トップリーグ 2018-2019 weekly preview:第7節

神戸製鋼戦に8強入りを賭けるNEC。ここ数試合で見せている前に出るラグビーを貫き通せるか photo by Kenji Demura

神戸製鋼戦に8強入りを賭けるNEC。ここ数試合で見せている前に出るラグビーを貫き通せるか
photo by Kenji Demura

「8強」最終1枠を手にするのはNECかNTTコムか豊田自動織機か
日本代表プロテクトと外国籍選手枠拡大による各チームへの影響は?

text by Kenji Demura

8月31日の開幕から、わずかに7週間。ジャパンラグビー トップリーグ2018-2019は、早くもリーグ戦最終節を迎える。

レッド、ホワイト両カンファレスに分かれてリーグ戦を戦い、それぞれの1〜4位が1〜8位順位決定トーナメントへ、同5〜8位は9〜16位順位決定トーナメントに進むスタイルが取られている今季のトップリーグ(両トーナメントは12月に開催)。

すでに前節までに1〜8位決定トーナメント進出8チームのうち7チームが確定している。
最終節の結果如何で、「残り1枠=レッド4位」へ滑り込む可能性を残しているのはNECグリーンロケッツ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス、豊田自動織機シャトルズの3チーム。

当然ながら、このレッドカンファレンス4位争いの行方がどうなるかが、全8試合が20日土曜日に行われる最終節の最大の見どころとなると言っていいだろう。

6節終了時点での3チームの成績および今節の試合予定は以下のとおり。

NEC(総勝点14)3勝3敗 得失点差−3
NTTコム(総勝点14)2勝4敗 得失点差41
豊田自動織機(総勝点12)3勝3敗 得失点差−59

NTTコム−宗像サニックスブルース(東京・秩父宮ラグビー場=11:30)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ−豊田自動織機(愛知・パロマ瑞穂ラグビー場=13:00)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ−NEC(兵庫・ノエビアスタジアム神戸=13:00)

前記3チーム中、自力で1〜8位決定トーナメント進出を決められる可能性があるのはNEC。
NECとNTTコムは総勝点で並んでいるものの、勝利数でNECが上回っているため、NECが神戸製鋼戦で勝ち点5を挙げることができれば8強入りが確定する。

今季、唯一の無敗チームである神戸製鋼が相手となるだけに、NECにとっては厳しい試合になることは間違いないだろうが、5節でNTTコムに競り勝ち(34-31)、6節では日野レッドドルフィンズから勝点5を奪う(38-12)など、チーム状態が上がってきているのは間違いないところ。

ピーター・ラッセルヘッドコーチは「前に上がって、しっかり止めること」ができるようになったことでディフェンスからアタックへのいい流れができているのが好調の要因と分析するが、ここ3戦10トライ以上を挙げての大勝を続ける神戸製鋼のアタックに対しても前に出るディフェンスで止められるかどうか。
NECは2016—2017シーズンに神戸製鋼を破っており(38—24)、その時プレーした選手14人が今回もメンバー入り。いいイメージを持って“決戦”に臨める点はプラスだろう。

NTTコムは攻撃力を生かして宗像サニックスから勝点5を奪う戦いに持ち込みたい photo by Kenji Demura

NTTコムは攻撃力を生かして宗像サニックスから勝点5を奪う戦いに持ち込みたい
photo by Kenji Demura

キックオフ時刻はNTTコム−宗像サニックス戦が先行するため、NTTコムとしては、何としても先に勝利を収めてNECにプレッシャーをかけたいところ。
ここ2試合、3点差負け、2点差負けと惜敗続きのNTTコムだが、今季挙げた2勝はいずれもトライ数差が3以上でボーナスポイントをつけての勝利。
宗像サニックスに対しても、持ち前のアタック力を生かすかたちで勝点5を奪い、レッドカンファレンス4位以内へ大きく前進したい。

現在、レッド6位の豊田自動織機はNEC、NTTコムのいずれかが勝利を収めた時点で1〜8位決定トーナメント進出の可能性はなくなるが、まずはトヨタ自動車との豊田ダービーを制した上で、東京および神戸からの朗報に期待することになる。

熊谷ラグビー場こけら落としはパナソニック−キヤノン

今節は翌週26日にジャパンラグビーチャレンジマッチ2018 世界選抜戦が控えていることもあって、日本代表選手のプロテクト節となる。
そのため、外国籍選手の試合エントリー数およびオン・ザ・ピッチ数が通常とは異なるかたちで行われる。

プロテクト選手がいるチームの外国人枠が増やされることになるが、プロテクトされた選手の数に応じて増枠数も決まるため、9人にプロテクトがかかったパナソニック ワイルドナイツと同7人のサントリーサンゴリアスがそれぞれ「+3」枠となり、アジア枠を覗く外国籍の選手が同時に8人プレーできることになる(エントリーは9人)。

実際、パナソニックはラグビーワールドカップ2019用に改装された埼玉・県営熊谷ラグビー場のこけら落としでもあるキヤノンイーグルス戦(15:00)では、増枠を全て使うかたちでのメンバー登録を行っており、6節までのワイルドナイツとは大きく異なる個性を持ったチームとして埼玉のラグビータウンに姿を現すことになる。
多くの外国人選手に混じって、今季、東福岡高校から直接パナソニック入りした注目の福井翔太もリザーブメンバー入り。新装となった熊谷ラグビー場がトップリーグデビューの場所となりそうだ。

一方、「ウチは日本人を育てるチーム」(沢木敬介監督)というサントリーは日野戦(東京・秩父宮 14:00)で先発する外国籍選手は4人のみと、増枠は生かさないかたちでのメンバー構成でカンファレンス最終戦に臨む。
もちろん、こちらも日本代表組がいないことには変わりがなく、普段なかなか見ることができない日本人選手のプレーをじっくり堪能できる機会ともなる。

パナソニックを破って8強入りを確保したリコーはヤマハ発動機に対してどんなチャレンジを見せるか photo by Kenji Demura

パナソニックを破って8強入りを確保したリコーはヤマハ発動機に対してどんなチャレンジを見せるか
photo by Kenji Demura

今節の対戦で唯一、1〜8位決定トーナメント進出を決めているチーム同士の“前哨戦”となるのが大阪・万博記念競技場で行われるホワイト1位のヤマハ発動機ジュビロと同3位のリコーブラックラムズの対戦(13:00)。
ヤマハ発動機が今季唯一敗れたパナソニックに前節で勝利を収めたリコーという興味深い一戦は、12月に予定されている8強チームによる上位争いに直接的かつ間接的に大きな影響を与えそうだ。

現在ホワイト4位のクボタスピアーズは広島でのアウェー戦でコカ・コーラレッドスパークスと対戦(コカ・コーラ ボトラーズジャパン 広島スタジアム=14:00)。

前節で昇格後、初勝利を挙げたHonda HEATは地元・三重に東芝ブレイブルーパスを迎えてのホワイトカンファレンス最終戦となる(三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場=13:00)。

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