セカンドステージ・第5節 グループA マッチサマリー(キヤノン 3-53 パナソニック)

キヤノン
イーグルス
キヤノンイーグルス
3 合計 53
3 前半 13
0 後半 40
0 勝点 5
7 総勝点 27
パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ

キヤノンイーグルス 3-53 パナソニック ワイルドナイツ

セカンドステージ・第5節 グループA
2014年1月4日(土)12:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

パナソニックがキヤノンに圧勝

ファーストステージで唯一の黒星を喫したキヤノンイーグルスを相手に迎え、このセカンドステージはパナソニック ワイルドナイツがどのような戦いをみせるか注目された一戦。弱い冬の日差しを浴びる秩父宮で、キヤノンのキックオフで試合は開始された。

まずは、互いにハイパントキックを交えた激しい攻撃ラグビーを展開するも、パナソニックはハンドリングミスによる逸機が続き、またキヤノンも果敢に攻めるものの相手の厚い防御に阻まれ得点チャンスに至らないという、一進一退の攻防が続く。均衡が破れたのは、前半15分、キヤノンが相手陣内で得たPGを確実に決め、3-0とする。一方のパナソニックも負けじと相手ゴールに幾度となく迫る激しく執拗な攻めを展開。ゴールライン寸前で相手の必死のタックルでトライには至らなかったものの、22分に相手ペナルティーを誘い、同点となるPGを決める(3-3)。

これで勢いをつけたいパナソニックであるが、キヤノンの鋭い出足の防御により要所でミスが出て攻めが続かない。しかしついに36分、パナソニックは相手陣内15m付近のラックから、SOベリック・バーンズからパスを受けたFLバツベイシオネが左ライン際を抜け、この試合両チームを通じて初めてのトライ(ゴール成功3-10)。さらに、パナソニックはラックから右に素早く展開し、FLバツベイが相手防御網を突破、大きくゲイン。キヤノンは何とかバツベイをゴール前で止めたものの、FLアダム・トムソンがシンビンとなり、40分、パナソニックはPGを成功させて(3-13)、前半を終える。

後半開始5分、数的優位に立ったパナソニックはラインアウトモールでゴール前まで約15mも押し込み、ラックからもぐり込んだLOダニエル・ヒーナンがトライ(3-18)。
キヤノンは、9分、WTBハビリロッキーがチーム二人目のシンビンとなり、激しく鋭い組織的プレーを見せた前半と打って変わって、劣勢を打開できない。試合の主導権を握りリズムに乗ったパナソニックは、10分、再び相手陣内15m付近からラインアウトモールを押し込み、ゴール前のラックからSOバーンズ、LO劉永男と繋いでトライ(ゴール成功3-25)、怒涛の攻撃を開始する。18分、LO劉がキヤノンゴール前の相手ラインアウトボールを取ってトライ(ゴール成功3-32)。24分、パナソニックはラックから左に展開し、CTB JP・ピーターセンが相手陣22m付近で自らキックしたボールをキャッチして余裕のトライ(ゴール成功3-39)。

その後も、パナソニックは、27分にSOバーンズが、反応の鈍くなった相手防御ラインをダミーパスから切り込んでトライ(ゴール成功3-46)。さらに39分には、得意のラインアウトモールを押し込んで、後半途中出場したHO堀江翔太が駄目押しのトライ(ゴール成功3-53)。この結果、キヤノンをノートライに抑えたパナソニックは、ファーストステージの雪辱を果たすとともに、セカンドステージ5連勝でベスト4に向かって大きく前進した。

なお、マン・オブ・ザ・マッチには、ワークレートが高く、随所で激しいタックルをみせたパナソニックのPR稲垣啓太選手が選ばれた。
(小林吉文)



● 記者会見ダイジェスト ●

キヤノンイーグルス


永友洋司監督(右)、和田拓キャプテン

永友洋司監督

「前半のプレーを後半続けられなかったのが敗因です。前半40分できていたことが60分、70分できていません。一言で言って、パナソニックさんと差があると思いました」

──ギリギリのプレーでイエローが2枚出たが?

「レフリーの下した判断は間違いない、そこをリスペクトすることはラグビーをする人、チームを率いる者として当然です。セカンドステージに入って、イエローが増えています。その差を痛感しています。ペナルティをしないと止められない状況になっていることが問題です。明らかに個人の差、チームの差です。トップ4と戦うにはそこで勝負しないと、近代ラグビーは戦えません。イエローを出したことは申し訳ないし、真摯に受け止めたいと思います。外国人とか、意識の違いがあるかもしれないが、どこの国でもレフリーをリスペクトする気持ちは同じです。ペナルティせずにファイトするようにさせていきます」

──ブレイクダウンの評価は?

「ゲートのペナルティを取られています。若干、我々の解釈とレフリーの解釈が違うかもしれないが、コミュニケーションをしっかり取って、レベルアップしていきたいと思います。間違ったコーチングはすべきでないので」

──ファーストステージで勝った相手だったが?

「初戦にピークを持ってこざるを得ない我々と、逆に常勝チームはピークをずらしてきた結果です。また、セカンドステージのパナソニックさんはレベルアップしています。ベストのチームにして、ピークを合わせてきています。こちらの体力とゲーム力が付いてきていません。メンタル的にも、体力的にも成長したいと思います」

和田拓キャプテン

「前半、あれだけ戦えて、後半の結果は非常に残念です。一人一人のプレーの精度がパナソニックさんの方が上だったと感じます。小さなプレーの積み重ねでトライが生まれます。ミスがあれだけ多いと。どんなプレッシャーの下でもしっかりやって行かなくては。もっと強くなりたいと思います」

──結構、ラフプレーも多かったが?

「もちろんペナルティはペナルティで、反省しなければ。ディシプリンは守りつつ、ブレイクダウンでファイトする気持ちは出さなくてはいけないと思います」

──前回と比べて負けたのは?

「うちのチームも進歩していますが、パナソニックさんは常勝チームです。レベルアップのスピードもすごくあるなと。プレーの精度も、もっともっと練習したいと思います」

──バーンズ選手の印象は?

「いろいろなスペースを見てプレーを選択している、視野が広い選手という印象です。世界の一流選手とやれるのは嬉しいですが、個人としては止めたいと思います」


パナソニック ワイルドナイツ


中嶋則文監督(右)、北川智規ゲームキャプテン

中嶋則文監督

「ファーストステージで、唯一、敗戦を喫したチームということで、臨んだのですが、前半、想像以上のプレッシャーを掛けられ思うように試合を運べませんでした。後半、選手は、しっかりゲームプランを遂行してくれました。2戦残っているが、まだまだ、ステップアップしていける部分があると思いますので、次につなげていきたいと思います」

──堀江キャプテンの投入は遅かったが?

「サントリー戦の怪我で出られる状態ではありませんでしたが、ここまで治りましたので、前半、自分たちのペースで試合ができていれば後半最初からと本人にも伝えていましたが、競った試合でしたので、10分ほど様子を見てから代えました」

──ロビー・ディーンズ氏の役割は?

「昨晩到着し、来週、チームに帯同します。チームの方向性は決まっているので、細かい修正点とゲームプランに一つアクセントを付けてくれると考えています」

北川智規ゲームキャプテン

「お疲れ様です。前回、すごく受けてしまって負けたので、今回は『受けとかんと』と試合に臨みました。試合は部分的にはキヤノンペースになりかけましたが、前半の最後、得点できたのが大きかったと思います。ハーフタイムに、後半、先に何点でも良いから取ろうと言って、しっかり先に点を取れて、キヤノンさんの気持ちを折ることができたのは良かったと思います。もちろん、次も勝てるとは考えていませんが」

──いつ、相手が折れたと感じたのか?

「バーンズのただの縦でトライした場面です。トップリーグではあんなに簡単にトライは獲れません。ああ、あれで折れたな、と。そもそも、あんなに簡単にトライが獲れるチームではないし」

──苦戦したのはキヤノンの体力のせいか?

「うちがやろうとしているロータックルができず、前で止められませんでした。後半は、キヤノンさんはそんなに攻めていないと思いますが、元気な時にあれをやっても無理かなと。一発で倒れなければ、何発でもですね」

──前半は競りましたし、4か月前もロースコアで敗れたわけは?

「前回は、言い方が悪いが『いつか、獲れるやろ』と。ラインブレイクもできるし、ドンマイ、ドンマイ、という軽い気持ちがあって、負けてみて気付きました。(その反省から)ロースコアで、今日は、とりあえず一発取るのでなく、敵陣に行っていようと。でも、ちょっとBKがボールをぽろぽろして、FWに謝りました。僕らは冷静でしたが、FWはいらだっていましたね(笑)」







マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ、PR稲垣啓太選手

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