トップリーグ2015-2016 第5節 マッチサマリー(近鉄 40-22 リコー)

近鉄
ライナーズ
近鉄ライナーズ
40 合計 22
16 前半 10
24 後半 12
5 勝点 0
19 総勝点 2
リコー
ブラックラムズ
リコーブラックラムズ
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近鉄ライナーズ 40-22 リコーブラックラムズ

トップリーグ2015-2016 第5節 グループA
2015年12月12日(土)14:05キックオフ/大阪・東大阪市花園ラグビー場

リーグ戦グループAで前節まで3勝1敗で2位グループにつける好調近鉄が、今季まだ勝ち星に恵まれないリコーをホームグラウンド東大阪市花園ラグビー場に迎えて繰り広げる第5節の戦い。近鉄は次節から現在同じ2位グループのNTTコミュニケーションズ、東芝との直接対決を迎えるだけに、上位生き残りのためには絶対に落とせない一戦。一方のリコーも後半戦に入って何とか巻き返しを図りたい。両チームはプレシーズンリーグ・プレートトーナメント(各プール2位チーム同士のトーナメント戦)1回戦で対戦し、この時は22-32でリコーが近鉄を振り切っている。互いに必勝を期す一戦は、紅葉の名残を残す生駒山の下に6000人を超す観客を迎え、近鉄FB高忠伸のキックオフで幕を開けた。

前半開始直後、いきなり得点したのは近鉄。RWC2015のヒーロー左LOトンプソン ルークがHL付近のライン攻撃から珍しくキックをあげ、リコーゴールに迫った右中間ラックから左PRキャプテン豊田大樹が右中間に押さえて5-0とあっさりと先制した。その後、7分にリコーがSOバーナード・フォーリーのPGで3点を返すが、序盤は近鉄ペース。13分にはゴール前の右ラインアウトからモールを形成し、FWがそのまま押し切り最後は左FLタウファ統悦が右隅に押さえ10-3とする。粘るリコーも直後の16分、FBピータース ダニエルの上げたキックパスを右WTB星野将利が受けて右隅に押さえる。SOフォーリーのゴールも決まり、10-10として必死に近鉄に追いすがる。近鉄もその後はリコーDFの粘りに攻めあぐねていたが、25分と41分にSO重光泰昌がPGを落ち着いて決め、近鉄が16-10と迫るリコーをわずかにリードして前半を終えた。

後半も先手を取ったのは近鉄。開始直後の2分、FB高のゲインでリコーのゴール前に攻め込んだ右端のラックからBKが大きく左に展開、CTBフランク・ウィンターステインが左中間にトライを挙げ、26-10とリコーを突き放しにかかる。粘るリコーも14分、近鉄がPGで加点した直後、SOに入ったRWC2015サモア代表の22番 ティム・ナナイウィリアムズが、ループプレイから大きくゲインしてそのままポスト左にトライ。FBピータースのゴールも決まり26-17と反撃を開始するかと思われた。しかしこの日の近鉄はここからも集中力を切らさない。26分、32分にFWラッシュから左FLタウファ、左PR豊田がそれぞれダメ押しトライを挙げ、最終的に40-22で粘るリコーを振り切った。

5トライを挙げた近鉄は前節までの好調さを維持し、攻撃面では会心のゲーム運びで1敗を堅持。残り2試合にLIXIL CUP2016への進出を賭ける。この日も特に後半、DFのほころびから失点を重ねたリコーは未だ今季勝ち星なし。9~16位決定トーナメント入りが確定しているが、攻撃力はあなどれないだけにトーナメント戦に向けて何とか立て直しを図りたい。
MOMには自ら2トライを挙げただけでなく、攻守の要として終始チームを牽引した近鉄左PR豊田大樹キャプテンに贈られた。


● 記者会見ダイジェスト ●

リコーブラックラムズ

リコーブラックラムズ
神鳥監督(左)、小浜ゲームキャプテン

神鳥裕之監督

「まだ1勝もできていないという苦しい中、何とかこの状況を打破したいという強い気持ちで試合に臨んだが、結果的に前節から続いているDFの甘さで簡単にトライラインを奪われてしまい、非常に悔しく思っている。まだリーグ戦は厳しい状況が続くが、気持ちをしっかりと切り替えて次のサントリー戦に向けて準備していきたい」

小浜和己ゲームキャプテン

「メンバーも何とか勝ちにいきたかったが、このような状況になってしまった。今後も気持ちを切らさずに、今日出た課題を来週1週間でしっかり見つめ直してサントリーにぶつかっていきたい」

──簡単にトライを許してしまう原因はどのあたりにあるのか?

神鳥監督

「試合の流れの中ではきっちり規律を守ってディフェンスできた部分もあったが、結果的には一人一人のタックルの精度、ブレイクダウンに入る人数の判断、このあたりの小さなミスの積み重ねで結果的にトライを奪われてしまった。試合の中でしっかりとできた部分もあったので、この時間をどれだけ伸ばして80分間に近づけられるかというのが課題になる。結果的には近鉄のプレッシャーが強かったと言えば一言だが、われわれも規律を持ってディフェンスをすると言いながら、一人目のタックルの精度が低くてゲインラインを下げられ、後手にまわると慌てて反則をしてしまう。あとは前節から苦しんでいるラインアウトのモールをしっかり突いてこられ、ゴール前で反則をしてしまったことが今日の反省材料である」

──ナナイウィリアムズ選手の使い方はやはり後半からになるのか?

神鳥監督

「外国人の人数枠の関係から今はまだ後半からの起用が中心となるが、当然コンディションを見ながら、チームの流れを変えるためにも先発から使うということも想定している。今日も出場、即トライと期待通りの活躍であった」

──終盤、3トライ目のTMOの間、次のKOに向けて準備をしていたが、あれはキャプテンの指示か?

小浜ゲームキャプテン

「4トライ目を目指して1ポイント取るということにチームの意思が統一できていた」

──前半終了時点ではここ数試合に比べて我慢できていたように思われるが、改善の兆しはみられるのか?

神鳥監督

「前半のディフェンスに関してはわれわれも満足しており、このパフォーマンスを後半も続けたかったが、やはり80分間続かないところが今のチームの状況である。改善に関してはメンバーの入れ替えや、ここ1週間はディフェンスの確認に多くの時間を割いて取り組んできた。そういった意味では少しずつ成果は出てきたと思う」


近鉄ライナーズ

近鉄ライナーズ
前田監督(左)、豊田キャプテン

前田隆介監督

「試合の内容としては前半、ミスが多くなかなか得点できなかったが、しっかりと課題を確認して東芝戦に臨みたい。だが悪いながら勝ち点5を獲得してくれた選手たちには感謝している。次にしっかりと繋げていきたい」

豊田大樹キャプテン

「いつもの近鉄ファンと今日は特にリコーファンの歓声も大きく、とても良い環境でプレーできた。試合では前半ミスが多く、そこから崩れてしまうところを選手間で修正し、立て直せたことが今日一番の勝因である。次の東芝戦に向けてこのプレーを続けていきたい」

──今日はスピース選手、デアリエンディ選手が欠場だったが、彼らのケガの具合と代わりに入った選手の今日の評価は?

前田監督

「前節の怪我人が今週は間に合わなかった。代わりに入った田淵が緊張感からかハイパントキャッチで連続ミスがあったが、それをチームメートがしっかりカバーして、ボーナスポイント付きの勝ちまで持って行けたのはチーム全体の力である。田淵もノックオンは多かったが前半最後にタックルで返すなど、力のある選手たちがチーム力でカバーできている」

──外国人2人の欠場がありながら40点を獲得するなど、攻撃面での手応えは?

前田監督

「セットピース、特にラインアウトはしっかり改善できている。ゴール前のモールでトライできるなどFWの出来は実感している。一人で前に持って行ける選手がケガをして苦しいと思われがちだが、代わりに出た選手もしっかりと前に出られている。ただ失点が多いのは課題であり、不必要な失点は大いに反省したい」

──ミスを減らすこと以外で修正すべき点は?

前田監督

「2人目、3人目のサポートに速さがほしい。速くサポートすることでより速くボールを動かして得点できる状況を作り出したい。どんなにDFの強いチームに対しても、その部分での厚みを作り出したい。あとは反則を減らしていきたい」

──チームとしては4位以内がかなり見えてきていると思うが、今日の試合に限らず今季手応えを感じている点は?

前田監督

「上位が見えるかという点は相手チームとの兼ね合いもあり、毎試合トーナメントのつもりで戦っている。キャプテン中心に日々の練習から、ライナーズがやるべきことを選手たちでフォーカスしており、自分たちがやりたいことをしっかりやればライナーズの流れになるということを掴みかけている。残りのシーズン、さらにより高いレベルで実行していきたい。それはキャプテンが常にグラウンドで言ってくれている」

──キャプテンとして感じている手応えは?

豊田キャプテン

「自分たちのアタック、DFをしっかりとしようと自分たちにフォーカスし、80分間自分たちのラグビーができていることが最も伸びている点である」

マン・オブ・ザ・マッチは近鉄ライナーズ1番、豊田大樹選手

(記事:石川悟、丸井康充)

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