ファーストステージ第3節 マッチサマリー(東芝 18-23 クボタ)

東芝ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス
18 合計 23
12 前半 10
6 後半 13
1 勝点 4
10 総勝点 4
クボタスピアーズ
クボタスピアーズ

東芝ブレイブルーパス 18-23 クボタスピアーズ

ファーストステージ・第3節 プールA
2014年9月6日(土)19:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

クボタフィフティーン80分間集中力切らさず、対東芝戦11年ぶりのうれしい金星

第2節まで2戦2勝で、今年もトップリーグチャンピオンも十分狙える力を示している東芝。これに対して2試合まだ白星がないクボタ。試合前には、東芝に対してクボタがどの程度チャレンジできるかといった予想が多かったが、クボタのフィフティーンが80分間、集中力を切らさず前に出るディフェンスを続け、うれしい勝利をつかんだ。

スコアボードは東芝15-13クボタ、時計は後半13分を示していた。クボタでこの日SOに起用された森脇秀幸がゴール前中央に高くハイパントを上げる。東芝はWTB大島脩平がボールの落下点によく戻ったが、これをキャッチできず、ゴールライン付近に転がったボールに走り込んできたクボタCTBアイザイア・トエアバが、東芝HO湯原祐希に競り勝ってボールをインゴール中央に押さえた。ゴールも決めて、東芝15-20クボタと逆転。しかし、残り時間は25分以上もある。観客席の東芝サポーターも、ピッチ上の東芝の選手たちも、東芝が再逆転できると信じていた。しかしクボタフィフティーンのディフェンスの集中力は切れなかった。

クボタは更に攻め続けるが、東芝もよくボールをターン・オーバーし反撃する。21分、26分と東芝は敵陣内でPKを得たが、PGを狙わず、セットプレーに自信のある東芝FWはラインアウトからの攻撃でトライを取りに行く。しかし、クボタの好ディフェンスに東芝はチャンスを生かし切れない。雨が降ってきた後半32分には、クボタCTBトエアバのキックで敵陣に攻め込み、クボタフィフティーンはよく前に出るディフェンスで東芝のカウンターアタックを封じ込めると東芝のペナルティを誘い、クボタCTB立川理道がPGを冷静に決め3点追加、残り8分で15-23の8点のリードと、ワンチャンスでは逆転できない点差とした。東芝の反撃を37分のPGで5点差までに詰めるだけに止め、ノーサイドの笛を聞くとクボタのフィフティーンは歓喜の雄叫びを挙げた。

試合は東芝ペースで始まった。前半2分、東芝CTBリチャード・カフイが自陣から抜けて敵陣に入ると、SO廣瀬俊朗のパントキックでゴール前に迫る。すぐにSO廣瀬から右に大きく飛ばしパス。ライン参加したHO湯原からボールをもらったWTB松延泰樹がトライ(ゴール成功)。
20分にもフリーキックからゴール前5mで東芝が得たスクラムをFWがプッシュ。余裕をもらってSHからボールを受けたSO廣瀬からWTB松延への飛ばしパスが通り、松延がこの日2つ目のトライ。東芝が12-3とリードを広げ、このまま東芝優勢で試合が進むと思われた。しかし、クボタも、25分にCTB立川理道が抜けグラバーキックからFWがゴールラインになだれ込んだプレーはTMOの結果トライは認められなかったものの、29分にはスクラムからFWがサイドを突いた後、バックスで左ラインにきれいに展開しWTB田中健太がコーナーフラッグ際に飛び込み、スコアを12-10まで戻し、前半その後の東芝のアタックもクボタがよく防ぎ切り、後半の逆転につなげた。

ハーフタイムでのトウタイ・ケフヘッドコーチからの「1分も気を抜くな」の指示を後半40分間守り通したクボタフィフティーンが、後半の東芝のアタックをノートライに封じ込めた。マンオブマッチはトライチャンスを多く演出し、ゴールキックも全て決めた立川理道に与えられたが、この日のヒーローは80分間集中力を切らさずに守り切ったクボタのフィフティーン全員だった。クボタにとってこの日の勝利は、ファーストステージの今後の試合、さらにセカンドステージの試合に期待をつなげる大きな勝利となった。
(正野雄一郎)

● 記者会見ダイジェスト ●

東芝ブレイブルーパス


富岡ヘッドコーチ(右)、大島ゲームキャプテン

冨岡鉄平ヘッドコーチ

「3つ目のラウンドロビンで、今日も先週に引き続いて良い準備ができました。1つも落としたくないが、こういう試合も来るとは思っていました。どう立て直すか、どう準備するか、しっかりやりたいと思います。いろんな感情がありますが、クボタさんも良い準備をしてきたし、ラグビーは一人でするものでないと、今日、改めてラグビーの厳しさを教えてもらいました」

──雨が途中から降り、滑りやすくなるなど、不運もあったか?

「細かくいえば、いろんなことがあると思います。終盤にラインアウトで3回ほどミスが出て、雨でスリッピー、メンタル的にも追いかける状況、キッキングゲームで、立川君にとってとても良いマッチアップになったことなど。第2戦よりメンタルは良かったし、良い準備もできていましたが、こういうことがあります。1つ1つのプレーをしっかり、強い勢いと準備したことをやっていくことが大事です」

──スクラムは?

「クボタさんの3番も交代するなど、トラブルは付き物です。すべての条件はイーブンで、今日はクボタさんが一枚上手でした。うちの選手も大きなミスをしたわけでなく、こうした展開でも勝てるチームを作っていきたいと思います」

大島修平ゲームキャプテン

「先週の試合の反省から、ゲームの立ち上がりで、しっかり浮足立たないでやろうと臨みました。80分継続して、激しいブレイクダウンでいこうとしましたが、やることなすこと、すべてうまく行かないゲームでした。チャンスでミスが出ましたし、皆がまとまれず、違う方向を向いていました。自分たちは覚悟していたつもりでしたが、準備が足りなかったと思います。次の試合では、しっかりやっていきたいと思います」

──ペナルティでラインアウトを2回狙ったのは?

「ペナルティゴールには簡単な位置でなく、FWが波に乗っていなくて、FWもラインアウトで行くぞという意思がありましたので。結果的に獲れなかったが、チームの判断としては良かったと思います」

クボタスピアーズ


石倉監督(右)、今野ゲームキャプテン

石倉俊二監督

「まず、関係者、メディア、ファンの皆様ありがとうございました。率直に言ってすごく嬉しいです(笑)。顔がそうなっちゃいます(笑)。11年ぶりに東芝さんに勝ちました。選手は80分、最後までよく頑張ってくれてトウタイ・ケフ ヘッドコーチも言っていましたが、誇りに思います。思い切りやって来いと送り出しましたが、やればできるのだから、NEC戦、パナソニック戦に悔いが残ります。3戦して、まだ1勝2敗ですから、この勝ちを大事に、次の試合に向けてやっていきたいと思います」

──今日のプランは?

「まず、ディフェンスで、FW、BKとも前へ出て激しく止めようと臨みました。BKのラインスピードが意図どおり出せて、トエアバ選手もチャンスで前に出ることができました。最終的には外へ回すプランで、最初のトライはゲームプランどおりでした。FWのディフェンスのラインスピードもテーマでしたが、前で止めることができました」

──相手が東芝だから?

「正直、昨年も惜しい試合で、最後の3分で負けました。選手が意地を見せてくれたと思います。逆に東芝さんだから、力を出せたと思います」

──森脇選手を相手のヘッドコーチが誉めていたが?

「非常に良かったです。最初のディフェンスで前に出て止められない場面もありましたが、ゲームコントロールもキックも非常に良かったと思います」

今野ゲームキャプテン

「ありがとうございます。本当にすごく嬉しいです。途中で立川キャプテンが退場して、ゲームキャプテンを務めました。やればできる、うちの良いところを出そうと言って、勝ちにつながったのを嬉しく思います」

──勝負どころはどこだったのか?

「やっている選手はそこまで考えていません(笑)。常に『ここ、大事』『ここ、大事』と言っていました。終盤、スクラムの組み合わせが楽になった感じはしました。(横から監督が『ハーフタイムにヘッドコーチが1分たりとも気を抜かず、集中しろと言っていました』と、フォロー)」

RELATED NEWS