トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第15節編

なるか完全優勝! 神戸製鋼とのアウェー戦に臨むサントリー
2位ヤマハ発動機は地元にトヨタ自動車を迎えての最終ゲーム

text by Kenji Demura

昨年8月26日に開幕したジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017も、いよいよ残すところあと1節。
今季はプレーオフもワイルドカードもないため、1月14日に予定されている第15節8試合がシーズン最後のトップリーグゲームとなる。

初のトライ王へ邁進するサントリーWTB中靏。最終戦でもチームの完全優勝へ貢献できるか photo by Kenji Demura

初のトライ王へ邁進するサントリーWTB中靏。最終戦でもチームの完全優勝へ貢献できるか
photo by Kenji Demura

優勝の行方は、首位を行くサントリーサンゴリアス(勝ち点65)と2位のヤマハ発動機ジュビロ(同62)に絞られたかっこう。
最終節でサントリーが勝てば、4年ぶりのトップリーグ制覇が決まり、同・引き分けか負けの場合にヤマハ発動機に逆転優勝の可能性が出てくる。

また、2強に加えて、3位のパナソニック ワイルドナイツの日本選手権(準決勝=1月21日、大阪・花園)出場も確定。

一方、16位Honda HEATの自動降格、さらにコカ・コーラレッドスパークス(13位=勝ち点17)、豊田自動織機シャトルズ(14位=同15)、近鉄ライナーズ(15位=同14)の3チームが残留を賭けた入替戦を戦うことも確定している(1月28日に予定されている入替戦の対戦カードはトップリーグ最終節を経ての最終順位および、後述するトップチャレンジ1の最終順位によって決定)。

前節の東芝ブレイブルーパスとのライバル対決にも48—0で圧勝。全勝でのシーズン完全優勝に王手をかけたサントリーは、有終の美を飾るべく神戸に乗り込んで、神戸製鋼コベルコスティーラーズと対戦する(13:00=兵庫・ノエビアスタジアム神戸)。

「(東芝戦は)前半、コントロールすることはできたが、ラインアウトだったり、ブレイクダウンだったり、プレーの精度には満足していない。ハングリーになって神戸に向けてしっかり準備していきたい」

開始8分のWTB中靏隆彰のトライから一方的に試合を支配して計7トライを挙げ、守っても東芝にいいところを全く出させずに無失点に抑える完璧と言える内容で “府中ダービー”を制したサントリーだが、沢木敬介監督は手綱を緩める気配は全くない。

2011-2012、2012-2013シーズンの連覇を知るベテランPR畠山健介は「特に、FWはベッカー(アンドリース)選手、伊藤 鐘史選手(共にLO)中心にラインアウトがうまく、スクラムも平島(久照)選手、山下(裕史)選手などがいて強力。FW戦はかなり激しいものになる。ただ、あまりそこにはこだわりすぎずに、スペースにボールを運ぶラグビーをやっていく」と、あくまでも自分たちのラグビーにフォーカスすることが栄冠に近づく方法だと力説する。

対する神戸製鋼は前節クボタスピアーズに敗れ、日本選手権出場の可能性はなくなったが、地元・神戸で迎える今シーズンのファイナルゲームだけに持てるもの全てを出し切って、サントリーに一矢を報いたいところだろう。

サントリーの結果如何では優勝の可能性も残るヤマハ発動機。FL三村主将を中心にFWでトヨタ自動車を圧倒したい photo by Kenji Demura

サントリーの結果如何では優勝の可能性も残るヤマハ発動機。FL三村主将を中心にFWでトヨタ自動車を圧倒したい
photo by Kenji Demura

大阪・花園では入替戦組の近鉄と豊田自動織機が対戦
九州勢の宗像サニックス、コカ・コーラは福岡で最終戦

一方、サントリーの結果次第では、悲願のトップリーグ初制覇の可能性を残すヤマハ発動機は地元ヤマハスタジアム(磐田)にトヨタ自動車ヴェルブリッツを迎える(13:00)。

サントリーとのクリスマスイブの全勝対決で敗れた後、前節の近鉄ライナーズ戦では前半をリードされるなど苦しんだが、後半は引き離して26−12で順当勝ち。
雨も影響してワイドなアタックは不発だったが、モールで3トライ(ペナルティトライを含む)を奪うなど、FWの威力は相変わらず。
「日本選手権にもつなげていきたいので、切り替えて、しっかり準備していく」(FL三村勇飛丸主将)
トップリーグ優勝云々を抜きにしても地元ファンの前でいい内容で勝利を収め、日本選手権につなげていきたいところだろう。

日本選手権のためにもいい形で東芝戦を乗り切りたいパナソニック(写真はトライを量産し始めたWTB福岡) photo by Kenji Demura

日本選手権のためにもいい形で東芝戦を乗り切りたいパナソニック(写真はトライを量産し始めたWTB福岡)
photo by Kenji Demura

やはり、日本選手権でのリベンジを狙うパナソニックは東京・秩父宮ラグビー場で東芝と対戦(14:00)。
FLデービッド・ポーコックも完全にチームに馴染み、前節のトヨタ自動車とのアウェー戦でも後半20分まで一方的に4トライを重ねる完璧な内容で36—14と快勝。
過去、何度も名勝負を繰り広げてきた東芝戦もいい内容で乗り切って、日本選手権に弾みをつけたい。

尚、秩父宮での第1試合(11:30)はNTTコミュニケーションズシャイニングアークス – クボタスピアーズ戦が予定されている。

大阪・東大阪市花園ラグビー場では、共に入替戦行きが確定している近鉄と豊田自動織機が直接対決(11:45)。この勝敗が入替戦の対戦カードに大きく影響することもあり、トップリーグ残留の可能性をより高めるためにも、両チーム共にいい内容でトップリーグ最終戦を終えたいのは間違いないだろう。

ちなみに、トップチャンレンジ1は第2節を終了した時点で、NTTドコモが2勝(勝ち点10)、三菱重工相模原(同6)と九州電力(同4)が1勝1敗、日野自動車が2敗(同0)となっている(第3節は15日に花園で開催予定)。

また、花園の第2試合(14:00)にはすでに来季トップリーグからの降格が決まっているHondaが登場。
「Hondaの意地、プライドを全てぶつけていく」(HO天野豪紀)。
現在4連勝と勢いに乗るキヤノンイーグルス相手に最後の勇姿を見せる。

九州勢2チームは福岡・レベルファイブスタジアムでの最終節となる。
第1試合(11:30)に登場するのは、昇格チームながら開幕からの5節を4勝1敗で乗り切るなど、リーグ戦前半戦を盛り上げた宗像サニックスブルース。
後半戦はなかなか白星に恵まれなかったが、地元ファンの前で強敵NECグリーンロケッツ相手に得意のランニングラグビーを炸裂させて、シーズンを終えることができるか。

第2試合(14:00)に登場するコカ・コーラは前述どおり入替戦回りがすでに確定。前節の豊田自動織機戦に続き、現在7位のリコーブラックラムズも撃破して、勢いをつけた上でトップリーグ残留のための戦いに備えたい。

すでに自動降格が決まっているHonda。キヤノンとの最終戦はプライドを賭けて全てを出し切る試合となる photo by Kenji Demura

すでに自動降格が決まっているHonda。キヤノンとの最終戦はプライドを賭けて全てを出し切る試合となる
photo by Kenji Demura

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