ファーストステージ第2節 マッチサマリー(パナソニック 47-22 クボタ)

パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
47 合計 22
35 前半 3
12 後半 19
5 勝点 0
5 総勝点 0
クボタ
スピアーズ
クボタスピアーズ

パナソニック ワイルドナイツ 47-22 クボタスピアーズ

ファーストステージ・第2節 プールA
2014年8月30日(土)16:40キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

前節の真夏の天候から打って変わって、少し秋の気配を感じる、かなりプレーのしやすい環境となった。第一節では勝ち点を取れなかった両チーム。パナソニックは連覇に向けてこれ以上のつまずきは許されない。一方、昨年トップリーグに再昇格して9位と躍進したクボタ、さらに上位を目指すために早く勝利がほしいところ。

両チームの気持ちの表れか、序盤から激しく点の動く試合となった。先制したのはパナソニック。先蹴りのキックオフで攻め込んで連続展開、クボタのノットロールアウェイを誘って開始2分、左中間40mと長めのPGをSOバーンズがきっちりと決める。3-0。

直後のクボタのキックオフ、直前のパナソニックの攻撃と同じような展開でノットロールアウェイを誘い、5分、正面20mのPGを決めて3-3とあっさりと追いつく。

しかしここからパナソニックのトライラッシュが始まる。8分にPGを再び決めて6-3とリードした直後、ハーフウェイライン付近でボールを受けたHO堀江が巧みなゴロパント。これをWTB山田がタッチライン際でキャッチして内についた堀江にすぐに戻し、ここに走り込んだのがPR河野だ。22m付近でパスを受けて快足を飛ばして走り切り、11分左中間にトライ(ゴール成功)、13-3。

20分にはクボタ陣ゴール直前右隅に攻め込んだところでスクラムコラプシングの反則を誘う。ここでパナソニックはゴールを狙わずスクラムを選択。左展開してSOバーンズがゴールに迫ったところでラック。すかさずSH田中がサイドに潜って右中間にトライ。ここで珍しいことが。キッカーを務めるSOバーンズが負傷して、CTB林にキッカーが変わるが時間切れとなりコンバートを狙うことができなかった。18-3。このとき右目あたりを打撲したSOバーンズが出血による一時交替となるが、結局ゲームに戻ることができなかった。絶対的中心選手だけに、負傷の程度による今後のゲームへの影響が気になるところ。

そしてウォーターブレイク直後の26分、左中間22mライン内に入ったところでのスクラムから左右に振って、最後はHO堀江のクイックパスにいい角度で走り込んだFB笹倉が突破、中央まで回り込んでトライ(ゴール成功)。25-3と突き放す。

36分にクボタゴールまで10mの左ラインアウトからのモールを押し切ってLOヒーナンがトライ(ゴール失敗)。30-3とした後、前半40分を告げるホーンが鳴った直後、パナソニック陣10mライン付近でクボタがノットロールアウェイ。そのまま蹴り出さずにSH田中が電光石火のクイックタップから果敢に攻め込む。ここでまたWTB山田、HO堀江とつなぎクボタゴールまで15m左側でFL西原に渡ったところでラック。ここでクボタがまたもやたまらずノットロールアウェイ。ここでもSH田中のクイックタップで前進してできたラックから右に大きく展開、WTB北川がゴール前タッチライン際に迫ったところで、この日先発のベテランCTB霜村にリターンパス(霜村は一度パスを飛ばされた後に忠実に内側にフォローしていた)。そのままゴールラインを突き破って右隅にトライ(ゴール失敗)、35-3と大きくリードして前半終了。クボタは5分のPG以降攻めてはパスミス、守ってもタックルミスが多く、全く良いところが無かった。

しかしながら後半先制したのはクボタだった。5分、ハーフウェイライン付近でPKを得るとSH茂木がクイックタップ。10mライン付近でできたラックから左展開してCTBトエアバが大幅ゲイン、惜しくもその後のパスは繋がらなかったものの、そこでできたラックからSO立川がパスダミー、ステップを使ってゴール目前まで迫ったところでラック。最後はCTBトエアバが左中間に仕留め、クボタ今シーズン初のトライ(ゴール失敗)。35-8。

パナソニックも黙ってはいない。クボタゴール前5mまで攻め込むとまたもやクボタは反則、狙わずFL劉が作ったラックサイドを後半早々に代わって入っていたSH内田がついてほぼ中央まで回り込んで9分にトライ(ゴール失敗)。40-8と突き放す。

直後のキックオフから今度はクボタが攻め続けて、22mに入ったところでPKからクイックタップ。ラックサイドをしつこく攻めて、一度はターンオーバーを許しかけたものの、その後はミスせず、最後は直前に入ったばかりのCTB森脇が右サイドから左サイドへの見事な移動で、13分左中間にトライ(ゴール成功)。40-15とじわじわと迫る。

24分、先ほど素晴らしいトライをあげたばかりのクボタCTB森脇がよろしくない淡白なプレー。自陣ゴール前5mでグラバーキックをキャッチしたところ、パナソニックWTB北川が目前に迫っていたためやむを得ずタッチラインの外に逃れるが、そのボールをあっさりと捨ててしまう。それを見逃さずボールを拾った北川がすかさずクイックスロー、ここに走り込んだPR途中出場川俣が右中間にトライ(ゴール成功)、47-15とする。このあたりのプレーも上位チームと下位チームの意識の差なのかもしれない。

これ以降は一進一退が続き、最後は試合終了直前パナソニックゴール前5mでクボタ投入のラインアウト。クリーンキャッチはできなかったものの、ラックサイドをFLフィナウが強引に突破、後半40分を告げるホーンと同時にグラウンディング、SO立川が難しい角度からのゴールを決めたところで試合終了のホイッスル。47-22の大差でパナソニックが今シーズン初勝利をあげた。マン・オブ・ザ・マッチは快足を飛ばしてこの試合最初にトライをしたPR河野。昨年まで不動のPRとして活躍した相馬朋和スクラムコーチの後継を高らかに宣言した。

前半は前節の試合に引き続きこの試合もノートライで終わるのかと思わせるような不出来だったクボタ。後半は別人のように攻めて、後半だけ見ればトライ数、得点共にリードしている。これはクイックタップなどから積極的に攻めた結果であることは明らか。この積極性を試合開始早々から出せることを期待したい。また、この試合確率のかなり低かったラインアウトも早急な改善が必要。

一方のパナソニック。ディーンズ監督の試合後のコメント「前半は良し、後半は良くない、試合に勝ったことは嬉しく思う。」というコメント通りの試合だった。大差で勝利したものの後味は今一つといったところか。連覇を遂げるためには、試合開始から終了まで通して安定した力を出していかなければならない。

シーズンは始まったばかり、両チームともに多くの課題が明確になっているところ。今後も続く激戦に向けてしっかりと一つ一つ修正していくことが必要である。
(澤村 豊)


● 記者会見ダイジェスト ●

クボタスピアーズ


石倉監督(右)、立川キャプテン

石倉俊二監督

「まずは、協会関係者へお礼を申し上げますとともに、たくさんの応援の皆様に感謝申し上げます。本当に嬉しく思っています。選手は何もできないで終わった試合結果でした。チャンピオンチームにアタックしようと臨みましたが、前半、パナソニックさんのアタックが厳しく、個の強さを見せつけられました。我々もしっかりディフェンスを用意していましたが、前半はゲームをさせてもらえませんでした。ラストの15分は少しずつクボタらしいプレーができて、意地を見せてくれて、激しいディフェンスもできていました。最初からやれればと感じています。毎週、毎週、厳しい試合が続きますが、選手は頑張ってくれると思っています」

──先週の反省からどんな練習を?

「先週も、ディフェンスは、そこそこできたと思います。アタック、セットプレイで崩されたので、中盤からキックを使いながらアタックを修正してきました」

──入りの部分に問題は?

「今週も少し硬かったかもしれません。ただ、1週間の準備としてクボタらしさは少し出せたのかなと思います。来週につながります」

──今週トップリーグデビュー選手のパフォーマンスは?

「田村、田中選手ですね。結果的に、田村選手はディフェンスできて、ボールを持って前に出ました。これから、さらに経験を付けてもらいたいです。デビューとしては良かったと思います。これから壁にぶち当たるでしょうが、思い切りの良さを大事にしていってもらいたいです」

立川直道キャプテン

「今日の試合はありがとうございました。先週、自分たちのラグビーができず、切り替えて臨みましたが、終始、パナソニックさんのラグビーが厳しく、何もできませんでした。後半は自分たちのプレーを出せたかと思います。次の試合から頑張っていきたいと思います」

──分析以上だったところは?

「パナソニックさんは、アタックで一人一人のランナーが余裕をもっていて、内にも外にもサポートがいて、うまくかわされました」

──セットプレイの印象は?

「スクラムもラインアウトもかなり準備してきましたが、ラインアウトのミスがあり、スクラムも安定した球出しができませんでした」

──前半と後半、何が変わったのか?

「まず、ボールを持っている時間が長くなり、敵陣にもいたことが違います。うちの自慢のフロント3にボールが回れば、ああいうふうにうまく行きます。前半は守りながらペナルティをしてしまったが、後半は我慢して、ディフェンスできました」


パナソニック ワイルドナイツ


ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「前半は良かったが、後半は良くない試合でした。だが、勝ったことは嬉しく思います。これから、良くすべきところも出た試合だったと思います」

──開幕戦はスクラムが良くなかったが?

「河野は進化してきています。彼は経験を積むことができて良かったと思います。これまで、トップリーグの経験のない谷田部もパスして、良かったです。今日のセットピースは良かったです。今日は、もちろん、クボタさんのフィジカルの力が激しく、プレッシャーがかかりましたが、ポジティブにとらえていこうと思います」

──日本での初勝利だったが?

「ライト(と、一言)。この前の試合の時にも言いましたが、点でチームを見ようとは思っていません。長いシーズンです。今日の勝ちは意味がありますが、これを続けていくことで、目指すものが獲れるチャンスが来ると思います」

──笹倉選手のSO起用は?

「自分たちのやりたいラグビーに合った選手です。良いステップも持っているし、ハンドリングも良く、良いパスを放れる選手です」

──この1週間のトレーニングで注意したことは?

「たくさんの改善すべき点がありました。まず、39点取られるディフェンスはパナソニックのクオリティではありません。今日は良くなってきました。プラスして、ゲームの中でのコンテストが良くなかったが、その部分は良くなりました。常に上を向いていきたいと思います」

──トリッキーなプレーが前半見られたが?

「驚いたね(笑)。(横からキャプテンが『すいません、勝手にしました。ハーフタイムに怒られました(苦笑)』と、謝罪)」

堀江翔太キャプテン

「お疲れ様です。今日の試合はこの前よりも良かったと思います。勝ったことは喜びたいです。個人的には抜かれたところがまだあり、しっかりすべき点がまだあります。もっとよくなるために、次の試合も頑張っていきたいと思います」

──先週と比べて?

「一番変わったのは、僕自身がロビーさんのやりたいラグビーを理解してきたことです。この間の試合は、どうすべきか迷う部分がありました。内で頑張ってくれた選手がいて、残り過ぎた選手もいて、もう少しバランスとってやるべきだした。アタックももう少し動きたいと思いました」

──ボールキャリアーが1チャンネルの所をブレイクした形が多かったが?

「この形というわけでなく、前から、ハーフの所を狙っていました。状況に応じて1チャンネルも、外もしっかり速く判断しようとやってきました」

──ディフェンスは?

「個人的には1対1のところで、不安があるので、もう少し練習したいと思います。全員で、いっぺんに前へ出るなら出る、流すなら流す、しっかり揃えたいです。ファーストフェイズから、5次くらいまで声を出していないので、そこも修正したいと思います」





マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ3番、河野悠輝選手

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