トップリーグ 2017-2018 weekly preview:総合順位決定トーナメント第2節

2年ぶりパナソニックか、2年連続サントリーか
両雄同士が頂点目指し、13日東京・秩父宮で激突

text by Kenji Demura

昨年8月18日に開幕し、途中ウィンドウマンスによる中断などを挟みながらも約5ヶ月間に渡って熱戦を繰り広げてきたジャパンラグビー トップリーグ2017 – 2018がいよいよフィナーレを迎える。

6日に行われた優勝決定トーナメント第1節(準決勝)で、17—11でトヨタ自動車ヴェルブリッツに勝利したパナソニック ワイルドナイツと、ヤマハ発動機ジュビロを49—7で倒したサントリーサンゴリアスの間で日本選手権優勝も兼ねるトップリーグタイトルが争われる。

2年連続サントリーか2年ぶりパナソニックか。ギタウvsバーンズの司令塔対決にも注目だ photos by Kenji Demura

2年連続サントリーか2年ぶりパナソニックか。ギタウvsバーンズの司令塔対決にも注目だ
photos by Kenji Demura

13日、東京・秩父宮ラグビー場で行われる決勝戦(14:15)でパナソニックが勝てば前身である三洋電機時代も含めて2年ぶり5度目、サントリーが勝てば2年連続5度目のトップリーグ制覇となる(日本選手権としてはパナソニックが勝てば6度目、サントリーが勝てば8度目の優勝となる)。

共に多くの日本代表、そして世界のトッププレーヤーを抱えるだけに、日本最高峰=世界レベルの熱戦となること請け合いと言っていいだろう。

ちなみに、今季のリーグ戦では、10月21日の第9節で対戦し、雨の中、21 – 10でパナソニックが勝利を収めている。
ただし、サントリーの沢木敬介監督が「自分たちがやろうとしていたゲームプランはできていた」と振り返った前半はサントリーが2トライを挙げて主導権を握る場面も多く、「チャンスを生かせなかった」(同監督)ことが響いたものの、サントリーに十分勝機があったのも確かだった。

パナソニックFL布巻峻介主将が「雨だったし、グラウンドを狭く使うラグビーになってしまったので、今度はもっとボールを動かしたい」と語るとおり、激しい雨が降りしきる中での対戦だった影響もあっただろうし、ファイナルでの再戦は3ヶ月前とは全く違う種類の試合になることは間違いないと言っていいだろう。

「パナソニックのディフェンスには空いているスペースがある。そこをどう突けるか」(サントリー沢木監督)

「もっとバチバチで」(パナソニック布巻主将)

準決勝のヤマハ発動機戦で完璧なタクト捌きを見せて42点差での快勝の立役者になったサントリーSOマット・ギタウに対して、パナソニックも大黒柱SOベリック・バーンズが先発復帰。
共に、かつて豪州代表として世界最高峰のプレーメイカーとの評価を受けていたスター選手同士だけに、2人のゲームコントロール力の優劣が勝敗にも影響することにもなりそうだ。

もちろん、セットプレーやブレイクダウンなどのコンタクトエリアの攻防など、日本ラグビーを牽引し続ける両雄による熱い頂点決戦が十分に堪能できる80分間となる。

また、同日の秩父宮での第1試合(11:30)は準決勝で敗れたトヨタ自動車とヤマハ発動機が3位の座を賭けて対戦。

両チームは今季の開幕ゲームで対戦し、こちらも豪雨の中、接戦を演じていることもあり(14−11でヤマハ発動機が勝利)、両チーム共にシーズンを通してのチームの成長ぶりを披露しつつ有終の美を飾りたいのは間違いないところ。
タイトルには届かなかったものの、優勝決定トーナメントで戦う権利を勝ち取った4強の一角としてプライドを賭けたラストバトルをみせてくれそうだ。

パナソニックFLポーコックの仕事ぶりも勝敗を分ける鍵に。サントリーFLスミス不在の影響は? photo by Kenji Demura

パナソニックFLポーコックの仕事ぶりも勝敗を分ける鍵に。サントリーFLスミス不在の影響は?
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なんと、“大阪ダービー”近鉄−NTTドコモで決着
13日ヤンマースタで自動降格回避へラストバトル

一方、頂点決戦が行われる13日、大阪・ヤンマースタジアム長居では、上位陣同士の対戦と同じくらいか、あるいはそれ以上の熱い試合になることも予想される13位決定トーナメントの2試合が予定されている。

第1試合(11:30)には、1週間前の同トーナメント第1節で敗れた近鉄ライナーズとNTTドコモレッドハリケーンズが登場。
この一戦で敗れた方が、最終成績で16位となり、来季のトップリーグからの自動降格が確定してしまうことになる。
まさに、“Win or die=勝つか、降格か”という瀬戸際に追い込まれた戦いとなるだけに、優勝を争うチーム以上のプレッシャーが双方にのしかかっていると言ってもいいだろう。

「(前節は)ペナルティが多かったので、そこは修正していく。アタッキングゾーンに入ってもターンオーバーで終わっていたので、ボールキープ率を上げたい」(近鉄HO樫本敦主将)

「勝ったらトップリーグに残れる、負けたら落ちる。それをモチベーションに全てを出し切る。セットプレーで圧倒して、ダイレクトプレーでプレッシャーをかけていく」(NTTドコモSOリアン・フィルヨーン ゲームキャプテン)

自動降格チームが大阪ダービーによって決まるという、関西のラグビーファンにとっては胃の痛くなるようなドキドキ感が続く80分間でもある。

リーグ戦で6勝を挙げながら自動降格のピンチを迎えるNTTドコモ。同4勝の近鉄との大阪ダービーを制するのは? photo by Kenji Demura

リーグ戦で6勝を挙げながら自動降格のピンチを迎えるNTTドコモ。同4勝の近鉄との大阪ダービーを制するのは?
photo by Kenji Demura

同日のヤンマースタ第2試合(14:00)では、前節で勝利を収め、自動降格回避を確定させたコカ・コーラレッドスパークスと宗像サニックスブルースが対戦。

両チームおよびNTTドコモ − 近鉄の勝者は、20日に予定される入替戦に回ることになり、実質的にはまだシーズンが続くだけに、最高の状態で絶対に負けられない1週間後の戦いを迎えるためにも、いい内容を見せて大阪で行われる九州(福岡)ダービーを制したいところ。

「開幕戦で負けているし、同じ九州のチーム。意地の張り合いになる」(コカ・コーラNO8山下昂大主将)

「ひとつ、ひとつ勝っていかないといけない立場。スクラムで優位に立って、勝ちにこだわっていきたい」(宗像サニックスHO星本泰憲ゲームキャプテン)

そして、優勝チーム、自動降格チームが決まっても、今季のトップリーグは終わらない。

翌14日には東京・秩父宮で5位決定戦である東芝ブレイブルーパス − 神戸製鋼コベルコスティーラーズ(14:00)、同じく7位決定戦のNECグリーンロケッツ – リコーブラックラムズ(11:30)の2試合、一方、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場では9、10位を決めるNTTコミュニケーションズシャイニングアークス − キヤノンイーグルス(14:00)、そして11、12位を決める豊田自動織機シャトルズ – クボタスピアーズ(11:30)の2試合がそれぞれ予定されている。

どのチームがどんな有終の美を飾るのか。是非とも各チームの今シーズンの成長ぶりを最終確認してもらいたい。

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