トップリーグ 2017-2018 weekly preview:開幕節編<後編>

text by Kenji Demura

土曜日の秩父宮は東芝-NEC、クボタ-パナソニック
開幕節唯一のサンデーゲームは福岡での九州ダービー

金曜ナイターゲームを紹介した前編に続いて、後編では土、日開催の見どころを試合ごとにピックアップ。

<東芝ブレイブルーパス(レッド)―NECグリーンロケッツ(ホワイト)=19日、16:00東京・秩父宮ラグビー場>

TL創設以来、5度の優勝も含め13季連続で3位以内をキープしてきた東芝にとって、9位に沈んだ昨季は屈辱のシーズンとなった。名門復活を託されたのは、リオ五輪でセブンズ日本代表を率いた瀬川智広監督。東芝の監督として7シーズンぶりの復帰となる同監督を廣瀬俊朗・元日本代表主将がBKコーチとしてサポートする他、元NZ代表のCTBリチャード・カフイが新主将としてチームを引っ張る。

新戦力は少ないが、この春夏シーズンは対サントリー(6月24日、8月4日)、対トヨタ自動車(7月19日)、対神戸製鋼(7月22日)と、白星を重ねた。
「まだまだプレーの精度を高める必要がある」と、新監督は慎重だが、順調な仕上がりでシーズンインを迎え、いきなり東芝らしい「ゲインラインにこだわるラグビー」(同監督)を披露してくれそうだ。

対するNECはSH茂野海人-SO田村優の日本代表ハーフ団など多くの主力がチームを去り、「新しいチーム」(PR滝澤直主将)として臨むシーズンとなる。2季目のピーター・ラッセルHCによる戦術の落とし込みも進み、伝統のDF力に加えて、アタック面でも進化した姿を披露し、新生NECをアピールする。
「経験値が減ったのを受け止めつつ、みんなで支えるしかない。やるべきことをまじめに。きつい時にみんなでハードワーク」(同主将)するNECスタイルで対抗する。

LOムーア(写真)、SO中尾というフレッシュな先発メンバーで復活を賭けた開幕戦に臨む東芝 photo by Kenji Demura

▲LOムーア(写真)、SO中尾というフレッシュな先発メンバーで復活を賭けた開幕戦に臨む東芝
photo by Kenji Demura

<クボタスピアーズ(レッド)-パナソニック ワイルドナイツ(ホワイト)=19日18:30、東京・秩父宮ラグビー場>

昨季、3位のパナソニックと同12 位で辛うじて入替戦を免れたクボタとの対戦。
毎シーズン多くの有力な新人が加入するパナソニックだが、今季もLOサム・ワイクス(コカ・コーラ)、同・宇佐美和彦(キヤノン)、WTBディグビ・イオアネ(Honda)のTL経験者や、すでに日本代表/サンウルブズのキャップホルダーのSO松田力也などが加わり、戦力は充実する一方だ。
4連覇を狙った昨季は開幕戦でヤマハ発動機に力負けしたことが最後まで尾を引くかたちとなったが、今季は開幕1週間前の11日にスーパーラグビーの強豪ハイランダーズとのプレシーズンマッチを戦って、快勝するなど十分な事前テストを行った上でシーズンインを迎えている。

フラン・ルディケHC体制となって2シーズン目のクボタは、同HCと同時に加入したFLヤコ・クリエル、同ピーター・ラブスカフニ、WTB近藤英人、FB合谷和弘などがTLに慣れた今季は大きな躍進が期待される。
コンディションが心配された日本ラグビー界の至宝、CTB立川理道主将もいきなりスターティングメンバー入り。
パナソニックのHO堀江翔太との日本代表共同主将対決にも注目だ。

昨季は無冠に終わったパナソニック。2季ぶりのトップリーグ制覇へ向け、初戦はクボタと対戦 photo by Kenji Demura

▲昨季は無冠に終わったパナソニック。2季ぶりのトップリーグ制覇へ向け、初戦はクボタと対戦
photo by Kenji Demura

<コカ・コーラレッドスパークス(ホワイト)-宗像サニックスブルース(ホワイト)=20日16:00、福岡・レベルファイブスタジアム>

開幕節唯一のサンデーゲームは福岡での九州ダービー。昨季、TL復帰1シーズン目ながら、東芝、トヨタ自動車、NECなどを破り7勝を上げて台風の目となる活躍を見せた宗像サニックスは、元イングランド代表LOジェフ・パーリング、7人制代表LO後藤駿弥(Honda)、CTBアンドレ・エスターハイゼンなど的確な補強で昨季(11位)以上の上位進出を狙う。

一方、2013-14シーズンにTL復帰以降も4季連続で入替戦を経ての、まさに薄氷を履む思いをしながら残留を果たしてきたコカ・コーラだけに09-10シーズン以来となる同・九州ダービーを制して、「入替戦は避ける」(FL山下昂大主将)という絶対目標をクリアしながら上位進出を目指すきっかけにしたい。
今季からチームを指揮するアール・バーHCが、日本代表/サンウルブズでも圧倒的な存在感を見せたティモシー・ラファエレ-ウィリアム・トゥポウのCTBコンビや、元セブンズ主将の桑水流裕策、新加入のLOマーク・アボット(ハリケーンズ)やピータース ダニエル(リコー)などの個性豊かなメンバーをどう機能させるのか。
「ボールを動かすところに関しては自信がある」(山下主将)というコカ・コーラスタイルをどう結果に結びつけていくのか、その手腕にも注目だ。

4季連続で入替戦を経験しているコカ・コーラ。九州ダービーを制して勢いに乗り、上位進出を目指す photo by Kenji Demura

▲4季連続で入替戦を経験しているコカ・コーラ。九州ダービーを制して勢いに乗り、上位進出を目指す
photo by Kenji Demura

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