セカンドステージ・第3節 グループA マッチサマリー(サントリー 13-42 パナソニック)

サントリー
サンゴリアス
サントリーサンゴリアス
13 合計 42
3 前半 18
10 後半 24
0 勝点 5
14 総勝点 18
パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ

サントリーサンゴリアス 13-42 パナソニック ワイルドナイツ

セカンドステージ・第3節 グループA
2013年12月14日(土)14:20キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

パナソニック、ゲームプラン通りの全員ディフェンスでサントリーに完勝

強豪チームの激突が続くセカンドステージのグループA。第3節のこの日は、パナソニック ワイルドナイツがゲームプラン通りのディフェンスをチーム全員でしっかり行い、サントリーサンゴリアスのサイドアタックを封じ、チーム名を三洋電機からパナソニックにしてから初めて対サントリー戦勝利を勝ち取った。

前半7分、サントリーが敵陣に攻め込んだチャンスを確実にPGの3点につなげ、いいスタートを切ったと思われたが、その直後、パナソニックはキックオフのカウンターアタックからフェーズを重ね、中央付近のラックからSOベリック・バーンズが左サイドを3人抜き、ボールをもらったWTB山田章仁がさらにゴール前に迫り、そのラックからの素早いパスを受けたバーンズが左コーナーにノーホイッスルトライ。パナソニックがすぐに3-5と返した。

19分には45mはあるPGをSOバーンズが決め、3点加点、3-8としたが、その後はサントリーの攻撃が続く。サントリーはラックからFLジョージ・スミスや、SHフーリー・デュプレア、SO野村直矢らが相次ぎサイドアタックをしかけるが、この日のパナソニックはブレイクダウンにあまり人数をかけず、ディフェンスラインに並んだ選手たちが次から次にタックルに入ってサントリーのアタックを止めた。27分にはサントリーFB竹下祥平のカウンターアタックをパナソニックが3人がかりのタックルで止め、ターンオーバーして得たボールをもらったWTB山田が好走、No.8ホラニ龍コリニアシにつなぎ、ホラニからさらに山田にボールをリターン、山田がゴールポスト下にトライ(ゴール成功、3-15)。パナソニックは好ディフェンスからのカウンター攻撃で、点差を広げた。
その後もサントリーがボールを持つ時間は多いのだが、パナソニックのしっかりしたディフェンスでノックオンとなるなどの場面が多く、トライにはつながらない。パナソニックは前半39分にPGで3点加点し、3-18で前半を終了した。

後半開始直後もサントリーがアタックを続け、パナソニックゴール前に迫るが、パナソニックはPR稲垣啓太、FL西原忠佑らの好タックルが相次ぎチームディフェンスで守り切る。後半11分にはPKからパナソニックSH田中史朗がクイックアタック、田中自ら右タッチ際にグラバーキックを蹴ると、それにWTB北川智規がうまく走り込みボールをキャッチするとタッチライン際を好走、ゴール下まで走り込んで、リードをさらに広げた(ゴール成功、3-25)。

後半27分、ターンオーバーからの攻撃でFB三宅敬からボールを受けたWTB北川智がWTBポジションのディフェンスに入っていたFLスミスをかわし、FL西原-FB三宅とつなぎトライを追加し、3-35と点差をさらに広げた頃には、「このままサントリーがノートライで負けるのではないか?」と思わせるほど、パナソニックの完勝ペースとなった。
サントリーはその後、若手バックスのWTB塚本健太、FB竹下が2つのトライを返したが反撃もそこまで。パナソニックは後半40分には、WTB北川-SOバーンズ-LO劉永男-CTB霜村誠一とつないだボールを最後はインゴールでWTB山田にパスし、山田にトライをプレゼントする余裕の勝利となった。(最終スコア13-42)

今年のサントリーはスローガンを「HUNGRY」としているのだが、この日は「パナソニックのほうが全てにおいてHUNGRYだった」(サントリー大久保監督コメント)という試合となった。ブレイクダウンに人数をかけずにサイドディフェンスをしっかり守り切り、田中-バーンズのハーフ団の好判断でチャンスを作り、最後は両WTBが決める。パナソニックとしては、思い通りの試合運びでサントリーからの久々の勝利を勝ち取った。次節のセカンドステージ3連勝のチーム同士、東芝ブレイブルーパスとの対戦が楽しみだ。
(正野雄一郎)


● 記者会見ダイジェスト ●

サントリーサンゴリアス


大久保直弥監督(右)、真壁伸弥キャプテン

大久保直弥監督

「言うことない、完敗です。集中力の違いというか、言いたくないけれど相手の方がハングリーでした。勝ちに飢えていました。ボールにもトライにも飢えていました。良い意味で、自分たちが成長する良い機会をいただいたと思います。次回、対戦することがあれば、リベンジしたいと思います」

──後半、やろうとしていてできなかったことは?

「立って取るように言いましたが、比較的、立てていないことが自分たちの首を絞めていました。フィジカルの部分、プレッシャーも僕らが外で見ているより、選手は感じていたのでは。パニックとまでは行かないが、1対1の強さがパナソニックさんは僕らより強かったと思います」

真壁伸弥キャプテン

「監督と同様に完敗です。負けた部分はハッキリしています。前にNECさんに負けた時と一緒です。勝つ準備が向こうのほうが上だったと思います」

──良くアタックしたが獲れなかった印象だが?

「サントリーのアタックの形があるのですが、焦りから作ることができず、意図したテンポを作ることもできず、スピード、スピード、スピードだけでした」

──我慢比べでパナソニックのディフェンスが勝ったのか?

「自分たちの準備として、セットができていないのに回すなど、練習どおりのテンポではありませんでした」

──フィジカル、コンタクトで今までのパナソニックと違ったところは?

「パナソニックさんは、ブレイクダウンの部分を非常に捨ててきていました。自分たちは入り過ぎました。修正できたのは、後半の最後でした。それに、一人一人ランナーを捕まえなくてはいけないのに、できていませんでした」


パナソニック ワイルドナイツ


中嶋則文監督(右)、北川智規バイスキャプテン

中嶋則文監督

「お疲れ様です。まず、試合に出た23人の選手にご苦労様と一声掛けてあげたいです。また、試合に出なかった選手も、本当に1週間、チームファーストで良い準備をしてくれました。ここ2年間勝てていなかったサントリーさんに勝てました。王者であるサントリーさんから5トライ獲り、サントリーさんは2トライに抑えることができました。試合開始から非常に良かったと思います。あと4試合続きますので、来週の東芝戦にしっかり準備して今日の内容からさらにステップアップしていきたいと思います」

──ディフェンスが機能したが?

「サントリーさんは9番シェイプ、10番シェイプで来ますので、どれだけアドバンテージラインを越えられずに9番を止めるかにフォーカスしてきました。サントリーさんに次のフェイズで有利にさせないように、ブレイクダウンにはあまり入らず、次のフェイズに備えることを言ってきましたが、よくやってくれました。特にアタックでは、どれだけ自分たちの精度を上げられるかにフォーカスしてきました。セカンドステージから新しいことをやるのでなく、どれだけ同じにやるのかをテーマにやってきたことが、前半のトライに結び付きました」

──堀江、田中選手の今後は?

「全部、出場してほしいのですが(笑)、今のところトーナメントは出られる予定です。二人とも向こうでも中心選手ですから、その次も交渉中で、どちらのチームもハッピーになれるようにやりたいと思います」

北川智規バイスキャプテン

「お疲れ様です。僕ら戦った23人だけでなく、チームメイト、スタッフがやってくれたことで、ああいう内容で勝つことができました。2年ぶりにサントリーさんに勝ったことをチームで分かち合いたいと思います。今日はサントリーさんのアタックをどう止めるか、その中でペナルティーをしないことが焦点でした。我慢して相手がミスしたボールをターンオーバーしようと。それができたのは良かったと思います」

──捨てるところはかなり捨てていたのにターンオーバーできたのは?

「やはり、ゲインされているブレイクダウンに入ると相手の思うツボですので、前に倒したタックル、相手を下げたプレーの時にコールして入りました。時には次の人がキャンセルコールも掛けるなど、意識していました。サントリーさんのアタックは強いので、自分たちで人数を減らすと順目で人が足りなくなります。全部が全部、良いタックルができるわけではありませんので、オフロードされるときもゲートを閉じて、しっかり押し切る練習をしてきました」

──準備は?

「代表に選手が行っている間は、人数が少ないので、一人一人良い練習ができました。サントリーさんを意識していないチームはありません。どこも倒したいチームを倒せて嬉しいです」






マン・オブ・ザ・マッチはパナソニックワイルドナイツ、田中史朗選手

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