トップリーグ2015-2016【LIXIL CUP2016】ファイナル マッチサマリー(パナソニック 27-26 東芝)

パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
27 合計 26
17 前半 14
10 後半 12
東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス

パナソニック ワイルドナイツ 27-26 東芝ブレイブルーパス

トップリーグ2015-2016【LIXIL CUP2016】ファイナル
2016年1月24日(日)14:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

ファイナルの一戦は、オールドファンならお馴染みの「三洋電機vs東芝府中」時代から続く常に切磋琢磨してきたライバル・チーム同士の決勝戦となった。当日は、朝9時前から銀座線「外苑前」駅付近からラグビー場まで続く、長蛇の列!入場者数は、2万4557人と場内は立錐の余地がないくらいとなる。因みに秋のレギュラーシーズンでは、12/12の第5節に対戦。17-17の引き分けで終わっている。

定刻14時にて戸田京介レフリーの笛でパナソニックのキックオフ。
立ち上がりから両軍の持ち味を活かした攻防戦。3分、東芝ゴール前でのラックをパナソニックが連取、(9)田中の旨いボール捌きで、(7)西原が左中間にトライ。(10)パーカーがゴール成功。先制する。(パナソニック7-0東芝)

得点が入り、両チームとも緊張感が安定。僅かなスキを突いて東芝の(8)リーチが7分、パナソニックのゴールに飛び込みトライ。ゴールを(9)小川が成功して同点となる。(パナソニック7-7東芝)
17分、パナソニックゴール前のモールを上手くコントロールしてFWが雪崩込み、東芝(6)山本が押さえてトライ。東芝(9)小川のゴールも成功。(パナソニック7-14東芝)

ゲーム展開は、東芝は常に「縦」にFWを活かし、ゲインラインを越えたところへクイックでオープン攻撃を試みる波状攻撃を仕掛ける。それに対抗してパナソニックは個々が完璧なデェフェンス!「青いカーテン」に徹底。僅かなチャンスを有効なキックで「面」を確実に確保していく。見ていて「大人のラグビー」の醍醐味が伝わる。

21分、パナソニックのBK展開で最後に(11)児玉が東芝ゴール、左スミにトライかと思われたが、東芝(8)リーチのタックルでタッチと同時か? 場内のモニター再生でTMO決裁へ。審議の結果・・・トライはキャンセルに。素晴らしいリーチ選手のタッチ・ライン際での手本となる様な腕を絞り込むタックルに、この日の東芝サイドの気持ちを感じられた。

24分、再び東芝ゴール前に攻め込むパナソニックFW陣、立て続けにラックを連取。(9)田中の素晴らしいボール展開、最後にノーマークとなった(2)堀江が縦に突いてトライ。(10)パーカーのゴール成功。(パナソニック14-14東芝)
38分、パナソニック(10)パーカーがペナルティゴールを成功させた。(パナソニック17-14東芝)

前半終了。ここまでで、両軍ともにラインアウト、スクラムとも確実にキープ。ペナルティがパナソニック2、東芝3と規律性もイーブン。タックル・ミスがパナソニック3、東芝4、ハンドリングエラーは、パナソニック3、東芝5。大きく差が出たのは、ターンオーバー数でパナソニック0、東芝5と東芝サイドの気迫が伝わる。

後半、東芝のキックオフ。
8分、先制点の欲しい東芝だが、この日キック好調のパナソニック(10)パーカーにペナルティゴールを蹴り込まれる。(パナソニック20-14東芝)
ここから目まぐるしい攻防戦。安定感のあるパナソニック。東芝側はことごとくディフェンスされ、キックで場面打開を試みるも有効性に欠ける様に見える。そのキックのカウンターがパナソニックに有利となってくる。

22分、パナソニック(13)JP・ピーターセンが東芝ゴールにトライ。(10)パーカーのゴールも成功して点差が開く。(パナソニック27-14東芝)
28分、しばらく眠っていた獅子がパナソニックゴールに飛び込む。東芝(22)クラスカがトライ。東芝(9)小川のゴール成功。(パナソニック27-21東芝)
これよりパナソニックが有利にボール支配。東芝陣の中でのゲーム展開が続く。そして時間を知らせるホーンの音が場内へ鳴り響き・・・この日のクライマックスへ。

アディショナルタイムに東芝BK陣が果敢にオープン展開。ライン参加した東芝(15)ステインが独走!パナソニック陣22m付近で、パナソニック(14)北川が懸命に追走しタックル。このラックを素早くオープンに展開、東芝(13)カフイがパナソニックゴール前にハイパント!両軍の応援団の声が悲鳴に聞こえる場内。拮抗したパント処理ボールを胸にして飛び込んだ、東芝(23)豊島がトライ。騒然とした場内、膝を着くパナソニックの選手達。ただ一人、毅然と構えるパナソニックの(2)堀江キャプテン。やがてゴールキックの時間になると先程の喧騒が嘘の様な静寂。東芝(15)ステインへ視線が集中。再び悲鳴は歓声に変わり、後半43分でノーサイド。パナソニックの3連覇が成し遂げられた。
(パナソニック27-26東芝)
(武田守久)


● 記者会見ダイジェスト ●

東芝ブレイブルーパス

東芝ブレイブルーパス
富岡監督(右)、森田キャプテン

冨岡鉄平監督

「お疲れ様です。予想どおり、多くのお客様が来場され、会場の準備も良く、これ以上ない最高の舞台で、選手もワールドカップ後の最後の大一番と臨みました。パナソニックさんにとって素晴らしい結果を賞賛したいと思います。よく1点差に追い上げましたが、まだまだ、力の差を感じました。負けたとはいえ、東芝の選手たちの努力に感謝したいと思います。申し分ない準備を積み立てて来てくれました。これで東芝の歴史が終わったわけではないので、強いチームを作ってチャレンジしていきたいと思います」

──セットピースで上手くいかなかったが?

「ピッチコンディションもよくないし、しっかり組み込んだ点がパナソニックさんが1点差で勝った原因だと思います」

──力の差とは?

「特にピッチに立っている15人の理解力、正確性です。パナソニックさんは大きな目立ったミスはほとんど無いですが、東芝はそこでそのプレーを? というプレーが多かった。これは昨日今日だけで付く力ではありません」

──最後のプレーは?

「もう少しロスタイムで繋ぎまくって、真ん中にねじ込めば勝っています。必然で勝てるのですが、ここの一つの大きな壁があります。おそらく、1年準備してもあそこで1点差で勝てるかどうか。心境は、本当は絶対に入れないといけないと思っていました」

──スクラムをターンオーバーしたのにクラスカ選手が蹴ってしまったが?

「まあ、両方あります。貰うのは前の方が強いので、ここは時間がかかるかもしれません。勝つチームはそこを感じないと」

──2年目に強くなったと感じることは?

「我々は勝負事をやっているので、1位かそれ以外なんですね。もちろん、満足感はないし、昨年と変わらず監督として責任を感じます。ただ、選手たちとスタッフが大きく成長してくれました。勉強して勝てるチームにする階段を上げていただいたと思います。僕自身が、選手たちやコーチ、スタッフから学んで、チーム全体で伸びたと感じます」

森田佳寿キャプテン

「よろしくお願いします。ゲームはパナソニックさんが素晴らしかったと思います。それに尽きます。しかし、準備して来たことをやり切ったチームメイトを誇りに思います。これからも前を向いてチャレンジしていきたいと思います。1年間、ありがとうございました」

──何が足りなかったのか?

「パナソニックさんはパーカー選手中心に、田中選手のキックを使ってエリアをマネジメントして来ました。それから、ブラインドサイドを徹底的にアタックしてきました。ハイプレッシャーの中、上手く突かれました。作戦を遂行するための圧倒的なセットピースも素晴らしかったです。パナソニックさんの継続を断つマネジメントを高めなくてはいけないと感じました」

──最後のプレーは?

「多分、皆さんが想像しているとおり、見ないでいて、入ってくれとフランソワの右足に願いを込めていました。歓声を聞いて、それを悟ったんですけど、最後の最後まで、ピッチにいた15人はトライのために戦ってくれました。僕はそれを讃えるしかないです」


パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツ
ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「今日は日本の素晴らしいラグビーシーズンを締めくくるのに相応しい決勝戦でした。ラグビーのすべての要素が詰まっていました。ブレイクダウンのコンテストでしのぎを削り、キックの応酬があり、素晴らしい内容でした。東芝さんは、ほぼ勝利を手にしかけるところまで我々を追い詰めた素晴らしいゲームでした。試合後の両チームの感情はまったく違うものですが、多分、このシーズンをずっと戦って来た選手たちは、運を引き寄せるものを持っていたのだと思います。今日の結果、3連覇を我々は誇りに思いますが、実際に戦った中身が大切なのだと思います。東芝さんの今日の一連のプレーは本当に素晴らしく、讃えたいです」

──JP・ピーターセン選手が飛び出したプレーは?

「フランソワ(・ステイン)のキックを待っている時、もしキックが決まるとJPにとって、パナソニックのジャージーを着た最後の試合が最悪の思い出になってしまうと心配していました(苦笑)。シーズン通じて活躍したし、この3年間、彼の貢献は高かったので。英語のことわざに、善行を行った者には良い結果が付いてくる、とありますが、まさにそうなりました」

──ヘイデン・パーカー選手がすべてのゴールを決めたが?

「この3週間、素晴らしいプレーをしています。彼自身の大きな試合での田中選手とのコンビネーションを高く評価しています。プレーしなければならないところを、非常にチャレンジしています。この2試合、良いメンバーの中でパフォーマンスできています。プレーオフの大舞台にしっかり準備して来ました。24ゴールすべてを連続成功させ、ゴールキックの面でもしっかり貢献しています」

──今シーズン、一番成長したところは?

「リーダーシップがチームの中で、選手全体に備わってきたことです。キャプテンがエンジョイしながら、自分の権限を委譲して、話し合いを促進しながらやってきたことが大きかったです。そして、我々のナイツメンバーと呼ぶ、試合に出ていない選手が著しく成長してくれました。チームにとって厚みをもたらして、そうした選手たちが呼ばれたら自分たちのオーナーシップで試合に出て活躍し、フレキシブルにサポートしてくれました。これは田邊や相馬たちが一生懸命取り組んだ成果で、決して偶然ではありません」

堀江翔太キャプテン

「お疲れ様です。僕らはセットピースも安定して、準備して来たことを強力FWで非常に出せたと思います。ワールドカップメンバー以外の選手たちが働きかけてくれて、西原、林、北川、そういう選手一人一人がやってくれて、僕は今シーズン、キャプテンとして何一つしていなくて、パナソニックのラグビーに付いて行くのに必死なところを、周りが助けてくれたシーズンでした。最後は東芝さんに不安を感じて臨みましたが、周りが支えてくれました。僕はただプレーに集中するだけでした。試合では、僕は最後に滑って、これはやってしまったと思ったんですね。あれも、周りが最後の最後まで追いかけて、回り込ませなかったから、勝利を得られたと思います。あと一戦、帝京大学さんとの戦いに向けて、しっかりやって行きたいと思います」

──スクラム、ラインアウトは?

「スクラムのところは、向こうの3番から先頭に来るだろうと思って、逃げずに狙っていました。トップリーグ中、グングン、ガッキー(稲垣)も伸びて来て、稲垣中心で行こうと。向こうが変えてきたらこっちも変えて行こうと。ラインアウトはユン・ヨンナム選手に任せて、向こうがモールに入る、入らないもあって、ラインアウトリーダーのユン・ヨンナム選手が良くやってくれました」

──ブレイクダウンは?

「僕らがアタックしている時は、ほぼ向こうは捨てて来るので、タックルで優位に立てば、早めにブレイクダウンに入ってリズムが出ると考えていたのですが、向こうがラックを捨てて来るところに上手くハマってしまいました。ただ、我々がしっかり、グラウンド内で考えて細かく直せば、ボールを持ち出してパイルアップに対応できる時もありました。想定内でした」

──残り4秒で相手ボールになって?

「コンタクトがなくなって、ボールが持ち出されたら、ディフェンスでパナソニックらしさを出そうとしましたが、誰かと交錯してBKが倒れたので、ピーターセン選手が最後だからチームのためにと飛び出したのだと思います」

──毎年、違う相手に勝っての3連覇だが?

「初めてキャプテンになった時から、選手たちのコミュニケーション能力が上がって、何も言わなくてもしっかり話してくれるようになりました」

──後半、田中選手のカウンターから奪ったトライは?

「ふみさん(田中史)の判断で抜けたところに全員で反応しましたが、僕らは一応、形はたくさんありますが、一人が違う反応を起こした時、全員が同じ反応をしていきます」

──相手ボールのスクラムでボールを奪ったシーンは?

「あの場面では、ちょっと組み方を変えて狙いに行きました。駆け引きに勝ったところです。あの判断で良かったと思います。稲垣の行く方向を少し変えました。スクラムって、ちょっとのことですべて変わる、そういう駆け引きをやっています」











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