ファーストステージ第2節 マッチサマリー(キヤノン 33-21 リコー)

キヤノンイーグルス
キヤノンイーグルス
33 合計 21
26 前半 16
7 後半 5
5 勝点 0
6 総勝点 1
リコーブラックラムズ
リコーブラックラムズ

キヤノンイーグルス 33-21 リコーブラックラムズ

ファーストステージ・第2節 プールB
2014年8月30日(土)19:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

前節、僅差で敗れている両チームにとっては共に負けられない一戦。
試合開始前には、両チームのチームカラーをイメージした 「赤の武田軍(キヤノン)」、「黒の上杉軍(リコー)に仕立て、"現代版 川中島の合戦"と称した演出が行われ、応援対決、カレー販売対決、そしてピッチ上での3本決戦となった。
半袖では肌寒い気温ではあったが、10,000人を超す両チームの声援の熱気に包まれキヤノンのキックオフで試合が始まった。

開始早々は、両チームとも相手の出方を見ながらのキックの応酬が続く展開、最初に口火を切ったのはリコーブラックラムズ。前半3分、キヤノンのオフサイドで得た約45mのPGを、FBピータース・ダニエルが確実に決め0-3と先制すると、7分、21分と相手の反則で得た約40mのPGもダニエルが成功し点を加える。更に18分には相手ゴール前のラインアウトからモールで押し込み、最後はLOロトアヘア・ポヒヴァ大和が右中間にトライ、ダニエルがゴールを決め7-16とする。

一方、前半10分にゴール前のラインアウト後のモールからFLアダム・トムソンが左サイドを抜け出しトライ(ゴールも成功)した以降、なかなかリズムに乗り切れないキヤノンイーグルスも、キックを使ってリコー陣へ攻め込み、ブレイクダウンで徐々にプレッシャーを掛けていく。
23分にはゴール前のラインアウトからモールで一気に押し込み、トムソンが左隅にトライ(ゴール成功)。27分にも相手ゴール前ラインアウトから、トムソンが相手ディフェンスを押し切り、この日ハットトリックとなるトライを奪い(ゴール失敗)19-16と逆転。
更に36分にも相手陣22m付近のラックからBKに展開。SOカラム・ブルースからCTBティム・ベネット、三友良平へとパスが繋がり、最後はFB橋野皓介が相手のタックルを受けながら右中間にトライ(ゴール成功)。26-16と差を広げる。

リコーブラックラムズも、前半終了間際に相手反則によりペナルティーのチャンスを得たが、ここはPGを狙わずラインアウトを選択。積極的にトライを狙いに行くもハンドリングミスで前半が終了。

後半はリコーブラックラムズのキックオフで再開、追加点はキヤノンイーグルス。
開始6分、相手陣10m付近からBKに展開。ベネットが相手ディフェンスをうまく交わし、リターンパスのこぼれ球をトムソンがうまく足に掛けたボールがインゴールの方向へ転がり、これをベネットと相手ディフェンスのWTB小松大祐主将が同時にグラウンディング。TMO判定の結果、ベネットのグラウンディングが認められトライ(ゴール成功)。33-16と突き放す。

リコーブラックラムズもブレイクダウンからのフェイズを重ね、相手ゴール前に何度も攻め込むも、キヤノンイーグルスの集中力を切らさない堅いディフェンスに食い止められ、なかなか追加点が奪えない展開が続いていたが29分、相手陣10m付近のラックから、途中出場のLO柳川大樹が相手ディフェンスの隙を突き、そのまま右中間にトライ(ゴール失敗)33-21と詰め寄る。
試合終了間際にも、怒涛の攻撃でキヤノンゴール前へ攻め込むも、ハンドリングミスで笛が鳴ったところでノーサイド。

今季初勝利のキヤノンイーグルスは4トライ以上のボーナスポイントを含む勝点5(総勝点6)を獲得。試合後の記者会見で永友洋司監督は『相手に先制され傾いた流れを(ベテランとして)リーダーシップを発揮し、チームを盛り上げてくれた』と新戦力の菊谷崇選手を称えた。
一方、今季連敗スタートとなってしまったリコーブラックラムズの神鳥裕之監督は、『セットプレーで相手にプレッシャーを掛けられ思うようなプレーができなかった。次戦に向け気持ちを切り替えていきたい』と次戦(近鉄ライナーズ)への熱い思いを語った。
尚、応援対決、カレー販売対決は、共に僅差でリコーブラックラムズに軍配が上がった。
(橋本光一)


● 記者会見ダイジェスト ●

リコーブラックラムズ


神鳥監督(右)、小松キャプテン

神鳥裕之監督

「本日はどうもありがとうございました。キヤノンさんとの試合は、いつも盛り上がって、リコーだけでなくキヤノンさんの応援の方も大勢いらっしゃって、その中でできて嬉しかったです。去年は悔しい敗戦でしたので、その悔しさをぶつけたのですが、セットピースの所でプレッシャーを感じて、思うようにゲームコントロールできなかったのが敗因です。下を向いている時間はないので、次の近鉄戦に向けて頑張っていきたいと思います」

──前節の惜しい試合からの修正点は?

「特にセットピースです。神戸製鋼戦で苦戦しましたので、ディフェンス、モールディフェンスを重点的に練習しましたが、完全に修正しきれていませんでした。スクラムは良くやってくれましたし、ラインアウトも良かったと思います」

小松大祐キャプテン

「今日の試合は両チームのファンの方の応援で、素晴らしい試合でした。感謝しています。前半の入りは素晴らしく、自分たちのペースをつかみかけていたのですが、相手の勢いが上回っていました。後半、修正したが、チャンスで相手のリアクションスピードが上回っていました。次の試合に向けて、しっかりやっていきたいと思います」

──相手が同業だから、職場の応援もあったのでは?

「こういう形は今年で3回目ですが、年々、ファン、会社のサポートが大きくなっていると感じています。そこで勝利をプレゼントしたかったのですが、できなかったので、絶対に来週は勝ちたいと思います」


キヤノンイーグルス


永友監督(右)、和田キャプテン

永友洋司監督

「今日はありがとうございます。たくさんのファンの方が来てくださって、両チームとも幸せでした。わずかな差でした。ボールを持っていないところで、どれだけ自分と戦えるか、自分自身に負けないかと伝えたが、選手が実践してくれました。グラウンドに立っているのは赤い選手が多かったように見えたほどです」

──開幕節での反省は?

「トヨタさんの動きは良かったが、こちらのリアクションのスピードや反応が遅かったと思います。ラグビーはボールを持っていない時間が90~95%です。選手はコンタクトの時以外は自分との闘いです。フィットネスはどこのチームもやっているので、意識が大切とやってきました」

──競争や数値での評価は?

「この試合に限らず、日本代表もGPS数値を測っています。うちも走行距離は出ているが、若い選手が多く、どこを生かしていくかが大切です。ラグビーではうちのチームが初めて計測しましたが、結局、走るかどうかは自分が決めること。一歩目、二歩目が大事で、ただ、走れと言っても難しいです。そこの工夫は必要です」

──ベネット選手は?

「去年もずっと13番に固定しています。柱として使っています。SOがいないとき、ティムにカバーしてもらいたいと思っていますし、ラインブレイクの力がある選手です。日本代表ではトレーニング生として、エディさんから、非常に良い刺激を受けていると思います」

──菊谷選手は?

「今日も、前半獲られ、再逆転もされたところで何とか勝てたのは、和田たちの成長もありますが、一度相手に傾きかけた流れを引き戻すことのできる彼の力だと思います」

──来週は因縁の対決だが?(対サントリーサンゴリアス)

「小野澤選手の存在感は大きいし、出場もあるかもしれません。彼も2015がターゲットですので。ただ、少し酷使されていたので、休ませたい気持ちもあります。彼も、妙に張り切ってしまうところがありますので」

和田拓キャプテン

「こんばんは。本当に多くのお客様の前で試合できて、幸せです。アップの時からあんなにいてくださって、そこで勝利できて良かったです。今日はリコーさんより我慢できたのが勝因です。トヨタ自動車戦では我慢できなかったのですが、要所、要所で今日はできていました。まだ2戦目ですので、今日の勝利は喜んで、次のサントリー戦に向けてやっていきたいと思います」

──選手側の練習意図の消化は?

「この前の試合は攻守の切り替えがうまくなかったこともあって、全員共通認識を持って、少しずつ全体の仕事量が増えてきています。今日も声をかけあって、エナジーもありました。ボールを持っていない時の一歩が大事です」

──菊谷選手は?

「菊谷さんがいることによって、チームに芯が通ったと思います。円陣を組んでいても、深呼吸しようとか、的確に重い言葉を言って下さいます」






マン・オブ・ザ・マッチはキヤノンイーグルスFB橋野皓介選手




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