トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第11節編

ヤマハ発動機にチャレンジするNEC。大黒柱SO田村の不在を総合力でカバーできるか photo by Kenji Demura

ヤマハ発動機にチャレンジするNEC。大黒柱SO田村の不在を総合力でカバーできるか
photo by Kenji Demura

両チームの勢いは止まらない? ヤマハ発動機は地元で対NEC
サントリーは東芝を破ったコカ・コーラ戦(東京・秩父宮)

text by Kenji Demura

前節、約1ヶ月ぶりに再開されたジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017。
ウィンドウマンスの中断期間を経ても、開幕から全勝を続けてきたヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアスの勢いが衰えることはなく、共に連勝を伸ばした。

首位を行くヤマハ発動機は豊田自動織機シャトルズから9トライを挙げる爆勝(63—7)。

ウィンドウマンスの間、チームを離れていた日本代表組、4試合のテストマッチで比較的プレー時間の少なかったPR山本幸輝、HO日野剛志副将、FL三村勇飛丸主将は先発。三村主将にいたってはフル出場するなど、FW6人が長期間チームを離れていた影響はなさそうだ。

今節は地元・ヤマハスタジアム(静岡・磐田)でのNECグリーンロケッツ戦(10日13:00)。
日本代表でフル稼働したPR仲谷聖史、伊藤平一郎の両PRもメンバーに戻ってくる可能性が高く、ますます総合力はアップしそう。

対するNECも日本代表の司令塔として秋のテストマッチ4試合全てで先発した大黒柱のSO田村優が前節の近鉄ライナーズ戦でいきなり先発出場。チームを勝利に導く(38—31)、さすがなパフォーマンスぶりを見せたが、ヤマハ発動機戦はメンバー外に。
現在10位のNECだが、ここ3節は負けなし。何とかFW戦で対抗して、SO田村不在をチーム全体でカバーしたい。

東芝を破ったコカ・コーラはそのままの勢いでサントリーからも金星を狙う(写真はSO/CTBラファエレ) photo by Kenji Demura

東芝を破ったコカ・コーラはそのままの勢いでサントリーからも金星を狙う(写真はSO/CTBラファエレ)
photo by Kenji Demura

一方、前節で対戦した6位のNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに対して、立ち上がりから自分たちのリズムで試合を進め前半だけで3トライを挙げるなど、危なげない試合運びで29—5で快勝したサントリーはコカ・コーラレッドスパークス戦(東京・秩父宮ラグビー場=10日14:00)。

前節のNTTコム戦でのトライスコアラーがSO小野晃征、FLツイ ヘンドリック(2本)、NO8ジョージ・スミスという、いまだに現・日本代表組よりも知名度があるかもしれないビッグネームの3人。
SH流大主将、CTB中村亮土、WTB中づる(雨冠に隹・鳥の順)隆彰などの若手と前述の実績組のミックス度もいい感じのサントリーは、シーズンが深まるにつれてチームの進化も進んでいる印象だ。
前節では後半だけの出場だった日本代表FB松島幸太朗もおそらくコカ・コーラ戦では試合開始の時点でピッチの上にいるはず。
日本代表の4試合でも証明した、キレ味抜群の走りを見逃す手はない。いま絶対見ておきたいラグビー選手のひとりであることは確かだ。

もちろん、東芝ブレイブルーパスを破って勢いに乗るコカ・コーラがサントリーに対してどんなラグビーを見せるのかという観点からも、この試合は見逃せない。
関東のファンにとっては、日本代表にも通じる、どこからでもボールを動かしてアタックを仕掛けてくるコカ・コーラのラグビーを体感できる数少ないチャンスとなる。

また、同日の秩父宮ラグビー場ではリコーブラックラムズとクボタスピアーズの一戦も予定されている(同11:30)。

追い込まれている東芝の復活は? 日本代表で活躍したFLイラウアは救世主になれるか photo by Kenji Demura

追い込まれている東芝の復活は? 日本代表で活躍したFLイラウアは救世主になれるか
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失速が止まらず窮地に追い込まれる東芝
神戸でのアウェー戦でまさかの復活は?

それにしても、失速が止まらないのが東芝だ。

まだナイトゲームだった第4節でヤマハ発動機に完敗した後、第6節でHonda HEATに勝った以外は、第5節(宗像サニックスブルース)、第7節(豊田自動織機シャトルズ)、第8節(リコーブラックラムズ)、第9節(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)と黒星続きのままウィンドウマンス入り。
当然、1ヶ月のリーグ休止期間にどう立て直してくるか注目されたが、前節でも今季まだ1勝しかしていなかったコカ・コーラに17—22でまさかの敗戦。
昨季準優勝かつ過去5回トップリーグを制してきた東芝だけに、宗像サニックス、豊田織機、コカ・コーラに対する敗戦はそれぞれトップリーグ史上初でもあった。
いまのところ、入れ替え戦出場対象である13位(現在は近鉄ライナーズ)との勝ち点差は9。このまま負けが続くようだと入れ替え戦出場なんてことにもなりかねないだけに、そろそろ本当に勝ち星が欲しい東芝だが、今節は神戸製鋼コベルコスティーラーズとのアウェー戦(兵庫・ノエビアスタジアム神戸=11日14:00)。

全勝チームを追撃するため地元できちんと東芝を倒したい神戸製鋼(写真は抜群のゲームコントロール力を見せるSHエリス)

全勝チームを追撃するため地元できちんと東芝を倒したい神戸製鋼(写真は抜群のゲームコントロール力を見せるSHエリス)
photo by Kenji Demura

現在4位の神戸製鋼は前節で宗像サニックスとのアウェー戦で計10トライを奪って大勝(60—21)。
FWもBKも全員がしっかり仕事をした印象で、こちらはウィンドウマンス前のNEC戦での敗戦からしっかり立ち直っているところを見せた。

当然ながら、現在の神戸製鋼は第5節以降、東芝が敗れてきた相手と比較しても、白星を奪いやすい相手ではない。
その一方で、神戸でのアウェー戦をものにすれば、その後、東芝が勢いを取り戻す可能性もある。
過去に数々の名勝負を繰り広げてきた神戸製鋼—東芝戦だが、今季もいろんな意味で見逃せない試合になることだけは確かだ。

前節でWTB北川智規が通算100トライを記録したパナソニック ワイルドナイツ(現在3位)は、大阪・東大阪市花園ラグビー場でHonda HEAT と対戦(10日11:45)。
同日の花園ラグビー場では近鉄ライナーズ – キヤノンイーグルス戦も予定されている(同14:00)。

また、愛媛・ニンジニアスタジアムでの豊田自動織機 – NTTコム戦、岐阜メモリアルセンター長良川球技メドウでのトヨタ自動車ヴェルブリッツ – 宗像サニックス戦(共に11日13:00)は、それぞれ両県で行われる今季唯一のトップリーグの試合となる。

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