セカンドステージ・第6節 グループA マッチサマリー(ヤマハ発動機 15-29 東芝)

ヤマハ発動機
ジュビロ
ヤマハ発動機ジュビロ
15 合計 29
10 前半 17
5 後半 12
0 勝点 5
18 総勝点 21
東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス
後半7分、東芝の望月選手を止めるヤマハ クリシュナン選手(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

ヤマハ発動機ジュビロ 15-29 東芝ブレイブルーパス

1stステージ・第3節 プールB
2014年1月11日(土)13:00キックオフ/静岡・ヤマハスタジアム

プレーオフ進出をかけた戦いは、東芝がファーストステージ敗戦の雪辱を晴らす

1月11日、快晴のヤマハスタジアムで、ヤマハ発動機ジュビロと東芝ブレイブルーパスの対戦が行われた。ヤマハのホームゲーム最終戦であり、スタジアムには4,501人のラグビーファンが集まった。
グループA3位のヤマハは前節トヨタ自動車ヴェルブリッツに大敗し、一方の5位東芝はサントリーサンゴリアスに惜敗。残り2試合互いに上位チームとの戦いが続く両チームにとって、プレーオフ進出のためには負けることのできない重要な一戦となった。

試合は開始直後から動く。ヤマハのキックオフのボールをキャッチした東芝は、SO吉田良平がヤマハディフェンス裏へキック。WTB11宇薄岳央がキャッチし、そのままゴール中央に走り込んでトライ。SH小川高廣のゴールも難なく決まり、わずか開始1分で東芝が7-0で先制する。ヤマハにとっては、前節からの悪い流れを引きずるかのような最悪のスタートとなってしまった。

少しでも早く反撃したいヤマハは前半6分、FB五郎丸歩が敵陣22mライン中央からのペナルティーゴールを成功させるが、東芝も15分にSH小川が敵陣22mライン左中間からのペナルティーゴールを決め、点差は縮まらない。

しかし28分、ヤマハは相手ペナルティーから得たタッチキックで敵陣ゴール5m前まで前進。ラインアウトからのモールでゴールラインまで迫ると東芝はたまらず反則。そこでヤマハはスクラムを選択し、No.8堀江恭佑がスクラム右サイドを突き、ゴールポスト右にトライ。FB五郎丸のゴールも成功し、10-10の同点に追いつく。

風上に立つヤマハはキックで攻撃を優位に進めるも、37分ヤマハCTB12マレ・サウがレイトタックルによる危険なプレーによりイエローカードで一時的退出をすると形勢が逆転。
ペナルティーを得た東芝は、キックでゴールライン10m前までゲイン。ラインアウトからのモールから左に展開し、CTB12仙波智裕がゴール左隅にトライ。左端の難しいゴールをSH小川が決め、17-10で東芝がリードで前半が終了する。

後半は開始から7分まではヤマハが一人少ない状態であったが、ヤマハは選手入替でフォワードを一人少なくしバックスの布陣を固め東芝の攻撃を抑える。
しかし、15人に態勢が戻った直後の10分、東芝はペナルティーで得たラインアウトからモールを押し込み、HO湯原祐希がサイド攻撃でゴール左中間にトライ。ゴールも成功し、東芝が24-10と点差を引き離す。

ヤマハはSHを小池善行から21矢富勇毅に入れ替え、試合の流れを変えようと試みるも、ノックオン、パスミスなどのイージーミスにより得点を挙げることができないまま時間が過ぎる。
そして東芝は、33分スクラムからの連続攻撃で最後は22デイビット・ヒルが右中間にトライ。ゴールは失敗するも29-10と試合を決定的にする。

残り時間の少ないヤマハは、再三攻撃を仕掛けるも、ゴール前の2対1の決定的な場面でパスミスをしていまい得点を逃す。ようやく38分WTB11徐吉嶺が左中間にトライ(ゴール失敗)するも、万事休す。試合終了のホーンが鳴り、東芝が29-15でヤマハに勝利した。

試合は東芝が終始ミスのない安定したプレーで、ファーストステージ敗戦の雪辱を晴らす勝利。4トライのボーナスポイントも含め勝点5を獲得、総勝点21でグループA3位に浮上し、プレーオフ進出に大きく前進した。
一方のヤマハは、前節同様ミスが目立つ試合となり、勝点を獲得できずグループA5位に陥落、自力でプレーオフ進出を決めることができなくなった。
また、後半キャプテンFL7三村勇飛丸が負傷交替するなど、リーグ最終戦に不安を残す結果となった。

この日のマン・オブ・ザ・マッチは、再三の突進で東芝の勝利に貢献した、東芝FL7スティーブン・ベイツが受賞した。

前半33分、東芝カフイ選手のアタック(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

● 記者会見ダイジェスト ●

ヤマハ発動機ジュビロ


清宮克幸監督(右)、矢富勇毅バイスキャプテン

清宮克幸監督

「ホーム最終戦で、ふがいない内容、結果に終わってしまったことが残念です。今日の試合は自分自身も楽しみしていて、自分たちの力でプレーオフへと意気込んでいた試合でした。内容的には東芝の準備してきたことを試合開始直後からやられてしまった。ヤマハとしては出来の悪い試合であったのは事実。こんな状態で東芝よりスコアが上回っていたら困ったもの。負けるべくして負けたということです」

矢富勇毅バイスキャプテン

「最後のホームでの試合ということで、全員でしっかりしたプレーをして勝利しようと臨んだ。その結果ふがいない試合内容になってしまって申し訳ない気持ちでいっぱいです。まだ幸いトップ4に残る道がありますし、先週のトヨタ戦の敗戦を糧に調整して臨んだが、ご覧のとおりなので、しっかりこの2戦を反省して、自分たちがトップ4にチャレンジするに値するかどうか来週の試合でしっかり見せたいと思います」

──プレーオフ進出へ向けて最終節へ一番修正したい部分はどこか?

清宮監督

「アタックもディフェンスもそうですが、前に出る勢いを失っていて守りに入っているチームの雰囲気がある。勝っている試合はもっとアグレッシブに前に出ていったと思うので、そのあたりを来週は一週間準備してやっていきたいと思います」

前半22分、ヤマハのマレ・サウ選手の突進(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

東芝ブレイブルーパス


和田賢一監督(右)、望月雄太ゲームキャプテン

和田賢一監督

「本日は多くの方に来場していただき、寒い中ありがとうございました。試合は私たちがファーストステージで負けていることもあり、ここ何試合か結果が出ていない中で、「私たちのラグビーは何か」と考え1週間準備してきました。試合は当初ペナルティーが多かったが、選手一人ひとりが1対1の部分でプライドを持って戦ってくれた結果がこういうふうになったのかなと思う。ペナルティーが多いことも含めて修正するところは修正して、次の神戸に対して向かっていきたいし、準備していきたいと思います」

望月雄太ゲームキャプテン

「本日はありがとうございました。我々はやることは決まっていて、勝つしかないので小細工なしでひとつひとつのプレーを、今までやってきたことを信じてやりきろうということだけを考えて今週一週間準備してきました。その結果、今日の試合は東芝らしいいい試合ができたのではないかと思いますが、監督もおっしゃったようにペナルティーが非常に多かったので、まだまだ修正することが多々ありますので、そのところをしっかり修正して自分たちのラグビーを信じてやりきるために、もうワンランクレベルを上げて次の神戸戦を迎えたいと思います」

──デイビット・ヒル選手をリザーブにして吉田選手を先発にしたのはチームの事情か?

和田監督

「戦術です。縦に強いプレーヤーですから。先ほど言ったコンタクト、1対1の部分で前半から取りにいきたかったということです」

──先ほど私たちのラグビーをもう1回ということだったのですが、具体的にどういうところにフォーカスしてきたか?

和田監督

「ラグビーというコンタクトスポーツの中で、接点というのは相手とぶつかり合う攻撃の取り合いだと思うので、そこで相手を下げることができるか、逆に倒されてしまうのか、その部分でファーストステージでは我々はほとんどのブレイクで負けていました。私たちが体をぶつける、接点で動かすラグビー、そういうところにフォーカスした1週間でした。

──まだまだレベルアップしなくてはいけないけれども、今日の時点で結果も出たということか?

和田監督

「結果として4トライ取れたことは評価していますし、途中の流れの中でいい“継続”ができたと思います。ただフィニッシュできなかったところもあるので、そこは修正すべき点です。

──今日はある程度ヤマハのことを分析して外のディフェンスなどをしっかりやれたということか?

和田監督

「マレ・サウだけに特化したわけではないが、いかにタックルして相手を倒して他の者でディフェンスラインをどうするか繰り返し練習してきました。結果トライされたが、フォワードのピックのところ、バックスのラインブレイクのところ、選手が対ヤマハではなく、東芝のディフェンスをやったということです」

──攻撃的に走ってゲインを越えたところは今回効果があったか?

望月ゲームキャプテン

「まず一人ひとりが前に出るという元々のうちのスタイルを信じてやってきたのがひとつ、いい流れを作れる要因になりました」

──4トライ取ったのはどうですか?

望月キャプテン

「もちろんまず勝つのが大前提だが、自分たちが今の流れであればトライを取れるだろうという空気を感じながら、PGを狙うところは狙って、トライを取りにいくところは取りにいくという、周りの選手を含めてそのあたりの統一は試合の中でできていました。チーム自体レベルアップしている証拠であると感じました」

──精神的な部分で、パナソニックとサントリーに2試合続けて惜しい試合を落として、それがチームの発奮材料となったのか、それともマイナス材料になったのか?

和田監督

「マイナスとは考えてないが、(2試合とも)勝てた試合だったと思う。ただ、負けた要因はいくつもあった。パナソニックに2点差、サントリーに1点差でこれに勝つためにはそれぞれ3点・2点取らなければならない。そこをどう取るのか、どうしたら取られないのかをチームとして考えるきっかけになった敗戦ではありました。そういう意味では発奮材料。トップ4に対して負けられない試合というのがあったから、東芝のラグビーは何なのか、どこで勝負するか。先週から理解してやった結果です。ただヤマハ戦が終わっただけですし、次勝たなければ何の意味も無いと思います」

──前半終了間際の勝ち越しトライはちょうど相手が1人減ったところで、位置としては小川選手に狙わせてもいい位置であったが、あのあたりの判断は?

望月ゲームキャプテン

「当初ペナルティーを取ったときは狙おうと思ったが、1人減っているしトライを取りにいくと切り替えてもう一度フォワードでと判断した。元々試合自体狙うところは狙う、フォワードの強みを出せるところは出すというゲームプランだったし、あの状況の中で相手は14人なのでトライを選択しました。

──次週、神戸戦に向けた意気込みをお願いします。

和田監督

「ひとつひとつの積み重ねだと思います。今日、私たちは東芝のラグビーというこだわりをもって戦ったという中で、神戸に対して同じことができるか。一貫性を持ったプレー、一貫性を持った精神状態・メンタル。これをもって臨みたい」

望月ゲームキャプテン

「自分たちがやることは変わりません。神戸の対策はもちろんしますが、自分たちのラグビーをどれだけやり切れるかだと思う。そこのところを一週間準備したいと思います」

前半28分、ヤマハの堀江選手のトライ(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

後半33分、ヤマハ ピウタウ選手のアタック(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

マン・オブ・ザ・マッチは東芝ブレイブルーパス、FLスティーブン・ベイツ選手
(C)静岡県協会広報記録委員会 谷本結利

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