3節 マッチサマリー(東芝 73-7 NTTドコモ)

東芝 73-7 NTTドコモ

東芝ブレイブルーパス 73-7 NTTドコモレッドハリケーンズ
【week3/2011年11月12日(土) at 岩手・盛岡南公園球技場】

前々日の10日には、盛岡に初氷・初霜が降り初冬の声が聞こえはじめ、昨夜は雨と天気も心配されました。年に一度のトップリーグの試合を期待する岩手のラグビーファンの願いが通じたのか見事な快晴、気温18度ベストコンディション。午後2時微風の出てきたところ、NTTドコモレッドハリケーンズの向かい風のキックオフでスタート。東芝ブレイブルーパスはSOデイビッド・ヒルの確実なキックで中央ラインアウトまで戻し、なおもディフェンスでペナルティを得て、キックで前進。NTTドコモレッドハリケーンズ陣22m付近ラインアウトからモール、ラックと近場のアタックを繰り出し、さらにモールでインゴールになだれ込み、FLスティーブン・ベイツが先制トライ。ゴールは外れたものの、前半3分、早々に5-0とします。
仕切り直しのレッドハリケーンズのキックオフでしたが、キックで陣地を返して、なおもカウンターのディフェンスからペナルティを得てアタックするブレイブルーパス。FB吉田大樹がディフェンスラインを突破し、WTB伊藤真、HO湯原祐希と抜け出て、最後はW杯でも活躍した新人FLマイケル・リーチが中央を突破してトライ。SOヒルのゴールも決まり序盤5分で12-0とリードを広げます。

次々とアタックを繰り出すブレイブルーパスの全員ラグビーに対し、防戦一方となるレッドハリケーンズ。相手FLリーチのオフロードパスをインターセプトしてチャンスに転じるシーンもありましたが、パワーとスピードで、どの選手もアグレッシブに攻めてくるブレイブルーパスの前に、容易には相手ゴールまで至りません。片や、ブレイブルーパスは相手キックからカウンターをしかけて、WTB伊藤が大きくスワーブでディフェンスをかわして、さらにLO望月雄太がピックアップしてインゴールにトライ。SOヒルのゴールも決まり、13分に19-0とします。

レッドハリケーンズは、なんとかムードを変えようと、次のキックオフを走りこんでタップしてチャンスをつくりますが、ブレイブルーパスの集中したディフェンスにどうしてもゲインすることができません。しぶとく守り抜き敵陣22mに入り、マイボールスクラムをプッシュしてチャンスとするや、次のラックで相手ペナルティからFLリーチが速攻で攻め、最後はPR久保知大がサポートしトライ。ゴールは外れましたが、ブレイブルーパスが4本目のトライで、25分に24-0と早くもボーナス点をゲットしました。
フィジカル、コンセントレーションで前節とは見違えるようなブレイブルーパスは、その後も、28分、31分とトライ、ゴールを重ね、38-0で前半終了。

折り返して後半、なんとか自分の形に持ち込んで一矢報いたいレッドハリケーンズでしたが、ブレイブルーパスにキックオフの後のディフェンスからボールをもぎ取られ、ターンオーバーされます。レッドハリケーンズの果敢な突進も、孤立するところを狙いすましてターンオーバーにかかる完全なブレイブルーパスパターンです。ゴール前まで攻め込まれても、粘りに粘るレッドハリケーンズでしたが、キャリーバックからのスクラムを押し込まれ、10分、後半最初のトライはブレイブルーパスに許してしまいます。後半10分、45-0。
続くキックオフからも、ブレイブルーパスの猛攻は止まず、ゴール前のピンチに幾度も体をはって押しとどめるレッドハリケーンズでしたが、ブレイブルーパスSOヒルがギャップをついてトライ。ゴールも決めて後半20分に52-0となります。
さらに続けざまに、相手ゴール前のペナルティから速攻でトライを追加したブレイブルーパスは、後半25分59-0と一方的に引き離します。

万事休すのレッドハリケーンズかと思われたところ、食い下がるレッドハリケーンズ。相手の連続攻撃でファンブルしたボールをインターセプト。CTB宮里尚樹からCTB渡辺義己とつないで、一矢報いたトライ。SO伊藤宏明のゴールも決まり32分59-7となります。
一本許したブレイブルーパスでしたが、どこまでも追撃の手を緩めずに、34分、38分と追加トライを挙げて73-7となったところでノーサイドとなりました。
近年最高の入場者約4,000人で埋まったスタンドからは、トップリーグ王者を狙う強い東芝ブレイブルーパスに、トップリーグ初陣として最後まで諦めず勇敢に挑んだNTTドコモレッドハリケーンズに対しても称賛の拍手が送られました。MVPには見事なゲームコントロールとトライも獲ったSOヒルが受賞しました。
東芝 73-7 NTTドコモ
会見ダイジェスト
NTTドコモレッドハリケーンズ
高野ヘッドコーチ(左)、平瀬キャプテン
高野ヘッドコーチ(左)、平瀬キャプテン


◎NTTドコモレッドハリケーンズ
○高野一成ヘッドコーチ
「今日は岩手のラグビーファンのために『楽しいラグビーを見せる』ことを心掛けました。ファーストディフェンスで東芝さんが一枚も二枚もうちよりうまかったと思います。
最初のブレイクダウンで後手になった分、焦りが生まれ、最後まで引きずり自分達のラグビーができなかったと思います」

○平瀬健志キャプテン
「東芝さんのフィジカルが予想以上に強く、全てにおいてトップリーグでの戦いの厳しさを実感しました」

──今日のゲームプランは?
○高野ヘッドコーチ
「まず第一にエリアマネジメントを確実にやる事。そして1対1のディフェンスをしっかりやる事でした。しかしさっきも言いましたが、ファーストディフェンスを突破されると一気に攻め込まれる展開になってしまいました。東芝さんは一人一人のコンタクトレベルが高いです。どんどん前に来られるので立て直す余裕もなく焦ってしまい、何もできなくなってしまいました」

──トップリーグ初陣としてこの3節を戦っての感想は?
○高野ヘッドコーチ
「1人1人のフィジカルの強さが昨年までのトップウエストの時と全く違います。
連戦を続けながら常にベストパフォーマンスを出し続けるモチベーション。ベストメンバーを組める選手層の厚さ・チーム力が必要だと思います。これからまだまだ試合が続くのでフィジカルで負けないよう鍛錬し、ファーストコンタクト・ブレイクダウンでしっかりと競り合いたいと思います」

東芝 73-7 NTTドコモ
東芝ブレイブルーパス
和田監督(左)、豊田キャプテン
和田監督(左)、豊田キャプテン


◎東芝ブレイブルーパス
○和田賢一監督
「東日本大震災の被害者・被災者の皆さんの前で東芝ラグビーを見せたいと思いながら、この盛岡でゲームさせて頂いた事に深く感謝いたします。選手1人1人が自分と向き合いながら80分間ゲームをしてくれたと思います」

○豊田真人キャプテン
「今日はシンプルに前に出る事。ブレイクダウンの入り方を修正して、ボールをダイナミックに動かす事ができた80分だったと思います」

──先ほど和田監督の言葉にもありました震災の地岩手・盛岡で試合する事の意義、特別な思いがあったのでしょうか?
○豊田キャプテン
「僕自身もそうですが、チーム全員が被災地での試合を特別なものと考えていました。『東芝ラグビーとは何か。東芝ラグビーを見せたい』と自問自答しながら出た答えが、『前に出る事』でした。前に出る事を意識してブレイクダウンしていました」
○和田監督
「『前に出る事』が自分達東芝らしいラグビーだと思います。今日は選手皆がその事を意識してやってくれたと思います。評価できる試合だったと思います」
○豊田キャプテン
「震災からずっと被災地に来て何かしたいと思っていました。今日盛岡に来られて東芝らしいラグビーを多くのラグビーファンに見せる事ができて良かったと思います」

──ワールドカップ日本代表組がいない時、戻って来てからとキャプテンとしてチームをまとめるために苦労はしませんでしたか?
○豊田キャプテン
「代表選手がいなくても東芝の目指すラグビーは決まっているので迷いなく練習できました。逆に代表4名がW杯帰国後すぐ鹿児島合宿に参加してくれて助かりました。彼らのほうから積極的にチームに溶け込もうとしてくれましたから大丈夫でした」

──次戦に向けての修正点、抱負をお願いします。
○和田監督
「修正点はメンタルの部分です。試合の前半最後のところ、後半の立ち上がりのところがダレるというか集中力が欠ける点があります。80分間戦いきる強い意識が必要です。
来週も戦い続ける事を意識して頑張ります。また来年も盛岡で試合をしたいと思います」

東芝 73-7 NTTドコモ

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