ファーストステージ第2節 マッチサマリー(東芝 23-16 NTTコミュニケーションズ)

東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス
23 合計 16
13 前半 3
10 後半 13
4 勝点 1
9 総勝点 5
NTTコミュニケーションズ
シャイニングアークス
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

東芝ブレイブルーパス 23-16 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

ファーストステージ・第2節 プールA
2014年8月29日(金)19:30キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

開幕好スタートを切った東芝ブレイブルーパスがこの日は苦戦。トライ数イーブン、2ゴールと1PG分の差で、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスに辛勝した。

「生ビール飲みながら」のナイトゲームには、やや肌寒い程の気温。東芝CTBリチャード・カフイのキックオフ。タックルやラインブレイク力に長け、CTB/WTB両方でNZ代表キャップを持つカフイは今シーズン、ドロップアウトやタッチキックなど、プレースキック以外のキッカーも担っており、チームの戦略とより結び付いた存在となっている。東芝は、前節先発からLO大野均を中田英里と入れ替えただけの布陣。一方のNTTコムは、トップイースト時代から昨シーズンまで君島良夫だった「10番」を着ることになったSOエルトン・ヤンチースを始め、今シーズンから加入した選手も少なくないラインナップ。

多彩なキッキングスキルを持つ南アフリカ代表2キャップのレフティ、ヤンチースはさっそく立ち上がりの4分、50m超のロングPGを狙うも失敗。2つめは確実に決めたが、22分にもPGを外すなど、この日はややキックの精度を欠いた。後半25分、ヤンチースを交代させた後のキッカーを「考えてなかった」というCTB溝口裕哉主将自らが蹴った後半の1トライ目のゴールや、最後WTB鶴田が務めた2つ目のゴールも外れ、結果的にはこれらキックの成否が勝敗に影響を与えることとなってしまった。

しかしそれ以外は、NTTコムが思い切ったタックルで東芝の選手を綺麗に倒し、攻めてはしばしば東芝ディフェンスをブレイクしてチャンスメイクする場面が見られた。スクラムでは東芝FWの圧力に後退したり反則を取られたりする事が多かったが、それも右プロップを入れ替えた後半は改善した。試合終盤に2トライを返し、「スプラッシュナイト」(スコアの度に東スタンドで水しぶきが吹き出すこの日の秩父宮イベント)にスタンドは最も盛り上がりを見せた。試合後、新任のロブ・ペニーヘッドコーチは東芝相手に奮闘したチームを「誇りに思う」と話し、溝口主将も「東芝相手にあそこまでやれた事は自信になる」として、収穫の多い試合だったようだ。

さて東芝だが、序盤のPG戦で、相手が3つ狙って2本失敗する中、SH小川高廣は狙った2本とも決めるなどして、前節の開幕戦に続き、攻め急がず手堅くスコアを重ねた立ち上がり。31分には、敵陣22m内で組まれたスクラムで圧力をかけ、NTTコムFWのコラプシングやオフサイドの反則を誘い、最後ゴール直前のスクラムでペナルティトライを得た。

小川はこの後のゴールも決め、足場が万全ではないコンディションの中、前半はまずまずの戦いぶりだった。しかし続くトライは、後半22分にSO廣瀬俊朗が敵陣でのラック連取後、うまく裏に出てあげたものだけ。「勝ち点(ボーナスポイント)が欲しい試合だった」という冨岡鉄平ヘッドコーチだが、「相手もいい準備をしてきていたという事。(そういう相手に)勝てた事を喜んでいる」と試合後に振り返った。東芝は2つ目のトライをあげた後、NTTコムの猛攻を受け2トライを献上したが、辛くも7点差で逃げ切った。
(米田)


● 記者会見ダイジェスト ●

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス


ペニー ヘッドコーチ(右)、溝口キャプテン

ロブ・ペニー ヘッドコーチ

「こんばんは(と、日本語で)。選手、コーチスタッフを誇りに思います。先週から、NTTにとっては短い1週間でした。勝てれば一番良かったのですが、残念です」

──スターターのセットプレイが良くなかったのでは?

「セットピースについては、多くの週を練習に充ててきました。スクラムについてはもう少し強くできたと思います。東芝さんはFWの強いチームですから、ハーフタイムに、自分たちのプレー選択を速くするよう指示しました」

──レレィマフィ選手の起用と、評価は?

「世界のどこでも通用するレベルの選手です。NTTのチームで良かったと思いました(笑)」

──今日は、同じ形でゲインできたが?

「自分たちの戦術で、説明するのは少しはばかられるが(笑)、スペースを突いていくアタックで、ディフェンスをできるだけ少なくして、ラインブレイクした時にサポートして攻めていこうと意図していました」

──トップリーグで2試合、手応えは?

「東芝さんはパナソニックさんの試合後で、NTTコムにも勝てると臨んできたと思います。我々の力を測るのに、ちょうど良いゲームでした。大きな経験になりました。先週より、今週。今週より、来週。チューンアップして、少しずつ進んでいきたいと思います」

溝口裕哉キャプテン

「新しいチームになり、チャレンジではなく、勝つつもりで臨みました。正直、残念です。ただ、これを自分たちの自信にして、次からの試合に向かっていきたいと思います」

──できたところと、できなかったところは?

「我々がやろうとしたことはビッグプレーでなく、ある程度通用した部分もありました。ポイントは、前半、東芝さんの小川選手がペナルティゴールを決めてきたのに対し、こちらが決めきれなかったところです。また、単純にセットで力負けした部分もありました」

──ヤンチース選手が抜けた後のキッカーは?

「危惧していた通りの結果になりました(笑)。エルトンがいなくなった後、僕も代わっていたら、佐藤選手が蹴る手はずでしたが、僕が残っていたので、どうしようかなと。そこはキャプテンとして、決めといてやろうと思ったのですが」


東芝ブレイブルーパス


富岡ヘッドコーチ(右)、大島ゲームキャプテン

冨岡鉄平ヘッドコーチ

「勿論、勝ち点5点が欲しい試合でした。選手にも言ったのは、先週のパナソニックさんにはしっかり相手も強いとリスペクトし、チャレンジするモチベーションにしたのですが、今週も、そうしなければと。しかし、大変難しい試合になると危惧していたとおりになりました。相手のヤンチース選手を止めて、良い突破もあり、選手は良いモチベーションで戦ってくれました。非常に良い試合だったと思います。相手も良いメンタリティでこの日を迎えたのだと思います。非常に良いチームでした。今日の勝利は、しっかり皆で喜びたいと思います。ただ、まだまだのプレーやミスもあったので、修正して次の試合に備えたいと思います」

──負ける確率としては考えなかったか?

「このパターンは負けのパターンではないので、普通に見ていましたが、当然、1試合1試合での成長を選手が感じなければいけません。大島が言った『勝って反省できる』は使い古された言葉ですが、もっと大きい収穫が欲しかったのは事実です。全体にモチベーションを上げていかなくては。点差が開いて、10次攻撃くらいしつこくトライを獲って、4トライ、5トライの展開がベストでした。しかし、相手も西橋選手やロス選手を始め、素晴らしい選手がそろっているし、そういう意味で、どこのチームも簡単な相手ではないということです」

──キックが多い攻めだったが、コンディションのせいか?

「キックはちょっと企業秘密なので(笑)。タイミングが全部早かったです。キックの質とやりたいことの両立が肝心です。指導陣は上から見ていて、言いたいことを言いますが、それにしては良いところに蹴ってくれていたと思います。今日は自滅が多く、もっとうまくできたと悔しい思いもありますが、15次攻撃など、この時期は続けられません。中盤以降、すごく濡れたボールになるのは日本特有です。来週もこうなりますので、そこをしっかりやっていきたいと思います」

──スクラムの評価は?

「僕も素晴らしいと思います。先週もトップリーグのトップのフロントローをコントロールできました。チームを安定させてくれました。常々、東芝の大事なところはFWのセットプレイだと思っています」

──大野選手は?

「次は行くんじゃないかと思います。今日は、若い中田選手には良いチャンスになったと思います」

大島修平ゲームキャプテン

「先週、パナソニックさんに良いゲームして、勝てたのですが、今週はこういうゲームになると懸念していたとおりの試合になり、しっかり深く反省しなければいけません。勝って反省できるのが一番の収穫でした。もっともっと直すべきところを直し、次の試合に向けてやっていきたいと思います」

──良くなかった点は?

「継続がうまく行かなかったところです。自分たちのミスで、練習どおりでないゲームにしてしまいました。僕自身もゲームを壊してしまい、反省しています。15人、皆がしっかり反省してくれていると思います。1つ1つの良いプレーを積み重ねていきたいと思います」







マン・オブ・ザ・マッチは、東芝ブレイブルーパスのSH小川高廣選手

RELATED NEWS