから右へ展開、22m付近中央にてペナルティを得るが、クイックスタート、左右に持ち出しながらラックを連取。ディフェンスを内側へ寄せたところで、BKへ展開しWTB友井川が左隅にトライを決めた。難しい角度のゴールをSO川本が落ちついて決め、7対7の同点とした。 27分、NTTコミュニケーションズはハーフェイライン右ラインアウトから、BKへ激しい突破を見せると、早い球出しで左へ展開、SO川本が、ディフェンスラインの裏にうまく抜け出す。タックルを受けながらもオフロードパスで繋ぎ、最後はWTBツイランギが左中間にトライを決めた。ゴールも成功し14対7と逆転する。 32分に、敵陣10m付近、豊田自動織機ボールスクラムから再びNO8カンコウスキーが個人技を見せる。ディフェンスの隙をついてサイドを抜け出すと上手く相手タックルをかわしながら40mを走りきり、左中間に飛び込みトライして(ゴール不成功)14対12。 後半、勢いのある豊田自動織機が先に得点する。前半と同様、NTTコミュニケーションズ陣内に攻め込むが、なかなか取り切れない。9分にNTTコミュニケーションズのボールスクラムにおいてフリーキックを得るとクイックスタート、オフサイドラインを下げたところで、BKへ展開。うまく裏に抜け出したFBジェラードが前半終了に続き2本目のトライを中央に押さえた。ゴールも決まり14対26と点差を広げる。 さらに突き放したい豊田自動織機は17分、NTTコミュニケーションズのレイトチャージによりショットを狙える位置でPKを得るが、タッチキックを選択する。しかしこのキックが直接インゴールを割ってしまい、追加得点のチャンスを逃してしまう。この時間帯より互いにハンドリングエラーが目立ち始めセットプレー(スクラム)が増えてくると次第にゲームの流れはNTTコミュニケーションズのペースに傾いてきた。 20分、NTTコミュニケーションズが相手陣10m左ラインアウトからセンタークラッシュ、左右にボールを振りながらラックを連取。最後はゴール前中央の位置より左ラインへ展開し、FBカラウリアヘンリーが外へ抜けだす。豊田自動織機ディフェンスもタッチへ出そうと懸命にタックルに入るが、ラストパスをWTB友井川がしっかりキャッチ、左ライン際に飛び込み、この日2つ目のトライを決めた。(ゴール成功)21対26と1トライ差に迫る。 突き放したい豊田自動織機は、26分に自陣10m中央でショットを狙うが不成功。なかなか引き離すことができない。 逆に、勢いに乗るNTTコミュニケーションズは30分、相手陣左22mラインアウトより連続攻撃でゲイン、ゴール前まで攻め込むが、モールを組んだところでハンドリングエラー。豊田自動織機ボールとなりチャンスが途切れたかに見えたが、NTTコミュニケーションズはこのスクラムを押し込み、球出しを安定させない。スクラムわきからこぼれたボールを、後半途中出場のLOクレバーがゴール下に押さえ込んでトライ。ゴールキックをSO川本(この試合川本のゴールキックは4/4)が落ち着いて決め、遂に28対26と再々逆転した。(このトライでトッド・クレバーはマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。) PKでも逆転となる豊田自動織機は、後半40分経過を告げるホーンが鳴り、自陣ゴール前から果敢に攻める。少しずつゲインを重ねたところで、ライン際にキックパスを狙うがボールはNTTコミュニケーションズがキャッチ、タッチへ蹴りだしてノーサイドとなった。 シーソーゲームを制したNTTコミュニケーションズは後半スクラムで優位に立つことで、流れを呼び込んだ。競ったゲームにおけるセットプレーとプレイスキックの重要性を示した形となった。 (増田 雄次郎) ● 記者会見ダイジェスト ●
豊田自動織機シャトルズ 田村誠監督(左)、高田裕雅ゲームキャプテン 田村誠監督 「天候が心配されましたが、雨が上がって試合ができて良かったです。応援に来てくださった皆さんにも感謝したいです。3戦続けて勝ち試合を落としているので、修正して次節に臨みたいと思います」 高田裕雅ゲームキャプテン 「まず、悪天候の中、応援に来てくださった観客のみなさんにお礼を申し上げます。試合内容としては、前半は自分たちのラグビーができましたが、後半はNTTのセットプレーにやられたところがあります。前半の自分たちの思うようなプレーができませんでした」 ──前半リードして後半追いつかれましたが、気のゆるみはなかったか? 高田ゲームキャプテン 「気のゆるみと言ったものはないですし集中してプレーはしていたと思いますが、こういった接戦を勝ち獲らなければいけないと思います」 田村監督 「接戦を取れるようにならなければなりません。前半、こちらがボールをキープして優位に立っていたのですが、NTTコミュニケーションズは2回のチャンスをしっかり得点につなげていました。試合が終わってしまってからの判断では仕方ありませんが、ベンチワークも含めて、勝てるプランを構築し次節に臨みたいと思います」 ──後半26対14のところでペナルティーキック、ショットを狙わなかった理由は? 高田ゲームキャプテン 「キッカーが二人いるのですが、あの時点で二人とも蹴れる(狙える)状況ではなく、しかたなくタッチキックを選択しました。結果としてインゴールを割ってしまいました」 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 林雅人監督(右)、友井川拓キャプテン 林雅人監督 「2連敗してからの3戦目、とにかく勝ちたいという気持ちでゲームに臨みました。可能であればボーナスポイントも取りたいと考えていましたが、持てる力を出せた試合でした」 友井川拓キャプテン 「天候の悪い中での厳しいゲームでしたが、勝つことができて良かったです。足を運んでくださった観客の方々に感謝いたします。次のトヨタ自動車戦にむけて、気持ちを引き締めて頑張りたいと思います」 ──前半逆転されての折り返しでしたが、何かハーフタイムでの指示は? 林監督 「前半に外されていたタックルの精度を上げていこうということ、後半は風上になるためキックを有効に使っていこうと指示しました。それを実践できたことで勝ちを取れたと思います」 マン・オブ・ザ・マッチはNTTコミュニケーションズシャイニングアークスのトッド・クレバー選手
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