「ワイルドカードトーナメント 1回戦」マッチサマリー(キヤノン 10-14 NEC)

キヤノンイーグルス
キヤノンイーグルス
10 合計 14
0 前半 11
10 後半 3
NECグリーンロケッツ
NECグリーンロケッツ
(写真:野口美保、山口勝一)
(この他の写真については、関西協会ウェブサイトでご覧いただけます)

キヤノンイーグルス 10-14 NECグリーンロケッツ

ワイルドカードトーナメント 1回戦
2015年1月25日(日)12:00キックオフ/大阪・近鉄花園ラグビー場

第52回日本ラグビーフットボール選手権大会への出場権を賭けたワイルドカードトーナメント1回戦。セカンドステージは強豪揃いのグループAでなかなか白星が挙げられず7位に終わったキヤノンイーグルスとグループBでリコーに次いで2位のNECグリーンロケッツの戦い。今季はファーストステージでも対戦がなく、昨シーズンのセカンドステージでは接戦の末にキヤノンが逃げ切っている。これまでもトーナメント戦では力を発揮するチャレンジャーのNEC、昨年のワイルドカードトーナメント2回戦でヤマハ発動機に1点差で敗れ、惜しくも日本選手権出場を逃しておりその雪辱に燃えている。負ければ自動的にシーズン終了となる両チームにとっての重要な一戦は、キヤノンSOカラム・ブルースの冬空へのキックオフで開始された。

そのブルースのキックオフのボールをキャッチしてモールを形成したNECは、いきなり自陣10mL付近からSH茂野海人がモールサイドを突き、キックしたボールを自らキヤノンゴールに押さえる。ここは寸前のノーボールタックルで得点には至らなかったが、挑戦者らしいNECの果敢な攻撃はこのゲームの行方を予感させる。
その後もNECがキヤノン陣で攻撃を繰り返すがなかなか得点できない。ようやくNECは前半8分、14分にいずれもキヤノン陣、比較的容易な位置からのPGをCTB田村優が難なく決めて、0-6とリードした。さらにNECは20分、ゴール直前左端のラックからショートサイドをHO臼井陽亮が突き、TMO判定の末のトライ。0-11とリードを拡げる。
その後も大部分NECがボールを支配し、キヤノン陣で攻撃を繰り返す。時折キヤノンも反撃を仕掛けるが、肝心なところでミスや反則を繰り返し、ことごとく得点の機会を逸して前半を終えた。

後半に入ってようやくキヤノンもNECゴールに迫るが、NECディフェンス陣の強烈なタックルに阻まれてゴールを割れない。13分にキヤノンはゴール直前ポスト右のラックから左に展開し、最後はFBマイケル・ボンドが力強いランでNECディフェンスを振り切って左隅にトライ、5-11とする。しかしその後もNECに主導権を握られ、逆に22分にゴール正面20m地点で犯したオフサイドからNEC田村にPGを決められ5-14。その後もキヤノンはFWのサイド攻撃を中心に執拗にNECゴールに迫り、終了直前の39分にブルースが左中間にトライを挙げるが時すでに遅し。10-14とNECが逃げ切って、3年連続でワイルドカードトーナメント2回戦進出を決めた。

トップリーグ昇格後3年で2度目のワイルドカードトーナメント出場となったキヤノンは前半、自陣での反則数8で自滅した形。終始ペースを掴めないまま効果的に得点することができなかった。一方のNECはトーナメント戦では底力を発揮する定評のあるチーム。伝統の『ミラクル』の再現に向けて、2回戦はさらに好ゲームを期待したい。

ワイルドカードトーナメント


● 記者会見ダイジェスト ●

キヤノンイーグルス

永友洋司監督

「今シーズンいろんな形でお世話になり、ありがとうございました。
選手も頑張ってくれたのですが、残念ながら最後の試合になりました。トライを取り切れなかったところは反省しなければなりませんが、相手より多くトライを取ってくれました。最後まであきらめずにトライを取る姿勢を、来季につなげてほしいと思います」

和田拓キャプテン

「今日の敗戦で今シーズンが終わってしまい残念です。
1年間スタッフ、選手がハードワークしてここまで来られたことを誇りに思います。まだまだ足りないところがあるので、来シーズンに向け今日から準備していきます。皆様に感謝しています」

──前半ほとんど相手陣に入れなかったのは?

和田キャプテン

「ボールを持ってアタックしようとしましたが、相手のプレッシャーが強く、ワイドに行けば相手にプッシュされブレイクダウンでいい仕事ができませんでした。ゲーム途中に相手陣で戦おうとキックを使いながらアタックするようシフトしました」

──ハーフタイムの指示は?

永友監督

「前半は自陣での反則が8個と多く、アタックで気負いすぎてしまいました。コーチ陣がプランニングできていませんでした。NECはディフェンスのチームなので、どこで仕掛けるのかが問題で、『どこでアタックするのか』を選手に伝えました。後半は修正できたと思います」

──負けたら終わりのトーナメントとリーグ戦の戦術の違いは?

永友監督

「シーズン中と特に変えていませんがとりあえず勝つことが大事で、セカンドステージに入ってからアタックしても取り切れないところがあり、どこでリズムを作ってどのようにアタックしてどうトライを取るかにフォーカスしてきましたが、それに至るまでのプランが立てられませんでした」

──2シーズン、ワイルドカードで敗退しているが?

永友監督

「昨シーズンよりフィジカルは上がっているが、勝ち慣れていない部分があります。自分たちの形で取り切れていないので、勝ち方を指導していく必要があります」

──宇佐美選手の評価は?

永友監督

「日本代表のスコッドに呼んでもらうことができて、これからは本人次第の部分もありますが、あの上背で低いプレーができるので、これから経験を積んで世界に通用する選手に育てていかなければならないと思っています」


NECグリーンロケッツ

相澤輝雄総監督

「NECを応援してくれている大勢のファンの前で勝利して嬉しいです。ディフェンスから目指しているラグビーができていい試合ができました。勝てて良かったです」

瀧澤直キャプテン

「良い天気で良いグラウンドでビッグなゲームができて感謝しています。
NECもキヤノンも良いところが出て、良いラグビーができました。グラウンドに立っているメンバー以外にも全員の気持ちで勝利することができました。みんなでつかんだ勝利です」

──後半のシンビンをどのように乗り切ったのか?

瀧澤キャプテン

24分からの10分間、こちらも相手も苦しい時間帯で一人いないので、全員で走ってディフェンスしました。うちはディフェンスのチームなので、逆に腹をくくってディフェンスし続けたのが良かったです」

──ナドロ選手の欠場は影響したか?

相澤総監督

「一週間前に体調を崩して、月曜日に練習に復帰しましたが、ベストのメンバーを考えた場合に今日のメンバーになりました。特に影響はありません」

──今日のゲームの入りは?

瀧澤キャプテン

「まず全体を通して相手陣でプレーすること、ファーストプレーのコンタクト、スクラム、ラインアウトで相手を支配していこうと意識していました」

──日本選手権に期するものは?

相澤総監督

「キヤノンはそんなにトライを取れる相手とは思っていませんでした。チャンスがない中で、取り切れなかったが勝てて満足しています。取り切れていないのが課題で、あとはディフェンスにしっかりフォーカスしていきます」

瀧澤キャプテン

「もちろんチャンピオンズカップを狙いにいきます。現在負けていないチーム全部に平等にチャンスがあります。全員でそういう思いで練習しています。
先輩たちが作ってくれた『トーナメントに強い』という伝統を意識して力に変えながら戦っていきます。
来週もここでゲームがあるので、良いゲームをして良い記者会見をしたいと思っています」








(記事:蜷川善夫、石川悟、北畑幸二 写真:野口美保、山口勝一 広報担当:村島博)

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