トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第12節編

クリスマスイブの直接対決まで2チームの全勝街道は続くのか?
ヤマハ発動機は神戸製鋼、サントリーはトヨタ自動車とアウェー戦

text by Kenji Demura

全勝を続けるヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアスの勢いが止まらない。

前節では、ヤマハ発動機ジュビロはNECグリーンロケッツから7トライを奪い42点差での大勝。一方、サントリーサンゴリアスはコカ・コーラレッドスパークスに対して8トライを決めて、36点差での勝利をものにした。
共に強さを印象づけるパフォーマンスで勝ち点5を加え、それぞれ総勝ち点を53(ヤマハ発動機)、52(サントリー)に積み上げた。

両者の直接対決は次節の第13節にヤマハスタジアムで予定されているが、そのクリスマスイブに控えるビッグゲームに全勝のままたどり着けるのか。
今節は両チームともに厳しい対戦相手とのアウェーゲームを戦う。

ランにキックにハイボールにパーフェクトなプレーでヤマハ発動機の快進撃を支えるFBファンデンヒーファー photo by Kenji Demura

ランにキックにハイボールにパーフェクトなプレーでヤマハ発動機の快進撃を支えるFBファンデンヒーファー
photo by Kenji Demura

ヤマハ発動機は兵庫・ノエビアスタジアム神戸での神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦(18日13:00)、サントリーは愛知・豊田スタジアムでのトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦(17日14:00)。

「もっと効率的で、もっとセンスフルで、いいトライを取れなきゃいけなかったが、全般的には満足いく内容。いいかたちで来週、再来週を迎えられる」
NEC戦後、一応、課題を挙げながらも、納得した表情でそう語った清宮克幸監督の言葉どおり、ヤマハ発動機というチームにいま自信がみなぎっているのは間違いない。
日本代表に6人の選手を送り込んだFW陣だが、NEC戦ではPRが日本代表の伊藤平一郎から元日本代表の山村亮に代わってさらにスクラムが強固になるなど、ジャパン組も安泰ではないほど競争が激しく、当然のごとく相手チームにとっては脅威であり続けている。

しかも、FWが崩した後に仕留めるBK陣も、抜群のラインブレイク力を誇るヴィリアミ・タヒトゥア、マレ・サウのCTB陣、こちらも危険なランナー揃いであるハビリ ロッキー、伊東力などのWTB陣、そして最後列を占めるのは「自らボールを持って走ることも、キックすることも好きだし、よく走る日本のラグビーは自分に向いている」と語る“ミスターパーフェクト”なFBゲラード・ファンデンヒーファー。
しかも、全くスキのない布陣を取り仕切るのは、PR山村と共にトップリーグ150試合出場を果たしたベテラン司令塔SO大田尾竜彦。
清宮監督が「(離脱中の)矢富(勇毅=SH)が戻ってくれば万全」というのも頷ける充実ぶりだ。

過去2シーズンの対戦時のようにヤマハ発動機に対してFW戦で優位に立てれば神戸製鋼の勝機が見えてくる photo by Kenji Demura

過去2シーズンの対戦時のようにヤマハ発動機に対してFW戦で優位に立てれば神戸製鋼の勝機が見えてくる
photo by Kenji Demura

すでに王者の風格さえ漂わせているようなヤマハ発動機だが、こと対神戸製鋼では昨季も一昨季も完敗と言っていい内容で敗れている。
神戸製鋼が3年連続となるヤマハ発動機戦勝利を収めるためには、まずはこちらも大型のFW陣がどれくらい主導権を握れるか。
前節の東芝戦ではLOアンドリース・ベッカー、WTBアンダーソンフレイザーなどのキーメンバーも復帰しただけに、「今季のこれまでのような神戸じゃない」(ヤマハ発動機・清宮監督)のは確かだろう。

前節のNEC戦でも2トライを挙げるなど、現在ブレイク中と言ってもいいヤマハ発動機HO日野剛志に対して、日本代表のキャリアでは先輩ながら欧州遠征では出番に恵まれなかった神戸製鋼HO木津武士のマッチアップなども興味深い。

サントリーも前節のコカ・コーラ戦ではスクラムで圧倒するなど、安定したボールキープからテンポのいいアタックを続けた。

トヨタ自動車の挑戦を受けるサントリー。SH流主将のゲームコントロール力もポイントになる photo by Aki Nagao

トヨタ自動車の挑戦を受けるサントリー。SH流主将のゲームコントロール力もポイントになる
photo by Aki Nagao

対するトヨタ自動車は、前節の宗像サニックスブルース戦では試合の多くの時間帯を支配しながらも、ミスが響いて1点差負け。
これで4敗となったトヨタ自動車(5位)と3位パナソニックの勝ち点差は9。日本選手権出場(3位以内)は遠のいたと言わざるを得ない。

菅原大志監督は「本当に痛い」と正直だが、「これから、いい相手との戦いになるので、しっかりチャレンジはしたい」と前を向く。

前節ではサニックスに惜敗。今節はアグレッシブなプレーでサントリーを上回りたいトヨタ自動車 photo by Kenji Demura

前節ではサニックスに惜敗。今節はアグレッシブなプレーでサントリーを上回りたいトヨタ自動車
photo by Kenji Demura

自動降格、入替戦組合せに大きな影響も?
近鉄 – 東芝(大阪)、豊田自動織機 – Honda(豊田)も

豊田スタジアムでトヨタ自動車 – サントリーに先立って行われる豊田自動織機シャトルズ – Honda HEAT(11:30)は15位と16位の対戦。すなわち、自動降格争いに大きな影響を与える一戦となる。

前節、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスを破ってシーズン2勝目を上げた豊田自動織機が勝てば自動降格を免れる公算が高くなりそうな一方、Hondaとしては来季もトップリリーグの座を確保するためには絶対負けられない一戦となる。

現在3位のパナソニック ワイルドナイツは東京・秩父宮ラグビー場でリコーブラックラムズと対戦(18日14:00)。
前節のHonda戦で何と6トライを挙げたパナソニックWTB福岡堅樹の爆走が再び見られるか? リコーWTBアマナキ・ロトアヘアとのマッチアップは? FW第3列に目を移せば、前節トップリーグデビューを果たしたデービッド・ポーコック(パナソニック)はさらに調子を上げそうだし、日本代表で売り出し中の布巻峻介(パナソニック)と松橋周平(リコー)の直接対決も見逃せない。

同日の東京・秩父宮の第1試合はキヤノンイーグルス – NEC。
10位と11位の対戦で、ここで負けると残り3節を入替戦に回るプレッシャーも感じながら戦う必要が出てくるかもしれない。

18日の大阪・ヤンマースタジアム長居(14:00)では、現在6連敗中の近鉄ライナーズと同・5連敗中の東芝ブレイブルーパスが対戦。
どちらが長いトンネルを抜けるのか。
現在の順位と勝ち点は近鉄が13位(14)、東芝が9位(23)。
今季は13〜15位のチームが入替戦に回るが、今回の直接対決で近鉄が勝った場合、次節で両チームの順位が入れ替わる可能性も出てくる。
いずれにしても、東西の名門チームにとっては苦しい戦いが続くことになる。

千葉県船橋市を所在地とするクボタスピアーズにとっては今季唯一の千葉県での試合となるコカ・コーラレッドスパークス戦(17日13:00=フクダ電子アリーナ)。
前節、終了間際のCTB立川理道主将の逆転トライで劇的な勝利を収めた後だけに、地元で勢いに乗りたいところ。

前節、「選手を大幅に変えて荒治療(藤井雄一郎部長兼監督)という思い切ったメンバー起用が功を奏してトヨタ自動車に競り勝った宗像サニックスは、宮崎でNTTコミュニケーションズシャイニングアークスと戦う(18日13:00 KIRISHIMAハイビスカス陸上競技場)。

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