トップリーグ 2016-2017 weekly preview:開幕節編<前編>

text by Kenji Demura

パナソニックに2季連続4強ヤマハ発動機が挑戦
大阪では新指揮官同士の近鉄—サントリーで開幕

久しぶりに熱い戦いが暑い日本に戻ってくる。
日本最高峰ジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017が8月26日に開幕。夏の暑さ真っ盛りの8月にスタートを切ることになるのは2年ぶり。全てナイトゲームで行われる予定の開幕節8試合の見どころを前編、後編の2回にわたって掲載する。
前編ではオープニングデーのフライデーナイター2試合と土曜日の東京での2試合について紹介していこう。

3連覇中のパナソニックを止めるチームは出てくるのか? トップリーグはいよいよ26日開幕 photo by Kenji Demura

▲3連覇中のパナソニックを止めるチームは出てくるのか? トップリーグはいよいよ26日開幕
photo by Kenji Demura

今季のトップリーグは東京と大阪で金曜ナイターでの同時開幕となる。
東京・秩父宮ラグビー場ではトップリーグ3連覇中のパナソニック ワイルドナイツと昨季4強で一昨季の準優勝チームでもあるヤマハ発動機ジュビロが対戦(19:30)。

トップリーグの歴史を紐解いても、前シーズンの優勝チームがここまで積極的な補強をして新シーズンを迎えた例はないのではないか。
そう言っても過言ではないほど、今季のパナソニックには国内外から多くのビッグネームが新加入した。
PR平野翔平(東海大)、HO坂手淳史(帝京大)、LO/FL長谷川崚太(大東文化大)、SO山沢拓也(筑波大=4年在学中)、SO/CTB金田瑛司(帝京大)、WTB福岡堅樹(筑波大)、WTB/FB藤田慶和(早稲田大)、FB森谷圭介(帝京大)など、すでにフル代表や7人制代表などに選ばれた経験を持つ選手も多い大学ラグビーのスター選手がごっそり。さらに、世界一のボールハンターとの評価も受けるFL/NO8デービッド・ポーコック(豪州代表)に195cm、125kgの巨漢WTBタンゲレ・ナイヤラボロ(豪州代表)も新たに加わり、選手層は厚くなるばかりだ。

激しいプレーが持ち味のFL三村主将を中心にまずはFW戦で優位に立ちたいヤマハ発動機 photo by Kenji Demura

▲激しいプレーが持ち味のFL三村主将を中心にまずはFW戦で優位に立ちたいヤマハ発動機
photo by Kenji Demura

一方のヤマハ発動機にとっては、長年チームの最後列を締め、絶対的なゴールキッカーでもあったFB五郎丸歩なしで臨むシーズンとなる。
ポスト五郎丸の役割を担う新加入のFBゲラード・ファンデンヒーファー(スーパーラグビーのブルズ、ストーマーズ 、アイルランドのマンスターなどで活躍)のプレーぶりが注目されるのはもちろん、過去2シーズン4強をキープし続ける原動力となっているFW陣がセット、ブレイクダウンで互角以上に戦えるかが、ヤマハ発動機がいきなりのアップセットを成し遂げるためのポイントになる。
昨季は対戦のなかった両チームだが、一昨季のリーグ戦は1勝1敗、同プレーオフ(LIXIL CUP)ファイナルではパナソニックが勝利を収めている。

同じく26日の夜、大阪・ヤンマースタジアム長居では近鉄ライナーズ対サントリーサンゴリアス戦でラグビーシーズンが開幕(19:30)。

ベテラン健在。36歳の司令塔SO重光の司令塔ぶりも近鉄の浮沈を担う photo by Kenji Demura

▲ベテラン健在。36歳の司令塔SO重光の司令塔ぶりも近鉄の浮沈を担う
photo by Kenji Demura

昨季7位の近鉄は坪井監督、カンバランドFWコーチ、マルビヒルBKコーチの新体制で上位進出を目指すシーズンとなる。
新加入選手では、共にU20南アフリカ代表経験を持ち、24歳、25歳という伸び盛りの年齢での来日となったLOマイケル・ストーバーク、FL/NO8ジーン・クックが近鉄FWにどんなインパクトを与えるのか。
BKでは実績十分の元豪州代表CTBアンソニー・ファインガの堅実なプレーぶりも大きなプラスになることも間違いないだろう。

昨季、新人ながらトライ王となったサントリーWTB江見。新主将SH流のリーダーシップも注目される photo by Kenji Demura

▲昨季、新人ながらトライ王となったサントリーWTB江見。新主将SH流のリーダーシップも注目される
photo by Kenji Demura

昨季、9位に沈んだサントリーも沢木監督−流主将の新体制によって復活を目指すシーズンとなる。3シーズンぶりに復帰の元豪州代表FLジョージ・スミスのシャープさとパワフルさを兼ね備え、攻守にツボを心得たプレーぶりは大きな原動力となるはずだ。
SHフーリー・デュプレア、SO/CTBトゥシ・ピシ、FL/NO8スカルク・バーガー、FL佐々木隆道など、サントリーの顔とも言えたような主力メンバーが退団したが、プレシーズンでのトップリーグチームとの練習試合を9勝1敗という好成績で乗り切り、若いチームが勢いに乗ってのシーズンインとなる。

昨季はプレシーズン第1節とリーグ戦第3節で対戦。プレシーズンはサントリー、リーグ戦は近鉄がそれぞれ勝っている。

27日の秩父宮はリコー対NEC、東芝対クボタ戦

27日の東京・秩父宮ではリコーブラックラムズ対NECグリーンロケッツ(16:30)、東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズ(19:00)の2試合が予定されている。

第1試合は、昨季は入替戦に回るなど不本意なシーズンとなった同士(リコー=13位、NEC=15位)の対戦。
豪州代表SOバーナード・フォーリーは退団したものの、タマティ・エリソン(元NZ代表)、ティム・ナナイウィリアムズ(サモア代表)、コリン・ボークとBKのキープレーヤーに実力者が揃うリコー。WTB/CTB小松大祐、WTB渡邊昌紀、星野将利など決定力のある選手も多く、FW陣がいかにBKにボールを供給できるかが鍵になりそうだ。
NECは日本代表やサンウルブズで成長した姿を披露したSH茂野海人、SO/CTB田村優の卓越したゲームメイクを軸に浮上を目指すシーズンとなる。
昨季は順位決定トーナメント第2節に両チーム共にシーズン未勝利(プレーシーズンリーグ等を除く)のまま対戦し、リコーが31—5で勝利を収めている。

昨季わずか1点差で王者奪還を逃した東芝。リオ五輪で活躍したWTB/FB豊島などのチームへのフィット度は? photo by Kenji Demura

▲昨季わずか1点差で王者奪還を逃した東芝。リオ五輪で活躍したWTB/FB豊島などのチームへのフィット度は?
photo by Kenji Demura

冨岡HC−森田主将体制が3季目ということもあり、7年ぶり6度目となる優勝が至上命令となる東芝。
昨季LIXIL CUPファイナルで最後の逆転ゴールを外したFBフランソワ・ステインに代わって新たに加わるのがWTBコーリー・ジェーン(元NZ代表)。共にオールブラックスの一員として11年W杯を制したCTBリチャード・カフイと共に東芝BKを支える。
15年W杯優勝メンバーであり、チーフスでは主将、7人制NZ代表でもあるFL/NO8リアム・メッサムも2年目となりチームへのフィット具合も1年目とは違ったシーズンとなるはず。

FLヤコ・クリエル(ライオンズ)、SOルイ・フーシェ(キングス)、WTBパトリック・オズボーン(ハイランダーズ)などのスーパーラグビー組、CTBトゥキリ ロテ、SO合谷和弘のセブンズ日本代表組、日本代表LO/FLアイブス ジャスティンなど積極的な補強を行ったクボタは長らくブルズを指揮してきたフラン・ルディケ新ヘッドコーチの下、いきなりのアップセットを狙う。日本代表、サンウルブズでも主将を務めたSO/CTB立川理道主将のワールドクラスなプレーぶりと統率力も鍵を握ることは間違いない。
昨季は47—3で東芝がクボタを圧倒している。

日本代表、サンウルブズで大きく成長した立川(クボタ)、田村(NEC)両司令塔のプレーぶりも楽しみだ photo by Kenji Demura

▲日本代表、サンウルブズで大きく成長した立川(クボタ)、田村(NEC)両司令塔のプレーぶりも楽しみだ
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